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白蛇のお話

 障子から漏れ射る光で目が覚めた。

 瞼を開けると、いつもとは違う色の天井が。


 ―――諏訪の家に泊まってたんだっけ…


 初秋独特の少しばかり肌寒い空気。それに反してとても温いお布団。

 今より寒くなると抜け出すのが億劫になってしまう。

 

 しかしいつまでも包まっているわけにはいかない。

 モゾリと温みを堪能し布団から抜け出そうとする。


 すると、右腕に何か柔らかさを感じた。


 ―――柔らか…?


 気になりそちらに顔を向ける。

 流れるような黒髪が自分の髪に絡み付いていた。

 

 諏訪である。


 長いまつ毛。二重のまぶた。

 すやすやすぅすぅと静かに寝息を立てて眠っていた。


 普段の頑固な言動からは、全く及びも付かない穏やかな寝顔。

 僅かに捲れた布団からは白い襦袢が。いつもの和服の下に着ているものだろう、きっと。


 ―――昨日は確か…


 ここで榮は、ようやく記憶を辿る事にした。


 ―――お風呂から上がって諏訪の部屋に戻ってきて…

 

 お風呂上り、ポカポカとした体で諏訪の部屋に戻ってくると、既にお布団が敷かれていたのだ。


 二組、くっ付けて並べられて。


 その後、諏訪はそそくさとお風呂に行ってしまった。

 待っていようと起きていたのだが、お風呂上がりのポカポカ加減を保持しておこうと、お布団に潜り込んでからの記憶がない。

 どうやらそのまま眠ってしまったようだ。


 しかし。


 夏休み、本家のボロ小屋で一緒に寝た時もそうだったが。

 どうして腕に抱きついてくるのだろうか。


 壁に掛けられた時計を見ると時刻は七時半頃。

 とはいえ起きてしまった以上、早めにお布団を片付けなければ。


「諏訪、朝だよ」

「ん、んー…」


 どうやら諏訪は寝起きが悪いらしい。

 声をかけてもモソモソと布団で蠢き、枕に顔を擦りつけている。

 それにしがみ付く力も強まっている気がする。


『お嬢、朝です』

 

 起こすのに難儀していると、襖の向こうから声がかけられた。

 この声は箕輪さんだ。


 諏訪を引き剥がして襖を開けると、黒いスーツに身を包んだ大柄の男性が。

 廊下は冷たいだろうに、正座をしてジッと待っている。


 襖を開けた榮を見て、箕輪さんは不思議な顔をした。


「榮様? …お嬢がご迷惑を」

「いえ、気持ちよく眠れましたから。ところで箕輪さん、諏訪起きませんけど」

「…布団を剥いでおいて下さい。その内に起きますから」


 言われた通り、諏訪に掛けられていた布団を剥いでおく。

 少し肌寒いだろうが、この方がかえって目が覚めるだろう。


「朝食の用意が出来ています。ご案内しますので、こちらへ」


 箕輪さんの後に続いて諏訪の部屋を出た。

 しかし、起きて朝食が出来ているとは。何と素晴らしい事なのだ。

 

 そういえば…


「諏訪、寝起き悪いんですか?」

「いえ、普段ならこの時間には起きていますが…そうですね、榮様がお泊りになると意気込んでいましたから」

「へー…夜更かしでもしたんですか?」

「夜更かし、といえばそうですね」


 空へと視線を向ける。

 

