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神殺のお話

「を、す」ではなく「が、す」が正しいと思います。

 ―――ギシリ、ギシ。


 そこは『万屋 矢尾』二階へと繋がる階段だ。

 木が軋む音が耳に残る。しかしその音は、住まう女性二人の物と比べて随分と大きい。

 階段を上るのは、線の細い男性だった。しかし決してひ弱な印象は与えず、逆に尋常ではない威圧感を与える。

 それはきっと、携えている直刀のせいだろう。全長は2mを超えようかという古びた刀だ。

 鞘には納められておらず、抜身のままのそれはやはり。


 『万屋 矢尾』の室内は昼間だというのに薄暗い。まるで異界の様な印象を得てしまう。

 しかしそれも当然だろう。日常からかけ離れた光景がそこにあるのだから。

 階段を上がり少し進むと二枚の襖。

 彼が感じる強い『力』はその先から放たれている。

 恐らく、そう(・・)成ってから全てを『人』を殺し続ける事でもしなければ、辿り着けない領域の『力』

 あとほんの僅か。何か強い『力』を持った何かを喰らえば、神の領域に届くかどうか。

 

 それに、あの人間。

 事もなげにそんな『妖』を握り、それに自意識すらあったように見えた。

 単に擬態しているだけか、それとも…


 彼は永く多くの人間と接し、数え切れない『悪意』を感じてきた。

 彼は永く多くの人間と接し、数え切れない『願い』を乞われた。

 何か目的を成す為に多くの人間は『神』である自身の寵愛を得ようとした。


 それなのに。 


 ―――どうせ暇なんですし、いいじゃないですか。


 欠片ほどの『悪意』なく、そう言い。


 ―――目的といっても特には…あ、お団子一つ頂きますね。


 欠片ほどの『願い』なく、そう言いきった。

 まるで一人の人間と接するように。

 

 自身の血縁、子孫である今代の『諏訪』と同じだ。

 十数年前、人が変わったように明るくなり、それからはまるで兄妹のように接していた。

 誰からもそれを認められず心を閉ざす寸前だったのに。

 心地良かった。事実、永い生の中でも安らぐ事の出来た時間だった。

 崇められ畏れられる立場を無視して心を許してしまった。

 『人』と『神』とは、交わる事が出来ない事を忘れていた。

 

 思考を振り切り襖を蹴破る。

 暗い部屋だった。そして濃密な『呪い』が満ちていた。

 僅かに肌が粟立つ。 


 それが、永劫に近い時間の果てに相見えた強敵との邂逅による、軍神としての本能に基づくものか。

 それとも、自身の子孫が心を許す人間を手に掛ける恐怖による、人間と近づきすぎた故の感情なのか。


 彼がそれに気づく事は、果たされなかった。




―――




 ―――バン!


 襖が蹴破られた。

 黒い影が部屋に入ってくる。


 ここまでは包丁の説明通り。


『お前が逃げたらアイツは絶対に追ってくる。アイツの顔知ってるようだったしな、逃がしゃしねえだろ』


 確かに。

 逃がしたら諏訪に告げ口をされ、そうしたら大変な事になってしまうだろう。

 もしも自分がそんな立場ならば、絶対に逃がさない。確実にとどめを刺す。


『そこを狙う。逆に殺す。文句はねえだろ?』


 文句も何も。

 殺そうとしたのだから、殺されても文句はないのだろう。


『カーテンは全部閉めろ、暗くしとけ。そんじゃ頼んだぜ攘魅(ぬすみ)。お前に掛かってるからな」


 包丁がそう言うと、箪笥の上に置かれていたカメラのシャッターがパチリと下りる音がした。

 いつの間にか、カメラには名前が付けられていたようだ。まあ、後で説明させよう。これが終わったら。

 

 そして、ふすまが破られ数秒。

 部屋に入ってきた黒い影が、暗闇に目が慣れたと思われる瞬間。


 ―――バシャリ。


 攘魅の、カメラのフラッシュが炊かれた。

 カーテンが閉められ陽光が遮られた暗い部屋。

 暗闇に慣れた目に入る強いストロボ光。


 一瞬だけ、目が眩んだはず。

 同時に、榮は箪笥の陰から飛び出し一気に駆け寄る。

 包丁に操られつつ、まるで残像を残すような速さだった。


 奇襲。


 卑怯だとか、小賢しいだとか、誇りはないのかだとか。

 それは弱者の言い分だ。不利な者の言い分だ。

 強いのならばそんな事、絶対に言わない。

 

 左手に握られた包丁を振るう。向こうは殺す気で来ているのだ。

 正当防衛だ。何の問題もない。


 それにこの包丁は元妖刀。包丁になった今でもその曰くは健在だ。

 先ほど、古物買取受付では腹で受け止めていた。

 しかし今は、その刃先がしっかりと向けられている。ただの剣など意味を成さない。


 ―――ジギン!


