男3人色気なし
右も左も分かってはいませんが宜しくお願いします。誤字脱字の類いはご報告を心待ちにしております。
3人はその日、隣村の祭に来ていた。様々な屋台出し物に少年達の興奮が収まらない。途中に同じ村の友達を見つけて自分達が買ったものや食べたものの情報を交換するなどの他愛もない行為を心から満喫していた。
そして3人が出店でお面を買った直後に事態は起こっていた。最初は小さな揺れだったが祭の活気で興奮状態の人々は気づかない。だがそれは確実に大きくなっていった。
3人は逃げようとした。だが同じように逃げ惑う人達の波に思うように進めない。どうにか出口まで辿り着いたと安心しかけた時だった、その安心は既に存在していなかった。
逃げている最中は気づかなかったがいつの間にか村の周りが崖だらけになっている。
「な、何だよコレは! 何で周りが崖だらけなんだよ!?」
少年の一人が叫ぶともう一人が言う。
「いや違う。崖が出来たんじゃない! この村自体が沈んでるんだ!! だからアレを見ろ!!」
少年は上を指さすと崖のふちに塔の頭が見えた。あの塔は自分達がこの村に来る時に見たモノだった。 その頭もどんどんと消えていき、見えなくなった。自分達にはどうしようもないと本能的に悟った3人は絶望感を胸に空を見続けた。後ろで慌てふためく人々を気にもせず・・・そのうちに村にいた人間の全てが気を失った
草木が生い茂る道をゴツゴツとした無骨なデザインの車が通る。
車中には3人の男がいる。それぞれに猿、龍、狐お面を付けていた。お下げ髪の龍面がハンドルを操りながら助手席の猿面に尋ねる。
「・・・で? 次の所までこのままで良いんだろうなぁ、エンさんよぉ?」
龍面は機嫌が悪いのか隣でマップと格闘中の短髪黒髪で猿面のエンと呼んだ男にがら悪くきいた。
「ん? あぁ、大丈夫大丈夫。心配しなさんなローさんや。それに間違っていたら後ろのコンが言ってくれるさ。そこら辺の直感を信じてるよ~、コンちゃ・・・あれ?」
後ろの席にいるコンに声を投げかけながら様子を見ようと振り向いたエンの声に動揺が走る。ローはそれを見逃す筈もなく車を止めて後ろの席を見る。狐面の男、コンが後部座席をベッドのようにして眠っていた。その綺麗なロングのブロンドが面から漏れたよだれでさらにテカテカと煌めいていた。そしてエンの横でローはワナワナと震えている。
「・・・お前ら、本当に仕事をする気があるのかぁあ!?」
車中にローの怒号がこだまする。
「・・・ん。うん? 誰、今アホみたく大声だしたのぉ。」
呑気にコンが顔をこするが結果的に面をこすっている事に気づきやめながら言った一言だった。またもローの肩がワナワナと震えているのを見たエンがコンに慌てふためき言う。
「ちょっとコンちゃん! ローさんはね、長時間の運転で疲れが出てきてイライラを発散せんが為に俺をなじっていたらコンちゃんがそれを超える行動をしていたから思わず大声を出しちゃったの!!」
皮肉を交えながらの説明だった。当然ローの怒号がまたも車中にこだまする。そんなやりとりを長時間してエンとローが疲れ果てて静かになった頃、当事者でも在るのにも関わらず話に全く加わっていなかったコンが口を開いた。
「取りあえず大方の事情は分かったけど・・・、目の前にあんなに分かりやすい村が見えているのにこんな頭の悪い事をやってんの?」
コンが前方を指差しローとエンがそれにつられて振り向くと確かに村があった。2人は無駄な時間の消費を痛いまでに痛感しながら呟いた。
「灯台下暗し」
遅筆なのでたまに思い出しては更新を確認していただければ何の問題も無いと思われます。