 抜けるような青い空だ。

 雲一つないまるで晴天の空。


 この頃は良い天気が続いて、それに空気も澄んで気持ちが良い。 


「そういえば箕輪さん、諏訪にお兄さんっていますか?」


 昨日の夜。

 廊下で出会った『建』と名乗った男性。


 昼も夜もお酒を飲んでいて、少し気になったから聞いてみる事にした。


「お嬢にお兄様、ですか?」


 しかしどうにも反応が芳しくない。

 まさか、あの男性は本当に泥棒だったのだろうか。


 箕輪さんは顎に手を添え、何やら考え込んでいるようだった。


「…その方の名を、お聞きになられましたか?」

「建って言ってましたよ。お酒飲んでて」


 口も悪くて態度も悪かった。

 けれども、どこか親しみやすかった。


「…いえ、お嬢にお兄様はおられません」

「そうなんですか?」


 ―――なら親戚の人か。諏訪と雰囲気似てたし。


 そう結論を付け、箕輪さんの後を着いて行く榮。

 そして数分もすると、見覚えのある戸が見えた。

 昨日、夕食を頂いた台所だ。


「それでは。お嬢もその内に来ると思います」

「ありがとうございます箕輪さん」

「いえ、お嬢の我がままに付き合わせてしまって」


 戸の中からはご飯の炊けた甘い匂いが。

 この匂いを嗅いでしまうともう駄目だ。お腹がグウと鳴った。


 カラリと戸を開けて台所へと入る榮。

 その時。


「そうですか。あの方を…」


 箕輪さんの呟いたその言葉が、なんだか榮には妙に耳に残った




―――




 諏訪のお母さんが作った朝ごはんはとても美味しかった。

 焼き鮭に冷奴、湯気が立つ白米に豆腐とワカメのお味噌汁。


 誰かの用意する食事とはなんと美味な事か。


 食べ始めて十分もすると諏訪が台所へやって来た。

 何やら頬を染めて榮の顔をチラチラと見つめていたのが気になったが、ご飯の美味しさは一欠たりとも損なわれる事はなかった。


 朝食も食べ終わり、昨日と同様に外へ出向く事になった。

 諏訪は茜色の着物へと身を包み巾着を提げ、榮は持ってきた洋服へと袖を通して身支度を整えた。


 そうして玄関を出ようとすると、何やら箕輪さんが申し訳なさそうな顔をして言ったのだ。


『お嬢、申し訳ありません。奥様と旦那様がお呼びに』


 何やら、諏訪はご両親に呼びつけられたらしい。

 怪訝な顔をしていた諏訪だったが、顔を出す事にしたようだ。


 待ち合わせ場所と時間を決め、榮は一足先に屋敷を出る事になった。

 箕輪さんが『お車を出しましょうか?』と尋ねてきたが、丁重にお断りした。

 車に酔ってしまっては歩く事もままならないのだ。


 階段をカツカツ降りつつ、榮は考える。

 

 しかし諏訪は、確か昨日も母親に呼ばれたのではなかったか。

 今日もまた再び呼び出されるとは何事だろうか。


 きっとあれだ。

 年頃の娘が他人と同衾した事をご両親に話したのだろう。

 箕輪さんが話したと考えるのが自然だ。


 まあ。だからといってどうという事もないが。


 そして、諏訪の屋敷を出て数十分ほど経っただろうか。


「うーん…迷ったかな」


 いつも通り。と、言うべきか。


 家の隙間や路地裏やらを通っていたら、見知らぬ場所にたどり着いてしまった。

 とはいえ、ここら一体全部が初めての場所なのだから、特に問題にもなりはしない。


 元々、榮の趣味は散歩だ。

 矢尾さんの店を見つけた時もその周辺を散歩していた時の事だった。

 こういう時は大抵、適当に歩いていればどうにかなる。

 

