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フライングデリバリー  作者: ウラン
第二部
33/40

28: 来ちゃった♪


 マイナスイオンを感じる滝壺の場所にて、すっかり熱が下がった俺は今、岩に座って洗濯していた…。



 あれから眠って、二日も熱がなかなか下がらなくて、マジしんどかった。

 でも、やらなければいけないことを思って、なんとか下がってやったーっと思ってたらババ様が顔を出して一言。


『起きたなら、さっさと洗濯してきな。まだまだ仕事はあんだから。存分にこき使ってやるさ。』


 あのー俺、病み上がりなんですが…あ、関係ないんですか、はい…。


 という感じで、盥に入った洗濯物と板を押し付けられてポカーンとしてたら、またドアが開いて『…宿代、治療代、払うかい?』と高額な金額を見せてきて、慌てて持ってここの滝壺にやってきたのだ。


 まぢで、悪徳業者だ…あのババア、しかも今時珍しく原始的な…なんで機械魔具ないんだ…と愚痴りながらも手はしっかり動かしていた。


 だって、払えねぇし…払えたとしても、あの人に負けた気がして嫌だ! 1L(ルク)たりとも払いたくないッ!


 それに、俺の愛車は木っ端微塵(こっぱみじん)で海の藻屑…壊れたものがでかくて泣きたい…


「あー、ゴーグルまで壊れるとかないわー」


 折角のヌルボットまでの手がかりになると思って起動させたらプスプスいって煙がでたのち爆発した。


 傷が酷かったから、俺の代わりに流されている時に岩かなんかに当たったんだろう。


 ありがとうございます、命の恩ゴーグルです。



 全てを絞って後は干すだけになった頃、声だかい子供の声で俺を探しているのが聞こえてきた。


「おにーさん! ここでしたか、ババ様が遅いから手伝ってやれって言われたんで来ました。」

「…おたくのババ様スパルタすぎない? ……あと干すだけだけど…」

「そうですかね? わあ、おにーさんは早い方だとおもいます! わたしも手伝いますね!」

「…どうも。」


 木に紐が吊るしてある所で洗濯を干しながら、看病してくれてありがとうと言って感謝を伝えると、ピコが治って良かったと笑顔を向けてくる。


 あらためてピコを見てみると、ピンクの髪に海のような目、大体12、3才頃のかわいい女の子だ。


 あんな態度を取ったにも関わらず、笑って許してくれた。

 ホントに純粋でいい子に育ってんなー、…あのばあさんの教育の賜物か? 誰かに見習わせたい…と考えて、奴の事を思い出してしまい、心が曇った。


 怒りはもちろんあるが、それよりもヌルボットがどう思うかと考えてしまうと気分が重くなるのだ。


 気分をかえて、ここから街までどのくらいかと聞いてみた。


「えっと…わたし、ここから出たことないのでわかりません…ごめんなさい。」

「いや、あやまらなくて大丈夫だけど…ピコ、ここから出たことないのか? こんな辺鄙(へんぴ)な場所から。」


 …箱入り娘か? 


「はい…、えっと、その…あッ、ババ様に頼まれてた事があったんだー! おにーさんごめんね、あとはよろしくです!」

「え、おい! …あからさまに棒読みだったな。ま、今はこっちをなんとかしよ。」


 残りのを干してから、ババ様に見つからないようにササッと滝壺の場所へと戻り座りこむ。


 いろいろ整理したいし、これからどうやって戻るかも…な。




 ーザア………ピチョン


 まずは、ヌルボットがどこにいるかだが……まったくわからん。

 プラニボに戻っている可能性もあるかもだろ、なかったら…うーん、てか俺、相手の情報もなんもわからん状態ってのがなあ…。

 (やっこ)さんは俺の事を知らなくていい事まで知ってるし…誰かさんの口が軽いせいでッ、……次あったら絶対一発殴る!


 ーツンツン ペシッ


 …うーん、 唯一あの組織を知っていたモンジに聞きに行くか? それとも、直接プラニボに行って暴れるか…ああ、でもあのワンコいるしなあー。

 戦っても死ぬな…俺だけじゃ。

 そんな、無謀なことしても意味がないし、ただ取り返したいだけなんだが……難しいな…


 ーツンツン ペシッ


 ……むー、いっそうのことチェントに乗り込むってのもありか? あの宰相は兄な訳だし…いや、ここは慎重になるべきか…

 移動手段が船じゃな…あークソッ、愛車に慣れすぎてるから日数がこんなにかかると思うと、もどかしく腹が立ってきた。


 ーツンツン Σバシッ!

「つーか、さっきからなんなんだッ! うっとおし…い? …は?」


 腕を後ろについて座りながら悩んでる時に袖をツンツンして邪魔をしてくるので払っていたのだが、あまりにもしつこいので叩いて文句を言いながら後ろを振り向くと、そこには…いるはずのないやつがいた。



「ウォン! 起きたのかお前、早く教えろよ! ここら辺の魔物を狩り尽くして暇だったんだ。」


 ヘッヘッヘっと息を吐いて尻尾を振る毛玉、冬毛仕様なのかもこもこな黒いワンコがいた。

横にデカイ鳥の死体を置いて。


「…どちらさまで? この家のワンコか? 今俺は一人になりたい気分だから、あっちにいって遊んでもらいなさい。構わなくていいんで。いや、むしろ構わないで下さい、じゃ!」


 そう、捲し立てて滝壺に向き直り現実逃避する。


 うん、見てない…俺は何も見てないぞ…。

 紅い目で喋るワンコなんて知らないんだからッ!!



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