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フライングデリバリー  作者: ウラン
第一部
4/40

0: プロローグ

※初投稿です。温かい目で読んで頂けたら幸いです。m(_ _ ; m )

 

 ージジジッ  ガコンッ!


 歯車を組み合わせてギコギコと回る建造物に、機械の修理などで油臭い建物、夜も常に明るい街、機械仕掛けの帝都 "メカニカ"


 機械の発展が盛んで次々と進化しており、街並みはもちろん、人々の暮らしに色んな機械であふれている。


 所々にある現在地の案内板ボードに端末があって、タッチパネルで【迷子orナビ検索】と選択でき、迷子の文字を選択すると魔方陣が輝き、そこに乗り施設へと転移するシステムだ。


 ナビは行き先を検索し、案内板の地図が端末に表示されて、それを専用の魔具に転写してパンフレットを作り案内する。


 街が大きく景色も機械で代わり映えしない事で、同じところを何度も歩いて迷う人は多い。


 俺も初めて来たときは迷ってお世話になった……子供だったから施設に。


 そこのお姉さんに初恋して、通いだすが撃沈。

 なんと、息子が二人いて、48歳の美魔女だった。

 女の子が欲しくて、なつく俺に構ってくれていたらしい…

 子供の頃から中性的だったからな。

 衝撃を受けたエピソードもあったが割合する。

 そしてもう、恋なんてしないッ!!

 と子供ながらに誓った苦いエピソードであったのだ!


 話が脱線しまくったが、だからナビの端末を使用する人達が列をなしてるのは見慣れた光景だ。





 ◇◆◇◆





 そんな機械の多い街で配達を主に営んでいる

 運び屋"トラハ"の店主、リシャは今とても困惑していた……


「何コレ? 鳥…じゃないな、ペン…ギ…ン? なのか?」



 ーーーーーーー

 ーーーーー

 ーーー

 ー


 今朝、リシャの店に届いた荷物、送り主の名前はモザイクと書いてある。


  …誰だ。

 如何わしい物を想像したが、そんなもん頼んでないぞ。

  宛先間違ってんのかと、もう一度確認するが俺の店になっている。

 ものすごく怪しいが、仕事の依頼だったりしてな…


 だが、同業者が配達してきた荷物だ…

 違うか? 本当何なんだろう…。


 確かに、直接俺の店に依頼がくる時はある。

 その時は必ず依頼人か代理人が直接頼みに来るんだ。

 詳しい話を聞いたり書いたりしてもらわないと、仕事にならないし。

 もう一つは、ギルドに委託して荷物を預ける仕方もある。

 俺は対応を全部あっちがしてくれるから楽でいい。


  だから俺宛に荷物が届くのは俺が何かを頼んで買ったか、知り合いが送ってくるくらいしかないんだが。

 知らない奴からの荷物は珍しいので、開けるのを躊躇してしまう。

 でも、怪しいが…うずうずと好奇心のほうが勝ち、俺は箱を開けてみる事にした。



 さてさて、何が入ってんのかなー♪

 俺にファンとかいて頑張って作ったので貰ってください! 好きです!! とか有り得るかな…

 ちょっとドキドキして箱の中を覗いて見ると…


 ……箱詰めされた黒い塊があった。




 ……何コレ?


 …その黒い物体は、鳥のような嘴に鋭い爪、黒い毛皮は艶がでて、フサフサし、背中のあたりには翼が生えていた……


 さっきも言ったけど、何コレ? キメラ?

 ペンギン? に似た姿の変な生き物が、直径40センチ位の箱の中で窮屈そうに横になって収まっている。

 眠っているのか、眉を寄せながら目をつぶっている。



 やっぱり、怪しいもんだったじゃねーか!

 ラブレターとか妄想してた馬鹿みたいな俺を、無かったことにしたいと後悔した。


 俺は苛立つ気持ちを足で机にガッとぶつけて、舌打ちをする。


 この箱どうするかなーと、箱から視線を外し、後ろに向き変えて考える。


 送り返そうにも住所わからないし。

 さっきの同業者に返品しようかな…


 誰に託そうと考えてたら後方に視線を感じたので、俺はゆっくり腰にあるナイフに指を伸ばし、パッと振り向く。


 そいつは、俺に目を合わせて体を起こしていた。

 …正座をして。



「ドーモ、つぶらな瞳で相手を魅了し、艶やかな毛で相手を誘う、キュートな尻尾で相手を離さない!! もふもふで可愛い、略して、モフカワがキャッチフレーズのオレ! 飼って♥」

「いや、却下で。」


 なんとか戦隊みたいな台詞に脱力して、即答で返事をかえしてやる。


 なんだこの図々しいやつ、警戒して持ったナイフをとりあえず指からはなす。


「何で!? こんなに魅力的なオレを、タダで飼えるのに! モフカワだゾ触りたくないのか! オマエそれでも人間か?」

「タダより怖いものはないし、得体の知れない毛玉はいらん!」


 ただの押し売り毛玉か…?

 怪しい動きをしたら殴って箱に戻して同業者に返そう。


「ピィピィ~! おかしいなぁ。博士の言う通りの台詞で言ったのに…。こいつおかしいんじゃないか? ……ブツブツ……」

「……なんで初対面の奴に頭おかしいとか言われなきゃいけねぇんだ。てか、博士って誰だよ…… おーい、毛玉聞いてるかー。」


 なにやらブツブツ忙しい奴は、聞いても返事が見込めない為、諦めて冷めた視線を相手に向けながら、毛玉を鷲掴み…アイアンクローーー!


 ギャーギャーうるさいのを無視して、箱に押収し、バタバタ暴れるのを蓋を無理矢理閉めて押さえ込んだ。

 ガタガタ震える箱を素早くガムテープで留めようとすると、ブスッと箱から嘴が飛びだす。


 危ねッ!!