 見知らぬ風景。先の知れぬ道。

 それらが徐々に詳らかになっていく。

 自分の知らない事を知る事は、何とも気持ちの良いものだ。


 てくてく、すたすた。

 栄は道を進んで行く。


 そうして十分ほど歩いていると、交差点と出くわした。

 向こうまでは数メートル程。中央車線の無い狭い道路だ。

 通行している車は無い。この時間帯は空いているのだろう。


 赤いボタンを押してしばし待つ。

 ふう、と一息つき時間を確認する。すると約束の時間まで三十分程。

 そろそろ向かわなければ間に合わないだろう。


 ふと、足元に視線を落とす。

 すると何かが榮の視界に入った。

 灰色のアスファルトでは浮いてしまう、白く長細い何か。


 ―――蛇? それにしたって…


 歩行者信号は赤色。確かに止まれということだ。

 いやしかし、蛇が信号を理解するのか。

 人間が隣にいて逃げ出さないのか。

 珍しい白い蛇がこんな所に居るものなのか。


 しばし考えに浸る榮だったが、事実そうやって待っているのだ。

 疑う由もない。


 信号が青に変わる。

 スタスタと榮は歩き、横断歩道を後にする。


 ふと後ろを振り向くと、白蛇もニョロニョロと横断歩道を渡っている。

 しかし遅い。信号が点滅しているというのに、未だ半分。

 そうこうしている間に、信号は赤になってしまった。


 案の定、というか。


 左車線の向こう側から車が走って来た。

 相も変わらず、白蛇はニョロニョロと横断歩道だ。


 このままでは、確実に轢かれてしまう。


 こういう時、榮は考えるよりも速く動くタチだ。

 いつだってそうだ。

 目の前で消える命が、自分がなんとかできるのならば、そうするべきだ。

 そうするのだ、と。


 榮はそう、心に刻んでいた。


「ふう、危なかった」


 白蛇に迫り来る車。駆け出した榮。


 数秒後には。

 確実に轢かれていたであろう白蛇は、何の傷もなく榮の腕の中に納まっていた。


 何かこう、白蛇からは驚いたような雰囲気を感じる。

 まあ、包丁が喋ったりカメラが意思表示したりするのだから、今更驚くことでもない。

 白蛇は榮の左腕に巻き付く。ヒヤリとした感触が感じられた。


 白蛇のどこまでも赤い双眼は、榮をジッと見つめている。

 なにやら感謝をしているようだが、しかし榮は当然の事をしただけだ。


 白蛇が榮の首に巻きつく。

 こうやって改めて見ると結構長い。一メートル程度はある。

 榮は蛇には詳しくないが、これは随分と大きいのではなかろうか。

 頭を道路の向こう側へ向け、クイクイと頭を前後に動かしている。

 まさか連れて行けということか。


 まあ、待ち合わせの時間にはもう少しだけ余裕がある。

 また車に轢かれそうになっても仕方がない。それに、待ち合わせ場所もこの先だ。


 白蛇を首に巻いた榮はスタスタと歩道を歩き、白蛇の示す方へと向かうのだった。




―――




 腕時計を見ると待ち合わせの時間よりも僅かに過ぎている。

 少しばかり遅れてしまったようだ。

 喫茶店に入り、店内を一瞥する。カランと鐘が鳴った。


「さかえっ!」


 そう声が聞こえ、パッと手が上がる。

 そちらを見ると、艶のある黒い髪。茜色の着物。

 大和撫子を体現した美女が笑顔を浮かべて手を振っていた。


「さかえっ、こっちだよ!」


 うむ、諏訪である。

 店内は落ち着いた雰囲気で静かだから、諏訪の声がよく通った。


「ごめん諏訪。待たせちゃった」

「ううん、わたしも今来た所。けど、さかえが遅れるなんて珍しいね?」

「んー、ちょっと迷子がいてね。送ってきたんだ」

「迷子?」


 榮の言葉に首を傾げる諏訪。


 ありがとうを当たり前の様に言い、笑顔を素直に見せる。

 そんな子ども独特の雰囲気が、先ほどの白蛇にはあった。


 それに、何かに裏切られて傷ついた、擦れた雰囲気が無かったのだ。


「それで諏訪、どこに行くの?」


 元々、その予定だったのだ。

 諏訪が両親に呼ばれたから、少し予定が遅れただけ。


 諏訪と何処かへ遊びに。

 榮自身は、諏訪の趣味である映画鑑賞を考えていた。


 映画には疎い榮だが、映像作品を見て文句を言う程に目が肥えているわけでは無い。

 初心だからこそ楽しむ事が出来るのだ。


「うーんと…さかえ、神社は苦手、なんだよね?」

「………ううん、大丈夫だよ」


 諏訪は少し誤解しているようだ。

 榮はもう大学生である。物事の分別は弁えているし、苦手だからといって逃げ出す人間でもない。


 榮は神社が苦手なのではない。人よりもそう、ただただ大嫌いなだけなのだ。

 我慢に我慢を重ね続ければ、耐えられないわけでもない。


「え、えっと、ね。お父さんにね。お届け物を頼まれて…」


 ―――届け物とな?


 そして諏訪が言うには、その届け先がとある神社であるらしい。

 榮が神社を苦手なのも重々承知の上だが、用事はすぐに済ませるので着いてきてもらえないか、と。


「………いいよ、大丈夫、着いてくよ、近くで待ってるから、大丈夫」

「そ、そう? それなら行こう。この近くだからすぐに終わるよ」


 伝票を持って立ち上がる諏訪。

 その後ろを着いて行く榮。


 喫茶店を出て道路を沿って歩いて行く二人。


 しかし、榮の足取りは重い。


 今から神社へ行くのだ。

 何よりも何よりも大嫌いな神社へ。

 肩が重い頭が重い体が重い足が重い。


「どうしたの榮。足、痛いの?」

「…いや、別に。ところで、届け物って?」

「え!? ええっと…どら焼きって聞いてるけど…」


 どら焼き。

 そういえば、榮の実家近くにあった和菓子屋のどら焼きは美味しかった。

 栗あんを包んだそれを、高校から帰る道すがら立ち寄って買い食いをしたものだ。


「私、好きだよ」 

「え、ええっ!? わ…わたしも好きだよっ! そ、それでね、これから行く神社の宮司さんが―――」

「諏訪、ここじゃないの? えっと…びゃくだ、神社?」


 長く続く石段。見上げると朱に塗られた鳥居があるのが分かった。

 きっと山の上に建っているのだろう。この辺りはどうにも山が多いのだ。


 榮の横に建てられていた石碑には『白它神社』と刻まれている。

 蛇か何かを祀っているのだろうと大凡の見当はついた。


「え…あ、そうだよ! この神社! それじゃ! わたし行ってくるから! 少し待っててね!」


 タタッと石段を駆け上がって行く諏訪。

 着物だというのに器用なものだ。

 