 火花が散った。榮の眉間に皺がよる。


 ―――防がれた?


 奇襲は成功した。しかし殺害はできない。健が持つ剣で防がれてしまった。

 籠める力が増したようだが、向こうの力の方が強い。

 弾かれる前にタン、タンと距離を離す。これで決めるつもりだったのだ。この先は何も考えていない。


 シャラリとカーテンを開ける。破り捨てた。ゆっくり開ける暇はない。

 元々夜目が利く方ではないのだ。


 しかしどうしたものか。

 唯一の出入り口は占有されて逃げられない。


 無機物が吐き捨てるように言う。


『やっぱ無理か。あの剣やべえな。流石神剣だぜ』

「真剣なのは分かってるよ。なんで斬れないのさ」


 コンクリート壁でさえ、豆腐のように簡単に切り裂いていたハズなのに。

 『呪い』の触手も車のボンネットも、容易く斬りまくっていたハズなのに。

 ただの鉄の剣が斬れない道理はないだろう。


『あぁ? 神の剣だよ、神剣。てか、あんなにデカデカ気配させてんだからよ。普通に気付けよな』

「…は?」


 この包丁は、いまなんと言った?

 神の剣と。聞き間違えでなければ、そう言った。

 『神』の剣を持つと言った。


 ―――じゃあ、目の前に立つアレは。


「神様? 間違いなく?」

『間違いねえな。ここまでやったんだ。土下座しようと逃がしてくれそうもねえな』


 逃げる? 何を言っているのだ、この無機物は。

 目の前に。ようやく見つけた『神様』がいるというのに。


「極楽丸、力を貸して」

『あぁ?』

「私『神様』を殺したいの。だから、力を貸して」

『…本気みたいだな。だが俺は、安くないぜ?』

「怖気付いた? 神様が相手で神剣を持ってて。自分の力が通用しないから」

『はっ、冗談抜かすなよ、榮』


 自然と体が動く。

 また極楽丸が動かしているのだろう。


『相手が神だろうが神剣だろうが、俺にとっちゃ関係ねえ。有象無象の区別なく、俺ぁ斬れりゃいいんだ。それによぉ…』


 包丁の切っ先が神様を指した。


『あの神は旨そうだ! 体がいきり勃つ! 肉を斬ったら! 血を浴びたらどうなる! 最高の獲物じゃねえか!』


 まったく、改心したのではなかったのか。

 だが、好都合だ。利害は一致したのだ。


 神様は殺す、絶対に殺す。

 逃がさない、絶対に殺す。


『行くぜぇ榮。ぶち殺す』

「いいよ、本気でやって」




―――




 先ほどまであからさまに命の狙ってきたくせに、今は様子見をしているようだ。

 気に入らない。自分から仕掛けて来たくせに。


 片手に持つのは直刀。装飾などは一切ない。全長は2mを僅かに越すほどか。

 榮には何も感じられないが、極楽丸を信じればそれは神剣だそうだ。

 神剣だろうが真剣だろうがどうでもいいが、目の前で敵対するのは『神様』だ。

 だから、殺さなければ。


『目ぇ回すなよ!』


 右足が踏み込まれる。するとそれだけで『神様』の懐へと入り込んだ。

 まるで瞬間移動したかのようだった。


 極楽丸が振られた。

 苦もなく受け止められた。

 一瞬の競り合い。押される形だ。


 不利だ、と悟った瞬間に景色が変わった。

 『神様』は先ほどの姿勢のまま。

 自分だけが動いたようだ。

 両足が鈍い音を立てたようだが凄く痛いだけだ。問題なく動く。


 心臓目がけて突きを入れた。

 体を逸らして避けられた。

 包丁を薙ぐ。器用に剣で防がれた。

 しかし押す形。有利だ。


 更に押す。押す、押す。

 しかし均衡したままだ。


『ちょいと、無茶するぜ』


 チクリと胸の中心が痛む。

 その直後、何かが榮の身体に満ちていく。何か暖かい感覚。

 今まで感じた事のない、昂揚感にも似た感覚だった。


