6: 言葉は大切ですね
少し修正しました。
さんざんモフられたヌルボットは力が入らないのかダラーンと俺に抱えられている。
喋るのも疲れたのか話を振っても、腹の音で返事をする始末…
器用だな。
アンナをだいぶ待たせてしまったし、早く行こう。
もう今日は帰れないな…、飛行バイクのメンテどうしようかなー
ーコンコン
「アンナー悪い、遅くなった。」
ーガチャ ピョン
「キュッキュー!」
「うお! エルス、お前も待たせてごめんな。」
ドアが開いたと共に白い毛玉が飛び込んできて、慌てて残りの左腕で抱き止める。
この店の看板娘迷いウサギのエルスだ。
「遅かったね、お疲れさん。坊やもありがとね、助かったよ。」
「キュッ!」
ーグルルルキュ~
「どういたしましてだってさ。」
ヌルボットの腹の返事を代弁して伝えてやると、アンナはホッとした顔をし、台所へ行き料理を温めなおしに…。
エルスは俺の右腕で抱えているヌルボットを心配してか、さっきからテシテシ叩いている。
結構強めにいくな…と思いながら眺めていた。
ーΣテシッ! テシッ! バシッ!!
「キュッ、キュッキュ! キューッ! (ちょっと、ヌルボット! 起きなさーい!)」
「Σイター! 最後の痛いよッ、もうちょっと優しく起こしてよエルス! そんなんじゃ婿の貰い手出来ないゾ!」
ーΣベシンッ! ガシッ
「キューイ? キュキューキュ! (あ"ぁーん? 何か文句あんのか!)」
「Σアイター! うぇッ、し、絞まってマス…、エルス様、タイムッ、タイムゥ~!!」
ーペチペチペチ
ーパッ
「キュイ、キューイキュッ! (しょうがない、今日は許してあげる!)」
ーグテー
「…ピ、ピィ…散々な、日だ…」
ープィ
「キュッ! (フンッ!)」
あのーお二人さん…、腕のなかで暴れないでもらってもいいですかー
重いんだよね、バタバタされると…
それとヌルボット…なんかおつかれ……後で労ってやるからな。
◇◆◇◆
ーゲプッ
「ん~オレ復活! 満足だ~アンナご馳走でしたッ!!」
「お粗末様でした。良かったよ、元気になってくれて。」
「あんなに用意してくれてありがとアンナ。」
「ああ、時間はたっぷりあったからね(笑)」
確かに。苦笑いしながらヌルボットを見る。
アンナが用意してくれた料理の数は大宴会を開けられるぐらい、大体30人前位の品数と量だった。
前菜からスープ…メインの肉…魚、パスタやらピザの麺類パン類もそろっていたし、デザートのケーキまで出してくれた。
ありがたやーー
俺は一人前のフルコースで腹一杯だったが、ヌルボットなんかペロッと食っちまいやがった…。
流石にお腹一杯なのかいつもより腹がポッコリ目立っている。
こんなにしてもらって悪いなと思う…、昔から世話好きで親代わりだからいつも俺によくしてくれる。
本当、この人には頭が上がらないや……
机に肘を付いて掌に顎を置き、アンナとヌルボットの話を耳にボーっとしていたら、エルスがピョコピョコと姿が隠れる位の箱を持ってやって来た。
箱が跳びはねてるかと思った。
「キュッキューイ~♪」
ーストン
「…ん? 俺に?」
首を振ってヌルボットに指をさしてくるエルス。
「キュッ!」
「違う…ヌルボットに…で合ってるか? 何だ? …ああ、そういや渡したい物があるって言ってたな。」
そうだそうだ、儀式の最中に話してたな、何だろう?
「ヌル、アンナ達からお前にだって。」
ーシュバッ
「ピィピ! オレにかッ、開けて開けて!」
ヌルボットが近付いてくるのを待ち、俺は顔をアンナとエルスに向けてたずねた。
「開けていいか?」
「「どうぞ。/キュイ!」」 ニヤリッ
アンナとエルスが怪しい笑みを浮かべたことに気づかずに、俺は箱に巻いてある包装紙を丁寧に剥がしていく。
ヌルボットも気になったのか俺の肩によじ登ってきたので、見やすいように肩車をしてやって、頭の上から覗きこむ体勢に落ち着いた。
剥がした包装紙は折り畳んで机の端に避け、箱を開けてみると、中には…小さい黄色のゴーグルに赤い服がはいっていた。
なんか見覚えあるな、と二人で首を傾げつつその二品を取りだし服の方を掴んで広げてみる。
その服は、赤いポンチョでふちが黒、背中に黒で家の店のロゴマーク《卵に羽を生やしたような》が刺繍されていた。
あぁこれって!?
「アンナ…これって…!」
「ピィピッ、羽タマゴ一緒!!」
「そう、頼まれてた防具だよ。何でもいいなんて注文して困ったもんだ。詳細聞いても、『毛玉のペンギン』としか答えないときたから、腹いせにリシャと同じデザインにしてみたのさ。相棒なんだろ? それ着て、同じ看板背負ってお互い切磋琢磨しながら働きな。それと、頭のやつはオマケさね。お揃いで可愛いもんじゃないか。」
アンナがニヤニヤと笑いながら自分の額を指差す仕草をして、俺を見てくる。
クソッ、やられたー!!