 用事、とはいえお届け物を渡すだけなのだからすぐに終わるだろう。

 丁度よくベンチもある。待つのに苦はない。


「ふぅ…」


 ギシギシと音を立てるベンチに腰掛け一息つく。


 鳥居を通りさえしなければ問題はない。結局は大嫌いなだけなのだから。

 近づいたところでどうという事もない。体に不調や異常が出たりするわけでもないのだ。


「ふわぁ…んぅ?」


 背後の茂みから音が聞こえた。

 カサリ、と。何か軽い物が動いたような。


 その音がだんだんと近づいてくる。

 何か小さく、地面を這いずるような音が。


 ここは『白它神社』である。文字通り、白い蛇を祀っているのだろうと推察する事が出来た。

 それに先ほどの、横断歩道の白蛇ともこの辺りで別れたのだ。


 ―――…まさか。


 そろりそろりと後ろに振り向く。

 緑々とした木々が生い茂っている。その中に。


 見た事のある、白い長細い曲線。

 真っ赤な舌を一つシュルリと出し、赤い眼はこちらを爛々と見つめていた。


 間違いない。先ほどの白蛇だ。


 なるほど、ここを根城にしていたのか。

 白蛇を祀っているのだし、ここにいれば危険もないのだろう。


「無事だった? 元気そうなら安心したよ」


 そう言って手を近づけると、シュルシュルと器用に手に巻き付きながら肩へと登ってくる白蛇。


 しかしながら、野生にしては警戒心が無さすぎではないか。

 人が人なら振り払って逃げ出してしまうだろうに。いや、案外鋭そうだからその辺りは分かっているのだろう。

 それか誰かに飼われているのか。


「どうしたの? 道路に出ると危ないよ」


 そう言うと、白蛇は肩を更に登って今度は首に巻き付いてくる。

 首に蛇が巻き付く経験はさすがに初めてだ。苦しくはないが、冷たいやらくすぐったいやら。


 すると白蛇は得意顔で首を前に伸ばし、グイグイと引っ張ってくる。

 歩け、という事だろうか。


 諏訪が戻って来るまでしばらくかかるだろうし、行ってみるのも良いだろう。

 急かすように首を絞める白蛇にウンザリしながらも、榮はワクワクしながら歩みを進めたのだった。




―――




 ガサガサと茂みをかき分けて先に進む。

 途中、道が分からなくなれば白蛇が首を軽く締め、頭を別の方へ向ける。

 そんな事を繰り返して五分ほどだろうか。


 急に茂みを抜けた。


 燦々と日が射し込んでいる。周りは変わらず茂みに囲まれていた。

 手入れがされた芝生が敷かれ、所々に飛び石が埋められている。


 真ん中には茅葺きの小さな庵、だろうか。

 少なくとも、榮が祖母の家で泊まったボロ小屋よりは綺麗だ。

 

 その向こうには、何か大きな樹が聳えていた。

 

 ―――あんな樹、あったっけ?

 

 あんなに大きな樹ならば遠くからも見える気もするが、たまたま見落としていたのだろうか。

 まあ気にするほどでもない。

 今は首を絞め続ける白蛇をどうにかするのが先だ。

 ペチペチと首元を軽く叩くと、白蛇はポタリと地面に落ちて庵の方へ向かっていく。

 

 榮の方を向いて顔を見つめて進み、それを何度も繰り返して庵の方へ。

 着いてこい、という事か。

 こんな所まで来てしまったのだ。取り敢えず飼い主に挨拶をしなければなるまい。


 軒先に置かれた長椅子にはお盆が置かれ、そこには急須とまだ湯気を立てるお茶が入った湯呑み、半分に割られたどら焼きが置かれていた。

 誰かいたのは間違いないだろう。誰かは知らないが。


 長椅子に座るとキシリと音が立った。

 ツヤが目立つ木で造られた長椅子は随分と年季が入っている。

 手入れを繰り返して大事に使われてきたのだろう。


 長椅子に座ると足首をつたって白蛇が登ってきた。

 スカートでなくてよかった。そもそもスカートなど、幼い時の僅かしか履いた記憶が無いが。

 そうして白蛇はまた首に巻き付くかと思いきや、今度は膝の上でとぐろを巻いた。


 犬や猫ではないのだからわざわざ膝に乗らなくてもいいだろうに、と思う榮。

 しかしいちいち口に出す事はない。これはこれで落ち着くのだ。

 

 ふと、撫でてみたくなって右手を白蛇の頭に乗せる。

 すると驚いたように榮の顔を見つめるが、敵意が無い事が分かったのだろう。すぐに元の格好に戻る。

 再び頭に手を乗せると、今度は何事も無く撫でる事が出来た。


 ヒヤリと冷たくツルツルとした感触。

 ご近所の犬や野良の猫はよく撫でているが、それらの毛皮とは全く違う感覚だ。

 蛇をペットとして飼う人がいると聞くが、こんなに懐くのならば納得だ。


 そんな時間が十分ほど続いただろうか。

 白蛇が唐突に顔を上げ、一方を向いた。


 榮もそちらへ顔を向けると、人がいた。


 白い、白い、白い。


 第一印象はそれしかなかった。

 上から下まで真っ白。


 膝よりも長い髪。まるで光を発するかのように白い。

 雪のような肌。日焼けとは無縁なのだろうか。

 純白の衣服。おそらく貫頭衣、だろうか。これまた珍しい。


 ノシノシと大股にこちらへ向かってくる。何やら怒っているようだ。


「ふん、生意気な糞餓鬼め」


 ドサリと乱暴に長椅子に座った。

 外見に似合わず、随分と荒くれた所作をする。


 隣に座っても榮より頭一つ小さい。

 榮も身長が高い方ではないが、それよりももっと。

 小学生か何かだろうか?


