プロローグ1
目に止めていただき、ありがとうございます。
『異世界転生・チーレム』が大好きになってから早数年。
たくさんの作品に埋もれるの覚悟で、書いていきます。
少しでも、お楽しみいただければ幸いです。
満足した人生だった。他人からは、『その歳で早すぎる』と言われるだろうが、俺からしてみれば十分に満足できた人生だった。まあ、全く心残りがないのか、と問われると、若干答えに窮するが……。
医師としての人生、大学にもストレートで合格し、卒業後には『神の手を持つ』と評される師の下で学ぶこともできた。自分の手で多くの人を救うこともできた。多くの患者、そしてその家族からの感謝ももらえた。
心残りといえば……女性との縁がなかったこと、そして、もっと多くの人を救いたかったこと。
あの日、8時間を超える手術を無事に終えて、患者の容態が安定したことを確認して、帰路に就いた。患者の急変がなければ、翌日は久々に休みの予定で、長時間の緊張から解放されて気が抜けていた。
前を歩いていた女の子は、イヤホンをしていて周りの音が聞こえていないようだった。俺も、信号を渡り始める直前まで信号無視の大型トラックが迫っているのに気付かなかった。女の子がクラクションに気付いて顔を上げた瞬間、俺は咄嗟に女の子の手を引き、自分と位置を入れ換えるように歩道に投げた。その瞬間、俺はトラックに撥ねられた。
大きく撥ね飛ばされている間、今までの人生がアルバムのごとく頭を巡り、『これが走馬灯なのか』とどこか冷静に思った。『40年の人生で、これが最後の人助けになるんだろう』と、そう考えた。
最後に覚えているのは、助けた女の子が茫然と目を見開いて歩道に座り込んでいる姿だった。
初投稿作品です。昔々、物書きを目指していましたが、一度は諦めました。
最近、また書きたい衝動が押さえきれなくなりましたので、久しぶりに書いてみます。
ちょこちょこ、投稿間隔が空くと思いますが、いつまでかかってでも完結させたいと思います。