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天魔の邂逅  作者: シグマ
冒険者創始樹編
10/20

冒険ギルド レガルト山脈産魔獣軍殲滅戦〈6〉

天魔の邂逅


冒険ギルド レガルト山脈産魔獣軍殲滅戦〈6〉


まだ太陽が昇っていない頃、俺……俺達冒険者はギルドに招集されていた。

ギルドの横には大きな魔法陣が書かれた場所があり、その周りには宝石のようなものが並べられている。


「これが転移門」


転移門、その動力となるものは宝石……魔石から外に漏れる魔力だ。

転移門で500人を転送するには最低でも半径30cmの魔石が6つ必要だ。

半径30cm以上の魔石は魔獣から取れることは少なく、大抵が地中に埋まっている。その魔石を魔獣から確保しようと思えばSSランク級のものを倒すしかなく、討伐できる人も少ないため、供給が少ない。故に、これほどの魔石は白金貨数十枚で取引されている。


「転移門は各国のギルドの本部に置かれ、ギルド総合本部がある国は全てのギルドに転移門が置かれている」と、クロアが言った。


「さあ、行くぞ!!」


ギルドマスターがそう言うと、前にいる冒険者から転移門に入っていく。

俺も、順番が来たので転移門に入ると、視界が歪み、数秒真っ暗になった。

暗い空間を歩いていると、円い穴が空いていて、そこからは光が漏れ出し、指定先の場所の景色が映っている。

そこは、雪が積もっていて、直ぐそこには天に届くくらいの山があった。

この山が俺達の目的地であるレガルト山脈だ。

レガルト山脈は、9ヶ月の冬と3ヶ月の夏があり、唯一、気温が0度を上回ると言っても雪が積もっていないのは標高2000mまでだ。

現在の季節は冬から夏への変わり目なので、雪が溶け出し、土砂崩れや雪崩が起きやすく危険だ。

幸い、魔獣が集結しているのはレガルト山脈で最も平坦なところなので戦いの途中、地面が崩れて……ということはないだろう。


「にしても運が悪いな。この前の冬は例年よりも多く積雪したと言われている。水が確保できるのは嬉しいが、その分危険性が増す」

「多く積雪したってどのくらいですか?」

「そうだな……例年が7mくらいだから今年は10mとかそんなところじゃないか?近年、7大龍の氷を司る竜、氷竜が魔王領の方から獣人領の方に勢力を伸ばして来ていると聞いたことがある。それが原因じゃないか?」

「あれ?氷竜って魔王領の更に北にある山を住処にしているんじゃないんですか?」

「確かに、そこが住処と言われているが、勢力範囲はそこだけではない。魔王領の一部と北の海の気温、天候、季節を操っている」


ちなみに、炎龍は元々何処を住処としていたかというと、炎龍曰く、『僕の家は世界各地の火山だよ』なので、特に何処を縄張りとしているわけではない。一応、住処としている場所があったが、今は跡形もないらしい。

最近、ある龍が破壊したとも言っていたような気がする。


「リーダーとスログと……ギルドマスターが呼んでいます」

ユイアは俺に見向きもせずそう言って立ち去った。


「何か言いたいことがあるだろうが、今は我慢してくれ。彼奴も色々と思うことがあるみたいだからな」とスログが言った。


「気にしてません。俺達も行きましょうか」


俺達もユイアとクロアの後をついていった。

ギルド支部の外装は10階建の箱型の建物で、中に入ると受付やギルド員の宿泊施設があり、地下1階に温泉、2階(地上)に飲食店、3階は隣にある建物と繋がる渡り廊下の一部、4階は会議室、5〜7階は食糧や武器庫、8〜9階はあるらしいが、何も書かれていなかった。最上階にはレガルト山脈を監視する魔道具やアーティファクトが置かれ、今も見ようと思えば見れるみたいだ。


案内図を見ていると、ギルドマスターが降りてきたみたいだ。

横には見たこともない人が2人いてその紹介をしていた。


「この右に居るのは『英雄』ランカーの1人、アキトだ。偶々ここ周辺で依頼を受けていたらしく、それを引っ張ってきたところだ。左に居るのはここ、東支部のギルドマスター、レイラスだ。彼等も今回の討伐に加わってくれるといっているので早速向かおうと思う。