 ぬるくなっているであろうお茶を一気に飲み干し、どら焼きをむしゃりと齧っている。

 空になった湯呑み。榮はお茶を注ぐ。

 お節介だろうかも知れないが、ついつい注ぎたくなってしまうのだ。


「どうしたんですか? そんなに怒って」

「気に喰わん小娘が胸糞の悪い事をぬかしおった! ええいムシャクシャする! 儂が直々に祟ってやろうか!」


 随分とまあ、物騒な事を言う少女だ。

 それに言葉遣いが古めかしい。まるでお話に出てくる老女だ。


「短気は損気、ですよ」

「何を言うか。怒るからこそ生物は進化をする。詰まる所、怒りこそ本懐。怒らないのはそれこそ、生き物として欠陥だろうに」


 何やら難しい事を言う。しかしどら焼きを頬張りながら言っても、何かと説得力に欠ける。


 どら焼きを呑み込んでお茶を飲もうと思ったのか急須を持つ少女。

 しかし湯呑みには既にお茶が注がれていた。それはそうだ、榮が注いだのだから。


 首を傾げ、不思議そうに榮の方を向く。そして、見上げた少女と目があった。

 少女の目は、白蛇と同じく赤い色だった。


 一瞬で空気が凍り付いた。

 そして。


「なんじゃお主!?」


 ―――あ、今更気付いた。




―――




「この白蛇、あなたのペットなんですね」

「ペットではないが…似たようなものじゃな。久しく産まれたがどうにも。またしばらく掛かるか」


 どうやらこの少女は、白蛇のブリーダーのようだ。

 ずっと前から白蛇を中心に繁殖させているとか。

 こんなに小さい少女がそんな事を出来るのか、と疑問を抱くところだったが、矢尾も随分と長くあの商売をしているようだ。

 人を見た目で判断してはいけない、という事だ。


 しかしこの少女、白蛇を失敗と言ってのけた。


「こんなに懐いてるのに。なら、名前付けてもいいですか?」

「いらんから勝手にせい。連れて帰っても構わんぞ。ここにいても仕方がない」


 ああ無情。

 だが、そんな精神をしていなければブリーダーなど務まらないのだろう。


 しかし名前か。

 名前を付けるなど、月輪に満、新に続いて四度目だ。


 ―――カイマンはトカゲだし。ニカイドウだと違うし。うろこ、鱗…りん、凜か…


「白凜、かな」


 うむ、中々良い名前だと自負できる。

 しかしやはり緊張したせいだろう。体から力が抜けてしまった。


「―――馬鹿な」


 何だか少女が驚いているようだ。

 眼を大きく開き、その視線は榮の膝元へと向けられている。

 榮も、少女へ向けられていた視線を膝へと向けた。


 人間が座っていた。


 榮からは白い髪の毛。そしてつむじが。

 隣に腰掛ける少女と違い、その髪は首元辺りで切られているようだ。

 しかし小さい。

 隣の少女が小学生の低学年かそこらだとすると、膝に座るこの子は幼稚園児かそこら。

 これでは誘拐犯ではないか。完全に事案である。


 試しに頭を撫でてみるとされるがままだ。

 サラリとした髪の毛が指をすり抜け、燐光を発するかの如く煌めいている。

 白凛の方も気持ちがよいのか、機嫌良さそうに喉を震わせた。


 今更、蛇が人間になっても驚く事ではない。

 火が虎に化けたり、自縛霊が浮遊霊になったりするのだ。


「そういえば、お名前はなんというんですか?」

「…三石。お前は」


 三石(みしゃぐ)と、少女はそう名乗った。

 なんだか変わった名前だ。まあ、苗字ならば不思議ではないのだろう。

 珍しい苗字ならばごまんといるのだから。


「榮です。旧字の方の」

「ふん、憶えておこう。お前が死ぬまではな」


 そう言い、お茶を啜る三石さん。

 どうにも老成した雰囲気が漂っているのだから、敬称を付けてしまう。


 そろそろ諏訪もどら焼きを届け終わっている頃だろう。

 膝から白凛を下ろして手を繋ぐ。暖かい。子ども特有の高い体温なのだろう。


 さて、どう言い訳をしようか。

 このまま幼児を連れて行っては通報されてしまう。

 拾った、は流石にマズイ。迷子という事にして連れ帰ろうか。

 それにしたって諏訪からの詰問は避けられまい。

 『誰の子!?』と問い詰められても答えようがない。


「…気が変わった。其奴は置いていけ」

「どうしてですか?」


 どういう心境の変化だろうか。


 榮は白凛をおぶる。とても軽かった。

 昔を思い出してしまいそうになるが、なんとか押し留める。


「其奴を連れ出した所で怪しまれるだけだろうに。儂が直々に面倒を見る」

「いらないって言ったじゃないですか、さっき」

「…生意気な。儂を誰だと思っておる」


 三石さんの顔から表情がスッと消える。

 幼さ故の残虐さ、と言おうか。成熟した者にはない凶悪な雰囲気が榮には感じられた。


 白凛は榮の首にその細い腕を回して身体を押し付けている。首に回された白凛の手も心なしか震えている。

 三石さんのこんな恐ろしい表情を見たのだ。怖がっても仕方がない。

 しかし榮に子どもを養う力がないのも事実。まあ、矢尾さんに相談すればなんとかなるだろうと、榮は彼女を不思議と信頼していた。

 目の前で静かに怒気を募らせている三石さんも、先ほど言った事を取り消すような事はしないだろう。


 これはあれだ。

 このまま白凛を背負って逃げ出すのが得策だ。

 ここに来てから、なんだか妙に体の調子がいいのだ。

 森の中で遊んでいたあの時のように。


 取り敢えず庵を跳び越せば逃げ出せるだろう。そう見当をつけて足に力を込めた。

 そして跳び出す、直前。


「さかえ~!」 


 声が聞こえた。

 振り向くと案の定。

 茜色の着物に身を包んだ、黒い艶のある長髪が目立つ大和撫子。

 諏訪だ。どうしたのだろうか?


