入村と宿探し
車中での不毛な口論が知りつぼみで終わり3人は黙りこんだまま村に入るとそこは地味と言うしか無い外観の建物が並んでいた。基本的に木造で壁をコンクリートでは無く土壁で出来ていた。
「・・・作りの技術とかから言ったら文明レベルは中の中ぐらいかなぁ?」
コンがメモを取りながら呟くとそれを聞いた。ローは駐車場の類いが無いことから文明レベルはもう少し下、の下の上ぐらいだろうと自分の見立てをのべるとコンはそれを聞きメモに書き加えた。
「あぁ、なるほどな。だからここら辺の人達が皆コッチをエラく凝視してんのか、何だか恥ずかしくなって来たな」
エンのボヤキに、そうだねぇ。とコンは相づちを打つ。2人のやり取りを聞き流しながらもローは外を見る。確かにいささか人の眼を集め過ぎている、下手に村人から拒絶されても後々が面倒だった。
当初は村を車で流そうかと思っていたがしょうがない、どこか停車の出来る場所を探そう。と考えたしばらくして商業地区を抜けるとローが車を止められる適当な場所を見つけて停めて3人は早速に車を降りた。
そして改めて辺りを見回すが今の所はまだ村に入った直後の印象を変えるモノはなかった。ふと気付くと周りに村人の人集りが出来ていた。取りあえず話かけてみるかとローが口を開こうとした時だった。
「あなた達は一体全体に何者だい? あっ、いやいや。別に怪しいから出て行ってくれ。とかでは無くてな、あなた達の出てきた塊もそうだが出で立ちが儂らの知る服装とはちがうからついな・・・いや、気に障ったならスマンこったがな」
恐らくここの長老の様な存在であろうお爺さんがわりかし早口で質問を投げつけて来た。まわりの村人達が自分達の行動に戦々恐々としているのが痛いほど肌に感じた。たしかに3人は常時お面を付けているので変な格好と言われたら反論の余地は無く、塊と言われたのは恐らく車の事だろう。自転車すら見当たらないこの村において車は常識を超えた物なのだろう。
こう言った時に村人と会話をするのは大抵は調子のいいエンが担当している。なので今回もエンが説明をしようと話の整理するため少し間を置くとすぐにお爺さんが矢継ぎ早にまたも話しかけてきた。
「あぁ! これは失礼したね。 見知らぬ土地で疲れているだろうに、いやいや、スマン、スマン。しかしなココは見ての通り旅の人を泊めれる施設が無いんじゃよ」
これもまた早口でまくし立てる様にだった、ローとエンは何か違和感を感じ、コンは興味がないらしく足下の雑草の種類が何かを考えている。口ではこちらを気遣っているような言葉なのだがどうにも出てくる情報にプラスのモノが見当たらない。しかし不審者も同然の自分達を追い出したいのも当たり前かと考えた。村が村なら石を投げつけられとしても仕方ない、ローは自分達は車の中で生活をするから気にしなくて良いことを伝えようとするとまたもお爺さんが話しだす。もはやエスパー並みの口のはさみ方だった。
「まぁ施設は無いがな、何も3人ぐらい泊める度量が無い訳じゃないんじゃよ。もしも構わないなら儂の家に泊まらんかい?なっ、そうしなさい。そうしなさい。」
引き離そうとして抱き寄せる。下手なツンデレを見せられている気がしなくもなかった。何か違和感が拭えない正直ローはこの違和感の正体に興味を持ち始めた。それとなくエンを見るとどうやら同じ考えらしく答えは決まった。ちなみにこの時コンに対しての意思確認をしていないがそれは昔からでコンはいつも2人に着いて来た。たまに意思確認をすると、面倒くさいから2人に従う。と言う返答されて以来、コンが自分から言い出さない限り2人で決めていた。
そんな怠惰な男が近くに立つエンに聞こえるかどうかの音量で呟く。
「・・・取りあえずココの人達はちゃんと人の話しを聞く事が出来るの?」