 『神様』の顔面目がけて右拳が繰り出された。

 予想していなかったのか、防がれる事もなく吸い込まれた。

 グラリと『神様』の足がよろけた。効いている。

 拮抗していた競り合いの均衡が破れた。


 ―――終わらせる。


 大きく包丁を薙いだ。

 しかし飛び退かれ避けられた。


 外れた。そう感じた瞬間。グギリと足が嫌な音を立てた。

 ふらつく。よろけてしまった。

 視界の端には突撃してくる『神様』の姿が。


 神剣が大きく薙がれた。防がれる事の無いよう、極楽丸を持たぬ右半身を。

 体が動く。薙がれた剣を防ぐように右腕が置かれた。


 ―――ギギン、ビギリ


 『神様』の表情が驚愕に染まる。

 激痛が走るが、しかし榮の表情に曇りはない。


 ―――今!


 極楽丸が揮う。

 『神様』の衣服が切れ、僅かに血が舞った。

 しかし致命傷には程遠い。


 距離が離された。先ほどと同じように。

 折角の機会を逃してしまった。


『くそッ、やりやがるな! 伊達に軍神じゃねえ!』


 極楽丸がそう毒づく。

 その言葉から、どうやらあの『神様』は軍神のようだ。

 だがしかし、そんな瑣末事は榮に関係はない。

 殺さなければならない。だって『神様』なのだから、


 先ほどから右腕に鈍痛が走る。

 さっきの鈍い音から鑑みるに、きっと折れているのだろう。

 左足が腫れている。

 きっとこちらは捻っているのだろう。


 このままでは、神様を殺すのに支障をきたしてしまう。


『右腕、折れてやがるな。こりゃヤベェか』

「治して」

『あぁ? 治すったってな…』

「出来るの? 出来ないの?」

『…いいのか? 寿命縮むぞ』

「関係ないよ。早くやって」

『はぁ…後悔すんなよ』

「後悔なんてしないよ。するハズない」


 右腕が熱を持った。

 ギチギチと嫌な音がするが、気にすることはない。

 左足がむず痒い。

 メリメリと変な音がするが、全くもって問題はない。


 確かに間違いなく。痛みが無くなっているのだから。


 ―――ヒュッ、ボガン!


 壁際に置かれていた箪笥に、榮の右腕が叩きつけられた。しかし腕には傷一つない。

 何か黒い瘴気のような霧が箪笥から噴き出すが、特にどうという事もない。


 先ほど、神剣で斬り払われた時もおかしかった。

 剣で斬られたのだから、傷が付くのが道理だ。右腕の肘から先が落ちるのが道理だ。

 しかし金属質の甲高い音が立っただけ。骨折だけで済んでいる。傷は一つもない。

 まるで金属の篭手で覆われているかのようだった。

 きっと極楽丸が何かをしているのだろう。しかし好都合だ。


 中身は殆ど入っていない。しかし、50kgは下らない一棹の大きな箪笥。

 その箪笥が、まるで榮の右腕と融合したかのように、まるで重さなど感じないようにゆっくりと、持ち上げられた。


 ―――行くぜ、死ぬなよ。

 ―――終わらせるまでは、死ねないよ。


 榮の姿が掻き消えた。

 先ほどまでよりも遥かに重い物を携行しているのだが、先ほどよりもさらに速い。


 ―――ズッ、ゴン!


 巨大な質量の塊が『神様』の居た場所を陥没させた。

 外れた、避けられた。


 ―――右だ!


 右目の端には人影が見て取れた。

 畳に陥没した箪笥をブン回し、まるでハンマーのように打ち払う。


 ―――ゴッ、ギッ!


 鈍い音が聞こえた。

 神剣を振り下ろそうとした構えのまま『神様』は壁へと叩き付けられた。

 追撃。何度も何度も、何度も殴打を加えた。


 『神様』の服は破れ、血に塗れている。

 しかし相手が相手なのだ。

 これで殺せたとは思えない。

 確実に、心臓を貫かなければ。


 ―――手応えアリだ!