「し、下にいなかったからっ、探しに来てっ」


 はあはあと息を切らしながら諏訪は言った。

 そうか、もう用事を終わらせていたのか。

 これは悪い事をしてしまった。


「…ふん、諏訪の小娘か。何の用だ」


 そう言うと、三石さんは怒気を収めたようだ。

 どうやら二人には面識がある様子。


「え…あの、その、榮を探してて…」

「ならば済んだであろう。さっさと出て行け。背中の其奴は置いて行けよ」


 そう言い捨てて庵へと戻っていく三石さん。

 なんという横柄な態度だ。

 だが面識があるだけで、仲が良いわけではないようだ


「あ、あの、さかえ…?」

「あ、ごめんね諏訪。勝手に出歩いちゃって」

「え、うん。大丈夫だよ。けど、その子は…?」

「迷子だよ? ここの子だったみたい。それじゃ行こ」


 よいしょと白凛を背負い直し、元の場所へ戻ろうとする。

 すると諏訪に袂をつままれを止められた。


 振り向くと、何やら困った顔をした諏訪が。


「ま、迷子、なんだよね…? 連れてっちゃダメ、だよ」

「けどあの人、いらないって言ってたし」


 コツン、と頭を叩かれた。それも諏訪に。

 これはまた珍しい事もある。


「ダメだよ、榮。子どもにそんな事、言ったら」


 どうやら窘められたようだ。

 まあ確かに、子どもの前で『いらない』と言っては、情操へ大きな影響を与えてしまうだろう。

 確かに、軽率だった。


 肩を叩かれた。

 白凜だ。


「どうしたの? 白凜」

「…」


 ジッと、榮の眼を見つめてくる。

 ふむ、どうやら降ろせと言いたいようだ。

 それに『自分はここに残る』とも。


 榮としては連れて帰りたかったのだが、仕方がない。

 当人がそれを望むのだから無理強いは出来ない。

 ゆっくりと白凜を降ろし、榮は膝を降り目線を合わせた。


「それじゃあ白凛。意地悪されたらすぐに教えてね。迎えに来るから。あ、それと」


 そう言いながら、榮は首に掛けられたペンダントを外す。

 少し前、菫さんの屋敷へ出張した際に出会った彫刻家、鹿屋野さんから頂いたものだ。

 矢尾さん曰く五万円もする物らしいが、特に執着はない。


 白凜の白い首筋に手を回し、ペンダントを掛けた。


「うん、似合うよ。大事にしてね」


 コクリと頷く白凛。

 素直でいい子だ。

 一度頭を撫でると、くすぐったそうに顔を綻ばせた。

 可愛い。


 そして何度も何度も頭を下げて、庵へと歩いて行った。

 三石さんも悪い人ではなさそうだが、良い感情は浮かんでいなかったように思える。

 白凜が虐められなければいいが。


 ―――そしたら迎えに来ればいっか。


 振っていた手を下ろすと、諏訪から話しかけられた。


「あの子、白凜っていうんだ」

「可愛い子でしょ? 素直で」

「…うん。そう、だね」


 何やら諏訪が言い淀んだようだが、どうかしたのだろうか。


「さかえ、あの…人、と何かあったの?」

「三石さん? えっと…教育方針の齟齬、かな」


 諏訪に首を傾げられたが、大体あっている。

 人に『いらない』と言われるのは、辛い物だ。

 とてもとても。張り裂けそうになるのだ。


 いつの間にか、随分と高い場所まで登っていたようだ。

 景色が一望できる。遠いハズの湖がとても近いように見えた。




―――




 布団の中は暖かい。毛布を頭まで被ると更にドン。

 足の先から体の芯までポカポカだ。

 いつもならば、数分もすれば寝付けるのだが、しかし寝付けない。

 昼間、嫌な事を思い出したせいか。


 体を起こして辺りを見渡す。

 やはり諏訪の部屋だ。壁掛け時計からはカッチカッチと音が聞こえ、襖の向こうからは風が靡く音が聞こえる。

 少しだけ風が強いのか。カタカタと襖が震えている。


