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フライングデリバリー  作者: ウラン
第二部
32/40

27: どんぶらこ~どんぶらこ

お待たせ致しました。第二部始まります!

よろしければ、読んでみてください下さい。

 

 ーザーン……ズズッ……ザザーン…







 ふと意識が浮上する…


 暗い…寒い……あつ…い? ……頭がぼんやりする…。


 暗い…今何時なんだ? あれ? さっきまで何してたっけ……頭もそうだが、身体中が痛いしダルい、それに…



(……ッ…? な…みの音…?)



 波の遠音が響いてくる…


 ここはどこなんだ…、とゆっくり体を動かそうとするが、力が全く入らずプルプル震える…打ち上げられた魚の方がまだ元気だ。


 ハァと熱い吐息がでて思考がうまくまとまらない。


 指で地面を撫でてみると石のように硬い、それに冷たくて気持ちがいい。


 潮の臭いもするし、波の音が聞こえてくるなら海の近くってことだろうと曖昧に検討をつけ、腕をなんとか目元に持っていこうとした。


 さっきから暗くて仕方がない、ちゃんと目は開いているのか? と思い、触れようとしたらパシッと小さく冷たい手に掴まれた。


「!?」

「取っちゃダメだよ! 治療中だからってババ様言ってた!」


 女の子供の声が聞こえて、余計に混乱して飛び上がろうと体に力を入れたのが分かったのか、今度は体ごと俺に飛び乗って押さえにかかる。


「離せッ!! …ッ!」

「ダメだってば!! おにーさんケガひどいんだよッ、あばれたらもっと体によくないーー!」

「Σイテッ! …お前が上に乗られた方が体によくないわ…ッ…ウッ!?」

「おにーさん!? どうしたのッ! ババ様ーー!! おにーさんがッ!」


 女の子の膝が鳩尾にきまり、手で押さえながらうずくまろうとしたら、動いちゃダメといって膝を乗せたまま肩を押さえてくる。子供の癖になんちゅー力をしとるんじゃと微力ながら抵抗していると、遠くから杖のつく音とともに足を引きずった足音が近づいて来るのが分かった。


「ピコや、なんぞそんな慌てておる。あの若いのに襲われでもしたのかい?」

「ババ様ー!」


 しゃがれた声の主がそう言って覗いてみたら、そこには包帯を巻いた上半身裸の男の上に跨いで、肩を掴んでお腹に座っているピコが涙目でこっちに助けを求めていた。


「……おや、逆だったか。」


 少し残念そうにため息をついた。


「いやぁーー!? おにーさんが、白目むいてるーー!!」

「ハァ~とりあえずピコ、そこの上から退いてやんな。鳩尾に膝乗っけて肩を揺すれば誰だってそうなるさ。しかも怪我人に……おいうちだね。」

「うえーん!! わがっだ!」


 微かに聞こえていた会話も理解できずに、またもや意識がなくなった。


 覚えとけよ…クソガキ…






 ◇◆◇◆







 ふと意識が浮上する…


 暗い…寒い……あつ…い? ……頭がぼんやりする…。


 あれ、このくだり一回やったな、と目をパチリと開けて瞬きをする。

 今度は色が入り、キョロキョロと目だけで辺りを確認してみると、どうやら俺は洞窟みたいな所に寝かされているみたいだ。


 グッと腹に力を入れて起き上がり、さきほど、ふんずけられた鳩尾を擦りながら自分の状態を見てみる。


 手先から足まで包帯だらけのマミー状態だ…死んでないけど。


 自分の手を見ながら考えていたら、そこでハッと気付く。



 ヌルボットがいないことに…



 思い出した瞬間には反射で体が動いて、早く助けに行かなくちゃと痛いのも気にせずに立ち上がり、唯一の入り口に向かって飛び出そうとするも、やはり、体は正直で直ぐにつまずき倒れた。


「…ッ……クソ…」

「おにーさん? おきた…えッ?! 大丈夫!?」


 倒れた音で気付いたのか、女の子が見に来て地面に倒れている俺を心配そうな顔をしながら、助け起こそうと触ってくる。


 ーパシンッ

「触るなッ! ほっといてくれ、俺には行かなきゃいけない所があんだッ!!」

「!? ……でも、ケガを…」

「黙れッガキ! うぜぇんだよ!!」

 ーバシンッ!