 ―――終わらせるよ。


 神様がめり込んだ先、一度思い切り箪笥を叩き付ける。もう用はないので後ろに放り投げた。

 これだけやって、しかし箪笥に一切の損傷はなかった。不思議な事もあるものだ。


 ―――これでっ。


 跳びかかる。倒れ伏す『神様』に。

 包丁が、極楽丸が、神様の心臓を貫く―――かに思えた。


「驚いた、正直」


 切っ先が僅かに食い込むが、それ以上は動かない。

 左腕を掴まれていた。押し込もうと力を加えるも、ビクともしない。


「人間相手に追い詰められたのは、これが初めてだ」


 ならば、と。

 剣でも斬れない右腕で、神様の顔面を殴りつけた。

 何度も、何度も。何度も何度も何度も。しかし。


「正直侮ってた。人間相手なら、すぐに終わるだろうってな」


 神様はビクともしない。

 人間程度の力では傷一つ負わせられない。そんな絶望感が。


 神様の右手に握られていた神剣が光を帯びる。白い光だ。

 圧迫感にも似た拒絶心が心のどこからか浮かぶ。しかしどこか懐かしい。


「だから、これで終わりだ」


 離れようとするが、左腕は掴まれたままだ。

 左腕に更に力を込めるが、ビクともしない。


 神剣が臨界に達する。

 迸る白い雷電。それが、爆発した。

 部屋を、世界をも呑みこむ圧倒的な『力』の塊。

 光の奔流。榮は白い光に呑みこまれた。

 そして―――




―――




「う…―――っ!」


 朦朧とした意識が、激しい痛みで覚醒した。

 一瞬だろうか、意識が吹き飛んでいたようだ。

 

 辺りを見渡す。壁がない、天井もない。

 空は雲一つなく、太陽が間近にも思えた。


 体を起こす。立ち上がるが、残骸に足を取られ無様にも倒れこんでしまった。


 ―――あの『神様』は…


 ボヤける視界を前に向ける。そこに神様が立っていた。

 服は破け血に塗れてはいるが、致命傷になるような傷は見つけられない。


 榮は立ち上がり、神様と相対した。

 動けるはずのない傷。榮を突き動かしているのは、偏に憎しみからだった。


「まだ生きてんのか。驚いた」

「殺すまで、死ねない…」

「だが、その内死ぬな。そんな有様じゃ」


 ―――そんな、有様…?


 ドロリと、何かが榮の左脇腹を撫でた。生暖かい液体だ。

 右腕を当てる。あるべき場所に、あるべき物がない。

 

 左腕がなかった。

 

 断面を握るが、鮮血が右手を濡らす。血が止まらない。

 視界が歪む。堪らず榮は倒れこんだ。立ち上がれない。力が入らない。


「それじゃあな、久しぶりに楽しかったぜ」


 そう言い残し、踵を返して去ろうとする神様。


 残された右腕を伸ばす。しかし血溜まりの床へ落ち、ビシャリと赤に濡れた。

 力が入らない。苦しい。視界が霞む。白く、白く。


 ―――あきら、め…


 ギシリと、体が痛む。

 意識が覚醒した。


 ―――あきらめ…る? どう、して…? いるんだ…そこに。


 振り返る事もせず『神様』は消えようとしている。

 逃がすか、逃がさない、逃がせない。


 ―――にがす、か…! ころして、やる…!


「ころ、す…!」


 ―――左腕が、ない位で…!


 『神様』を殺すため発揮した純粋な『悪意』

 『神様』へ抱き続けた特異、異質な『怨み』

 

 人の身には有り余るほどの憎悪。 

 それが、変貌させた。


「殺して、やる、殺してやる、殺してやる…!」


 榮の黒い髪から色が抜け落ちる。黒髪から白髪へと。

 眼は真っ赤に血走る。犬歯は獣のように伸び、残った右腕の爪がギギと音を立てた。

 

 それ(・・)の姿が掻き消えた。

 人間の目には捉えられるハズもない速度。

 跳び上がり、右腕を振り下ろす。

 完全に油断していたのだろう。振り向くも、その左耳が吹き飛んだ。


 しかし。


 神剣がそれ(・・)の心臓を貫いた。強い衝撃に血を吐きだす。

 宙ぶらりんになった榮の身体。その視界には、胸を刺し貫く剣が視界に入った。


「俺は、人間と戦ったんだ。人間のまま、死ね」


 まるで惜しむような表情。


 荒い息を吐きながらも、それ(・・)は右腕で神剣を握りしめる。

 ブツリと掌が切れ鮮血が流れた。


 ―――ころす、ころ、す、こ、ろ、す、こ…


 薄れゆく意識の中、それ(・・)を支配したのは。

 どこまでも、収まる事のない、憎しみだった。

・名前:(さかえ)