 隣には諏訪がスヤスヤと寝息を立てて眠っていた。

 羨ましい。


 昼間、神社を出た後、一緒に映画を見に行った。

 諏訪の趣味は映画鑑賞と岡谷から聞いたからだ。


 タイトルは『タタイタニック』

 某有名な船の映画を連想させるようなタイトルだったが、主人公ニックが叩かれるだけのギャグ映画だった。ポスターが完全にパロディだったのには目を瞑ろうと思う。怒られないのかと心配になったが。

 主人公ニックが囚われのヒロインを助けられる際、暴漢と間違われ叩かれたのを皮切りに、銃床で叩かれたりソファーで叩かれたり船の模型で叩かれたり。

 銃を突き付けられたシリアスな場面でも、なんやかんやあって頭を叩かれ解決してしまう。


 怒涛の展開に着いていけなくなるかと思ったが、映画のお約束がいくつも盛り込まれており、案外しっかりとしたストーリーが組まれていた。

 しかしまさか、密室に閉じ込められた主人公を助ける為に天井をぶち破ったヒロインから殴打されるなど、誰が思うのだろう。

 ラスト、ヒロインとのウエディングで指輪を交換している時、闖入してきた敵組織から逃げるためヒロインをお姫様抱っこで抱えて頭をポカポカ叩かれる所で幕を閉じた。


 どうやら一部界隈で有名な監督が指揮をしているらしく、諏訪は楽しみにしていたのだという。

 諏訪は、新作映画は必ず劇場で見ているらしい。ジャンルは問わず監督も問わず。見かけにはよらないものだ。


 映画館に行くなど何年振りか。

 特に興味がないジャンルだから無視していた。今度、食指が動く作品があれば見に行ってみようと思う榮だった。


 しかし寝付けない。

 これは散歩でもして気分を紛らわせるしかない。

 襖をそっと開けて廊下へ出る。諏訪が起きないかと心配になったが、そんな様子もない。

 グッと背伸びをして深呼吸。少し肌寒いが気持ち良い。


 門を潜って外に出る。

 僅かに欠けたお月さまが見える。雲も少なく、良い天気だ。

 暫し歩き、湖が一望できる場所に東屋があった。丁度いい、少し休もうか。


 サワサワと心地よい風。

 木々を揺らす優しい音。

 自然の音。自然の声。自然の色。


 やはり、良い。

 こういう場所が、自然の残った場所が、榮は好きだった。

 体の調子がいいのだ。体が軽い。気分が良い。


 三石さんがいた場所も、祖母の家がある森の中も。そして、この場所も。

 思えば、遠くまで来たものだ。ここまで遠出した事など、数えるくらいだ。

 ボンヤリと月夜を眺めていると。


 ガサリ、と。

 

 近くの藪から音が聞こえた。

 何か既視感があるが、これはまさか…


 後ろを振り向く榮。

 闇に浮かぶように白い人影が見える。

 座っている榮と同じ高さの視線。

 白い髪の毛。白い衣服。白い肌。

 白凜だ。


 ハアハアと息を切らせて、不安げに眼から涙を流している。

 やはり虐められたか、これは保護せねばと息巻く榮。

 だがふと異変に気付いた。


 真っ白い衣服のあちこちに黒い泥を付けている。

 転んだのだろうかと慌てて駆け寄り拭うと、肌に染み込むように蒸発した。跡形も残さずに。

 これは、どういう事だ。

 どう考えても尋常な現象ではない。

 アルコールが肌に付いた時に似ていたが、榮の知る限り泥がこんな現象を起こす事はない。

 異常事態だ。そして白凜は這う這うの体で逃げてきたのだろう。


「三石さんに、何かあった?」

「…!」


 白凜がコクリと頷く。


「行ってくるから、白凛は待っていて。諏訪の家にいれば大丈夫だから」


 白凛はふるふると首を横に振るが、こればかりは譲れない。

 体が軽いのだ。

 こんな気持ち、久しぶり。


「大丈夫。絶対に戻ってくるよ」


 もう、何も、怖くない。

・名前:(さかえ)