「Σうぶぼッ!?」


「ガキはあんただ、ピーチクパーチク五月蝿いね!」

「きゃーー!? ババ様、せっかくおきたのにーー!! おにーさんッ、大丈夫!?」


 杖でフルスイングされて頬に当たり、尻を上げてうつ伏せに煙を吐いて倒れた俺を半泣きでまた介抱してくれる女の子に、少し正気に戻り罪悪感がわいた。

 自業自得なのに、と仰向けになり歯を食い縛って右腕で目元を隠す。


「…少しは冷静になったかい? クソガキ。」

「ババ様!」

「……ああ、悪かった…、お前も…すまん。気が立ってて…嫌な事を言った…」

「えッ! あ、あたしは別に…、それよりおにーさんは大丈夫ですか?」


 戸惑いながら近寄り俺に触れようとしてハッと気付き伸ばしていた手を引っ込める。

 さっき言った言葉を気にしたのだろう。


 こんな子供にあたって何してんだ俺…と情けなくて、ますます落ち込む。


「…大丈夫。本当に悪かった。」

「ううん、大丈夫だよ! あッ、のどかわいたでしょ? なんか持ってくるね!」


 くるくると表情を変えて女の子が慌てながら部屋を出ていって、ババ様と俺の二人になった。


「…助けてくれたのもあんた達なのか? ここはどこだ?」

「忙しない男だねぇ。…そうだよ、うちの入江に傷だらけで打ち上げられてた時にはどこのドザエモンかと思ったがね。」

「ドザ…、入江って事は……(あのどこかの島に行き着いたのか…)…ありがとう、傷の手当ても色々。」


 そこでやっと気難しい表情が和らいだババ様は、近くに置いてある椅子に座った。


「で? なんか聞きたいことがあるんだろ。」

「! …助けてから何日経ったのか、ここはヴェディス海のどの辺りなのか教えて欲しい。それと、プラニボまでどれくらいか…。」


 早口に質問をする俺に、嫌そうにでも、答えてくれた。


「まず、あんたを助けてから一週間、傷で熱がでてずっとさっきの子、ピコが看病してたのさ。もっと感謝しな。」

「…すみません。後でもう一度言います。」


 さっきの事で居たたまれなくて、ずーんと暗くなる。


「ふん、それとヴェディス海? そんな遠い所じゃなくて、ここはフリージア国の近くのロック海峡さ。気温がまったく違うだろ? プラニボだっけか、そんなもっと遠い所…船で行けたとしても1ヶ月はかかるだろうね。」


 何言ってんだこいつと呆れた表情をしてこっちを見てくるババ様に俺は唖然としながら恐る恐るもう一度訪ねてみた。


「フリージア国の近く…ロック海峡? そんなわけ…(だって、ヴェディス海に落ちて…どんなけ流されてんだ!? いやいや、どうしたっておかしいだろ…どうなってんだ?!)~ッ! 俺…ヴェディス海に落ちたハズなんだけど…。」


 一人自問してから、ババ様に聞くと相手もビックリしながら顎に手をかけて「そういえば」と思い当たる事があったのか話し出した。


「あんたが打ち上げられてた岩の近くに文字が削ってあったような…」

「文字? …岩にか?」


 どんな力してんだと思いも、続きをたっす。


「たしか…『この馬鹿者を%&*△Σ◆』と…。あんたに矢印を向けて、後半は文字が化けてわからんだが。」


「……ダイニングメッセージ的な? つーか、一番大事な所が消えてんだけど…」


 馬鹿者って…最近聞いたな…、水色のトシマに。

 そうだよ、あの人…いや、精霊だっけか、水を司ってんもんな…助かったけどさ、なんでこんな場所に流したのか謎なんだけど。


 俺は早くヌルボットを助けに行かなければ、いけないのに!!


「…クシュンッ! …さむ…」

「ほらほら、あんたはまだ熱が下がってないんだ。なんかで急いでいるのはわかるが、ここでの風邪をなめるんじゃないよ。もうすぐ、ピコが温かいの持ってくるから大人しく寝ときな。死なれたら寝覚め悪いだろ。」


 そう言ってババ様は立ち上がり、部屋を出て行こうと歩きだす。


「…すまない、世話になる。」

「ああ、世話してやるよ…クソガキ。」


 ニシャっとニヒルに笑って出ていったババ様に、くえない人だなとため息を吐いた。


(あ"ぁ~そういえば、飛行バイク(ジェイバー)壊れたんだった…移動手段が…ハァ…)


 それから少ししてピコが温かい飲み物を机に置いて「お大事に」と言って出て行くのを横目で見おくりまた、ため息を吐いたのだった。



ここまで読んで頂きありがとうございます!!私事ですが、更新する時間帯、速度を二日に一回と少し遅くいたします。

時間は0時→18時に変更いたします。

これからも駄文ですが、応援していただけたら幸いです。m(_ _)m


※息抜きに『ぼくとはなぐろ。』という短編を書いてみたので、よろしければ見てみてください。

犬のお話です。

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