 くそ毛玉は穴を開けて抵抗した。

 もぐら叩きをしている気分だ。

 こっちのはデンジャラスだけど…


「無駄な抵抗はよせ! おまえは完全に包囲されているゾ!!」

「お前がな! 箱だけにッ、それとブスブスと嘴で暴れるなッ危ねぇだろうがッ!!」


 くそっ! すばしっこいなーこのやろッ


「上手いことを言うなー、これは一本とられたゾ相棒! 流石!!」

 ーバシッ!

「うるせぇ、誰が相棒だッ誰が!! 話聞けよッ、つか、お前何なの? ペンギンなの? 力強すぎねぇかッ?」


 よしッ、一発当たった! て、なに楽しんでんだ俺。


「それは博士との秘密だゾ! こんなにか弱いオレを押さえ込むなんて、これは責任を持って飼ってもらうしかない!」

「飼わねぇよッ!! それと、お前はか弱くねぇとんだ暴れ馬だ!」


 秘密も何も元はペンギンだろ、あとはデフォルメされた感じだな。

 博士って誰だ? 送り主のモザイクか? 厄介なもん送りやがって!


「取り敢えず一旦落ち着こう!」

「お前が暴れるの止めたらな。」

「そう言って送り返そうとするんだろ!」

「わかってんじゃねーか、なら大人しく返されろ!」

「やっぱり!! ツッコミが上手い奴は、言葉巧みに誘導して、ハレンチな事に()けてるって教えてもらった! 危なかったー。」

「どんな教え方!?」


 とんだ偏見な教えだッ! ツッコミだけが変態な訳ない。

 人はみな変態だ! 欲が己をダメにするんだ、今までを振替って小さい頃学んだ。


「ハレンチついでにデスネ、行く場所ないので飼ってください。 調教だろうが、激しいボディダッチまで、何でもしますから、…多分。」

「お前いま多分っつったよな、ボディダッチは、まぁいいとして、調教ってなんだ!! 俺に何を求めてんだよ!」


 いい加減しつこいな、飼わないって言ってんのに。

 それにハレンチって、俺まだ何もしてない…。


「ピィ~。青春の痛り、アオハル、赤歴史、黒裸々に若気のパリピ~、今こそ未知の扉を開くんだゾ!!」

「言ってる事が支離滅裂してんぞ、あと開きません。」


 直すと、青春の一ページ、青い春、黒歴史、赤裸々に若気のいたり、いい間違えすぎる。

 パリピーはよくわからんが、はっちゃけろ的なヤツだろう。


「えー、ちょっとやってみたいとか思わなイ? オレ好みに育てて…♥ みたいな。」

「……人それぞれなんじゃねーの? 俺は思わな、い…な。」

「強がっちゃってー! やっちゃいなヨ♪」

「つ、強がってなんかッ! な、ないんだからねッ!」


 動揺してないからな、違うから! ちょっと、いや少しいいなとか思ってないから!!

 ……すいません、嘘つきました。


「おおー! コレが俗にいうツンデレと言うものかッ!!」

「違う!!」


 違うーー!! 最後にいいなってボソッて言ってしまったのを誤魔化すのに動揺してあんな台詞にィーー!

 俺はけっしてツンデレじゃない! でも、本当の事言えないし、言いたくない! よし、誤魔化したままでいよう。

 大人は汚ない生き物なのさ。


「でも、人間はみな変態8割、ツンデレ3割、変心1.5割って博士が教えてくれたゾ!!」

「なにそのカオスッ、割合おかしくね!? ほとんど変態じゃねぇか!!」


 変態中心で世界がまわってんのか?! ある意味当たってる気がしてきた。


「ツンデレが3割って皆そんな素直じゃいられないの? デレタ時のギャップにやられるのか、うまい世界だな。」


 いつも強気な子がはぐれて、涙目に俺を上目遣いで睨み、手を差し出しながら「…つ、繋いであげてもいいわよ!」とか言われたら喜んで掴む!


「世の中が桃色時代だよ。」

「モモ? 何が?」

「いや、こっちの話。気にすんな。」


 妄想くらいいいよな、誰にも迷惑かけねーし。


「あと、変心て何?」

「心変わり!」

「…なるほど。」


 どこかの方言で、女心と秋の空ってゆーからな、……男は女々しいんだってさ。

 そうかもね……。



「博士が『求められる内が花よ♪ 身を委ねなさい♥』って言ってたもん。」

「博士って女? 子どもに何教えてんの!?」

「いーや、()()男だゾ!」


 変態か!? まだそこは教えなくていい所でしょ! 身を委ねろって、いらねーよ。求めてもないし、返品したいんですけど。


「オレ、食べごろデスガ、いかがでしょう?」

「ますます、いらんわ!!」

「そんなー、…モフカワでしょ? ボディダッチありだゾ! 今流行りのもふもふしたいだろ? ほら、あなたはだんだんもふりたくなーる。」


 なーるじゃねぇよ! 結局ここに何の用があって送られて来たんだコイツ。


「…もふ、じゃなくて、本当の目的は何? 飼って俺にどんなメリットがあんの。」


 たしかに、魅力的なもふもふだ…手がわきわきと動いて、吸い寄せられそうになりながら正気に戻り理由をたずねる。

 事と次第によっちゃ……俺にも考えがある。



「目的は、博士との約束で今は言えないんだ。とりあえず、オレを()()()下さい。 飼ってくれるならサービスする! お願いしゃすッ!」

 ーペタンッ



 ペンギンモドキの毛玉に土下座され、懇願された俺は、厄介な事になったと、途方にくれるのだった。


「……あーもう、本当なんなの。」

少し修正しました。

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