 性別:女

 職業:大学生

 好物:どら焼き(竹風堂・栗あん)

 設定:

 至って普通の大学生。

 諏訪の家でのお泊り二日目。快適に過ごしているようだ。

 諏訪と待ち合わせの時間まで暇潰しをしていると、横断歩道を渡る白蛇を見つけた。呆気に取られるも轢かれるギリギリの所で助け、懐かれた。腕や首を絞め付けられるも許す辺り、随分と甘い。

 大嫌いよりもずっと嫌いな神社前で待っている間に、助けた白蛇と再会。案内され、茂みを抜けた先には小さな庵が。

 白蛇へ『白凛』と名付けた。これで生涯四度目。全てロクな結果になっていない。何故だか『白凛』は人型になるも、今更なので驚きもしなかった。

 いらない(・・・・)と言ったハズの『白凛』を置いて行けと言われ、庵を跳び越して逃げ出そうとした。どうやら彼女の逆鱗に触れたようだ。

 泥に汚れた『白凛』を見た途端に『三石』を助けに行く辺り、やっぱり甘い。


 SPECIAL SKILL:『神血』神域では全能力超特大上昇。


・名前:諏訪(すわ)

 性別:女

 職業:大学生・祓い師

 好物:御御御付け

 設定:

 大和撫子な大学生。

 榮を家に泊めて二日目。このまま閉じ込めておけないかと考えている。

 榮と一緒に遊べると興奮し話が弾み、朝は少し寝坊してしまった。

 一緒に家を出る直前、母と父に呼びつけられて機嫌は急転落。ブチ切れ寸前に。喫茶店を待ち合わせ場所にする辺り、やっぱりお嬢様。

 親交のある神社へお届け物をする為、榮を連れ立って向かった。榮が神社を大嫌いなのは理解していたが、何とか着いてきてもらった。

 届け物をした後すぐに戻るも榮の姿がない。榮を見つけるも、三石と一触即発な雰囲気を見て慌てに慌てた。流石の彼女も祟り神は分が悪い。相性的に。


 SPECIAL SKILL:『神宿』宿した神に応じて能力変動。


・名前:三石(みしゃぐ) 

 性別:女

 職業:ブリーダー

 好物:どら焼き(竹風堂・栗あん)

 設定:

 庵に暮らす、全て全てが白尽くめの少女。

 顔立ちはやはり幼く、榮は小学生くらいかと感じた。しかしその割には乱暴な所作で古臭い言葉を使う。一人称は『儂』

 誰かを『生意気な糞餓鬼』諏訪を『気に喰わん小娘』と言ってのける。どこぞの誰かよりもかなり年上。

 『進化は怒りから生まれる』と持論を持つ。どら焼きを頬張りながら言っても説得力はなかったが。

 榮に懐いた白蛇が人型になった時、その表情は驚愕に染まった。何かあり得ない事が起こったのだろう、長い生の中でも。

 榮と一触即発の状況になるも、間に入った諏訪の小娘に興が削がれ、争う事はしなかった。表情が消えた時には凶悪な雰囲気を発する。伊達に長く生きてはいない。

 その夜、何者かの襲撃を受け、白凛を逃がして生死不明に。

 『古神』『偏屈な祟り神』『貢ぎ物はどら焼きだけ認める神様』とかなんとか。

 ずっと前から神様。


 SPECIAL SKILL:『祟り』任意の人物を任意に祟る。


・名前:白蛇

 性別:不明

 職業:候補

 好物:蛙

 設定:

 全長1m程の白蛇。

 横断歩道を渡っている際、トラックに轢かれそうになるも榮に助けられた。

 その際、全く『悪意』のない人間に驚くも何か安心する雰囲気を感じ取り、全幅の信頼を寄せて懐くまでに至った。

 何かお礼がしたいと考えていると、近くで『恩人』の匂いを感じ取り迎えに行く。美味しそうに食べていたどら焼きをご馳走したかったのだろう。

 その後、榮に名を付けられ、人型へと変じた。


・名前:白凛(はくりん)

 性別:不明

 職業:見習い

 好物:お茶

 設定:

 全長1m程の白蛇が人間に変じた姿。外見はまるきり幼稚園児くらい。

 榮に名付けられたことで、元来宿していた神性が開花し『候補』から『見習い』へ昇格した。

 サラリとした白い髪は撫でると燐光を発するように煌めいている。世代以外は三石に似ているが、言葉を発することはない。

 榮が三石と一触即発の事態に陥った時、恐ろしさのあまり震えて何も出来なかった。だが、自分が『恩人』といると迷惑がかかると考え、榮の下を去った。その際『神器』を授かった。

 神域に襲撃を受け、這う這うの体で逃げおおせて榮の下へ辿り着いた。無事だったのは『神器』のおかげ。

 次代の神様。誰かが待ち望んでいた。


 SPECIAL SKILL:『障り』任意の人物を任意に障る。

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