 性別:女

 職業:大学生

 好物:特になし

 設定:

 至って普通の大学生。

 顔見知りの男性の襲撃を受け、極楽丸の発案により逆襲を仕掛けた。

 しかしその正体が『神様』だと知るや否や、もはや躊躇はなくなった。

 『神様』の殺害の為ならば手段は問わず、寿命が縮むと理解した上で、折れた右腕と捻った左足首を再生させた。

 また、右腕を『箪笥』と融合させ打撃武器としても使用。その際に噴出した黒い霧に触れるも、特にどうということはなかった。

 『神様』に傷を付け、心臓を貫くまであと一歩のところまで迫るものの、最終的に至近距離から『力』の爆縮・解放を受けた事により、致命傷を負った。

 左腕は吹き飛び、魂は摩耗し、身体は崩壊寸前になるも、それでも『諦めなかった』彼女は、人でなくなった。


 自らの命を、身体を、魂を省みないその様は、まさに自殺そのものだった。


・名前:―――

 性別:―――

 職業:―――

 好物:―――

 設定:

 異質な『怨み』を宿した人間が、異常な『悪意』を抱いた結果生まれたモノ。

 白髪、紅眼、長爪。鬼のようだが、そうではない。

 変貌途中で心臓を貫かれた事により、不完全なまま活動を停止した。

 『神様』だけを殺す為に発生した、新しい法則。


 『呪い』の違うカタチ。あるいは『神様』の上位存在。


・名前:(たけ)

 性別:男

 職業:不明

 好物:酒

 設定:

 『万屋 矢尾』を訪れた、甚平を着た若い男性。

 榮に襲撃を仕掛け、その命を狙った。ある程度信用はしていたようで、乗り気ではなかった様子。

 しかし自身の攻撃(示威行動)を事もなげに受け止め、それが高位の『妖』であった為に攻撃を続行した。

 中位ほどの『神様』を行動不能に陥らせる『呪い』を浴びても平気な辺り、位階はそれ以上ある様子。

 彼は『軍神』である。太古、両腕に重傷を負ってからしばらく振りの闘い。

 ライバルに神剣を借り受け臨むも、たかが人間と侮っていた彼は手痛い反撃を受けた。

 最終的に手傷は負うものの、その健闘を讃えながら、神剣を触媒とした『力』の爆縮・解放による範囲攻撃を行った。


 自身の信徒に対してはこれ以上なく甘い。しかしそれ以外には、これ以上ないほどに興味がない。


・名前:極楽丸

 性別:不明

 職業:包丁

 好物:菜汁・菜肉

 設定:

 太刀が鍛え直された包丁。

 『妖』に対して強力な特効を持つ神剣と切り結ぶ事が出来る辺り、その『力』は計り知れない。

 『火虎』の一件で榮の血を吸った事で、彼女が所持者となっている。

 その為か、彼女の血に刻まれた業を引き出し、使用する事が可能。

 しかし全く修練を積んでいない為か、その業は拙い。表皮を鉄と同等の硬度にするのが限界。筋肉、骨は保護されない。

 また、彼女の骨折と捻挫を治した時にその繋がりは更に強まり、言葉を介さない意思の疎通が可能となった。

 しかし、一際強く結びついている左腕は『妖』と同質の物となっている。


 『力』の爆縮・解放が至近距離から直撃し、その『妖』としての要素は極限まで希釈された。


・名前:攘魅(ぬすみ)

 性別:不明

 職業:カメラ

 好物:風景(至上の風景、異常な光景)

 設定:

 意思を持つ妖カメラ。

 極楽丸に言われ『健』の眼を眩ませるためにフラッシュを炊いた。

 その後『力』の爆縮・解放により吹き飛ばされるも、極楽丸に庇われ掠り傷程度で済んだらしい。

 最近、兄貴分(姉貴分)の極楽丸に毒されてきている。それとも『妖』らしく育っていると言うべきか。だが本人? は榮と極楽丸、ひいては現在の環境を気に入っており、それを護る為ならば全力を尽くす。


・布都御魂

 刃長:七尺三寸九分

 中心長:一尺七分

 鎺元の身幅:一尺三分八厘

 特に飾り気のない鞘に納められた、古ぼけた刀。

 『妖』へは特に強い効果を発揮する神剣。

 数少ない、現存する神器の一つ。

 元は『建』の物ではないが借り受け、使用した。


 それに意思はない。ただ力として、揮われるのみ。

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