俺への当て付けに嫌がらせとして作ったポンチョ。
そりゃ何でもいい、『毛玉ペンギン』としか言わなかったのは悪かったけどッ!
何が哀しくてペアルックしなくちゃならないんだッ!
人なら制服って事で済ませられても、ペットに着せ替えして楽しんでるなんて思われたら…と、想像して顔が蒼くなる。
もしも近所とか知り合いに微笑ましそうに温い目線を向けられたり、子供に「あの人、その内スカート履かせて捲ったり、覗いたりして楽しむ変態さんだよ!」って指差されて言われたらどうしようッ!! 恥ずかしい…、立ち直れない…
そんな妄想しながら上を向いて両手で顔を隠す。
ヌルボットが落ちそうになり慌てて飛び降り机に落ち着く。
「フフッ、いい教訓になっただろ? 今度から気をつけな、自分の言葉に責任を持って。それに、こいつはプレゼントだから素直に受け取りなさい。性能はアンタのとほぼ一緒さ。」
「はぃ…気を付けます。ん!? プレゼ…一緒って、えッ…そうなの?! 貰っていいのか? ちゃんと払うよ、そんな良い物。」
アンナの防具は滅多に作らないし、プレミア扱いで結構いい素材も使ってくれるから普通は高い。
「いいんだよ。歓迎祝いだ、持ってきな。その代わり次はちゃんと貰うさね。」
「うん、…ありがとう。」
申し訳なさと有り難さでいっぱいになる。
よし、気を取り直して、ヌルボットの防具の詳細を見るか。
俺のは黒が主体でふちが銀、背中のロゴは暗い白のデザイン。
実はこのポンチョは優れた防具である。
一見普通の上着にしか見えないが、この生地に秘密が仕込んであるらしい。
これは、いまの所アンナにしか出来ない特殊な製法なんだってさ。
普通の物なら違う人も作れるが、ただの生地だから攻撃くらって破けてしまうから意味が無くなる…らしい。
俺もよく解ってない。
アンナに聞いても、『秘密だよ。』しか答えてくれなくて、エルスは手をクロスしてどや顔してくる始末…
いったい何が起こるのやら…。
俺は頭のゴーグル型機械魔具をかけて、鑑定機能でポンチョを選択して詳細のウィンドウを開いた。
名称:【スカーレットポンチョ】
装備:【防御力+20 術防御+15】
耐性:【耐熱】
特殊:【自己再生】【???】※
《シルクワームの糸とホットギングスライムを素材に作成》
※隠蔽され解析不可
色の配色からして、俺のブーツに合わせたな。
まーヌルボット自体が真っ黒だから色を変えたんだろう…。
性能はほぼ一緒って言ってたなし、俺のと比較してみよ。
鑑定っと!
名称:【ダークポンチョ】
装備:【防御力+20 術防御+20】
耐性:【耐精神】【闇魔法-10%】
特殊:【自己再生】【???】※
《シルクワームの糸とオニキススライムを素材に作成》
※隠蔽され解析不可
ふーん。術防御が5と耐性はまるまる違うな…
ヌルボットの【耐熱】って暑いから?毛皮で…
俺が毛玉って言ったし、注文してから何度か此処に来てるから実物見て判断したんだろうな。
というか、スライムすげー
スライムを生地に出来るアンナもすげー
素材を活かして【自己再生】の特殊効果付けられるなんて…
元々、アンナは情報屋であちこち旅に出て、取材ついでに素材も取ってくるんだ。
一段落したら、店に戻り服などを作っては旅に出ての繰り返しで、本当、凄いし逞しい。
ーパタパター! ギュウッ
「アンナ、アンナ! オレ嬉しい! ありがと…ありがとー!!」
「俺からもありがとう。プレゼントして貰って。」
「気になさんな。喜んでもらえて良かったよ。それと、坊、元はリシャが頼んでたんだ、御礼は相棒にもしてやんな。」
「わかった! 相棒~!! 好きだゾーーありがとッ♪」
「好きって(笑)……あぁ、どういたしまして。」
アンナにしてやられた感があったけど、心がポッと暖かく感じた。
やっぱりここは、というよりアンナの側は居心地がいいな。
あとついでにヌルボットもな。
本人には言ってやらないけど。
◎おさらい 【装備編】
名称:【スカーレットポンチョ】
装備:【防御力+20 術防御+15】
耐性:【耐熱】
特殊:【自己再生】【???】※
名称:【ダークポンチョ】
装備:【防御力+20 術防御+20】
耐性:【耐精神】【闇魔法-10%】
特殊:【自己再生】【???】※
※隠蔽され解析不可
本編では鑑定しないので↓載せときます。
名称:【アナライザーゴーグル】
装備:【命中力+5 集中力+10】
耐性:【耐暗闇】
特殊:【暗視】【鑑定】
《サンシャイン鉱石と魔石を素材に作成》




