【魔の森〈前編〉】
天魔の邂逅
第3話【魔の森〈1〉】
魔の森とは、『眷属級』の魔獣がうじゃうじゃといる場所だ。
元は魔獣が発生しない楽園のような場所だったらしいが、何代目かの魔王が遺伝子操作の失敗作を捨てたのが原因で地獄へと変わってしまった。
ここは魔王の側近クラスでさえ重傷を負う危険地帯。
そんな場所へ天魔は訪れていた。
「なかなか気持ち悪い魔獣がいるな……なんだよあれ……ムカデに羽が生えたキモい生物」
名前はフロウムカデらしい。
ムカデはゴキブリに次いで嫌われている生物なのでそれに羽を生やして戦力として投入したらどうだと考えた歴代魔王がいたが、失敗。生殖機能は追加していないので当時より数は増えていない。
が、力は大きくなってしまっていた。
暫く歩いていると二体の魔獣が睨み合っていた。
邪魔をしないように気配を消して横切ると戦闘が始まった。
片方はミミズのような生き物でもう片方は紫色のカエルだった。
「相変わらずキモいな」
紫色のカエルは口を開いて緑色の液体を吐いた。
その液体からは刺激臭がして、それを浴びたミミズは暴れ出した。
体の一部が紫色に変色している。
その変色した部分から何か幼虫のようなものが出てきた。
無数の幼虫はミミズは目の前にいるカエルの皮膚を突き破って中へ入っていく。
「寄生されていたのか。迂闊にここの魔獣を食べないほうがいいかもしれんな」
そう呟きいてここを去る。
次に向かった先には木に覆われていない草原があった。
ここで休憩をしようと地面に座った途端、地面が大きく揺れた。
「今度はなんだ」
いろいろな物語とかで出てくる地面を背負った亀がいた。
亀は人が歩くのと同じ速さで進んでいく。
途中、木々がバキバキと折れたり、呻き声が聞こえたりするが気にしない。
「ひとまずこの亀が何なのか鑑定しよう」
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島亀
現代で言う『精霊級』。成獣になると甲羅の面積が5万平方キロメートルを超え、洞窟や山脈が生成されるようになる。
戦闘能力は『英雄級』には及ばないが、防御能力は『現代神級』まで及ぶ。
また、島亀の体内にはもう一つの世界があると言われ、その世界には島亀に寄生している生き物が住んでいると言われ、世界の中心に心臓がある。
島亀から取れる魔石は90億人分の魔力が貯蓄され、完全に使い切るのは不可能。
(古代神支配時代はA級)
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「なら生成されている洞窟を拠点としますか」
近くにあった洞窟の天井を一部壊すなどして簡易的な部屋を作る。
そこに森で集めた道具などを置いて島亀の上を探検する。
「にしてもこいつの体どうなっているんだよ。地面も簡単に掘れるし、木が生えていて木材としても使用可能。それに加えて川が流れてそこには食べれる魚が存在しているって外とあんまり変わらないじゃないか。見た所甲羅のところには魔獣もいてないみたいだし、楽に過ごせそうだ」
と思いながら準備などをしていると日が暮れた。
念のため魔獣がでねくるかもしれないから結界を張って就寝をしたところ、『ドンッ』と急な縦揺れが天魔を襲った。
明かりをつけて周りを見てみると、何故か土の中に入っていた。
「地面が陥没したのか?割と頑丈そうなところで寝たんだけどな……。ここにいても数週間は生きていけるけど地上にはいとかないと」
土属性の魔法を行使して土から地上へ出ると、そこには大きな世界が広がっていた。
「広さはこの亀の体長か。2日で一周できるな」
この世界には海が存在している。が、生き物は一切存在していない。
この海みたいなものは胃液の役割でもしているのだろうか。
「さすがにこんなところにいるわけにもいかないし……ここには1週間ぐらい滞在する用しかないしな……とりあえず上を目指そう」
今更ではあるが、この世界の明かりは太陽みたいだった。
熱を発しているし、明るい。
鑑定で調べると魔石の一種だった。
「とりあえずここから出る方法を探すか。ってなんだこれ?」
足元に何か埋まっていた。
掘ってみると人骨と日記のようなものが出てきた。
『ここへやって来た未来の人たちへ
ここは知っての通り島亀の腹の中だ。
海のようなものは薄い塩酸の湖で入ることは推奨しない。
ここで出てくる魔獣ランクはBからSS。稀に中級精霊が現れるから気をつけるといい。
ここには何があるかというと、あの赤く燃える山岳地帯を抜けた先に遺跡がある。
私では解読できなかったが、神代言語の一種だということはわかった。また、その遺跡は山の上から見ると魔法陣の形をしている。
あくまで推測だが、これがここから出る唯一の手段なのだろう。
魔法陣の発動条件は………で私は………ので………だった。
最後に、私の亡骸の下にあるであろう神剣を託す。
どうか、ここから脱出してくれ』
さらに掘ると剣が出てきた。
鑑定で調べると天候神の加護が付いている。日照り、大雨、竜巻、ふぶきなどなど天候に関わるいろいろなことができるみたいだ。
「神剣も持ったし、その遺跡へ行ってみるとしよう」
天魔は知らなかった。
島亀の腹の中にある遺跡の中である出会いがあることを──。