準備はできているよな?行くぞ!この町を守るために!!」

ギルドマスターがそう叫ぶと、周りから声が上がった。

彼は大人数の冒険者を引き連れて山脈に向かう。

また、龍などと契約しているものはそれに乗って先に目的地へと向かっていった。




目的地に着くと、早速テントなどが組み立てられ、ギルドマスター率いる冒険者が来る前に建てておこうと先に来たものは準備に勤しんでいた。

暫くして徒歩組みが到達し、小一時間の休憩が与えられた後、俺は会議室で説明を受けた通り、炎龍に乗って偵察へ向かった。

魔獣に気づかれないよう、高度を上げ、ギリギリ見えるか見えないかの辺りで辺りを見下ろした。

地表が雪によって白かったため、直ぐに魔獣の群れが見つかった。

ゴブリンの数は前回戦った時よりも10倍近く多く、その横にはオーク、オーガ、スライムが後ろにあるものを守るように位置し、その後ろにはキラキラと輝く緑色の龍と何匹かのワイバーンがある建物?を守るかのように飛んでいた。


「あの龍は……」


「あの龍は何て名前の龍だ?」と、炎龍に聞こうとした時、通信が入った。向こうは何やら忙しそうで声をかけてみると、悲鳴が聞こえた。

自分の周りにいた偵察部隊も同じようならしく、混乱していた。

クロアが落ち着かせようと声を上げようとした時、俺の近くにいた、白銀の嵐のチームメンバーの一人だと思われる青年が下にいる魔獣の軍団の方に指をさした。


翠玉龍(エメラルドドラゴン)……地龍の眷属であり、上位龍であるあの龍が何故ここに……」


翠玉龍、それは緑竜の上位種であり、討伐ランクはSSSから『英雄』ランク。クロアでもキツイかもしれない。

翠玉龍は、口を大きく開いて周囲の魔力を口元に貯めていく。

そして、冒険者の多く集まる場所に白銀のブレスを吐いた。

今のブレスはもしかしたら炎龍のブレスで防げたかもしれない。

ふと、そう思ったができなかった。

何か、色々と急過ぎる。

ついさっきまで平和?な空間だったのだ。それが1時間も経たないうちに地獄に化した。

翠玉龍がブレスを吐いた後、周りにいたゴブリンなどの魔獣はバラバラになった冒険者を襲うべく雪山を登っていく。

空から見たら緑色の物体が動いているようにしか見えないが、下は大変なことになっているのだろう。


「おい、お前ら……」


クロアは白銀の嵐のメンバーに殺気を浴びせながら声を出す。


「今すぐ向かえ!1人でも多くの人命を助けるぞ!!」

「俺も……炎龍、下にいるゴブリン共を焼き払え!!」

『わかった』


炎龍は俺の指示を受けて周辺の魔力を操作して炎を生み出して風を作る。

それを利用して一気に地表直ぐ近くまで急降下し、ブレスを吐かせた。

山を覆っていた雪は解けだし、登ってくるゴブリンを巻き込んで下へ、下へと流れていく。

数秒の間に水によって強制的に山を駆け下りることになったゴブリンは俺の方を睨み、山を登ってきた。が、次の瞬間には真っ二つにされ、全てが絶命していた。

ゴブリンなど、魔獣の屍の中を進む人影が1つ。……その人影は自身に向かってくる魔獣を次々と血祭りにした。

その人影はついには俺の近くまで来て被っていたフードを捲って姿を見せた。


「凄いブレスだったよ。だけど、もう少し火力が強くないとダメだね。あ、そうそう名前を言っていなかったね。僕の名前はアキト。よろしくね」


アキトはそう言ってフードを被り直し、奥へと向かう。


「さあ、早く殲滅しよう。そして報酬を頂こう?」

「……何者だ?」

「紹介聞いていなかった?僕はこれでも『英雄』ランカーの1人なんだけどね…。まあ、いいや。そんなことより早く殲滅しないと不味いみたいだよ?ほら」


彼は山頂付近で戦う人たちを指差す。

そこには数え切れないほどのワイバーンが空を覆い尽くしていた。


「ほらね」

「………」

「さあ、行こう」

「………お前は何者だ」

「………機会があれば教えるよ。僕をガッカリさせないでくれよ?───に愛されし者よ」


俺は目を見開いた。

どうしてその言葉をしているのだろうか。それは俺と───の眷属や関係者しか知らないことだ。

もしかして、こいつは………


俺がそれに続く言葉を吐くために口を開いたとき、彼は既に魔獣を殲滅するために山を登っていた。



いきなり………。

もうそろそろ第1章を終わらしたいな……。

そのために少し調整中。

この話と次の話か、その次の話でこの章は終わりかな?それとも少し話を追加して終わらそうか………



11/9 お知らせ

次話投稿、近日模試があるので遅れます。

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