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『WWW』~World Wide War~  作者: クローバー
第一章 始まり
6/6

うりぼーってのは子供の猪のことだよ。え?知ってる?ごめんなさい。

今日、家の近くにたぬきが出ました。そんな辺境の地に住んでいる作者です。

 夏貴は木の陰に隠れ、息を潜めていた。なぜならモンスターと遭遇してしまったからだ。それも、今までのようなネズミではなく、比べ物にならないほど巨大なイノシシだった。体長は2mを超え、鋭い牙を持っている。体は硬そうな皮膚と毛で覆われており、並大抵の攻撃では傷一つ与えられそうにない。


(どうすっかな・・・。)


 夏貴の持つ武器は現在腰に刺した剣と手に持った木の棒だけである。どう考えても勝てる気がしない。そう思って後ろに下がろうとする。しかし、それが凶と出た。足元にあった木の枝を踏んで折ってしまい、その音が周囲に響き、イノシシがこちらの存在に気付く。


「やっべ。」


 イノシシは既に夏貴を敵と判断し、毛を逆立て、戦闘態勢に入っている。逃げようとすれば、不審な動きと捉え、襲いかかってくるだろう。


(これは、戦うしかないか・・・。でも、勝てる気しないな・・・。)


 剣では皮膚を貫通できないと判断した夏貴は剣ではなく、木の棒を手に取る。それを右手に掴み、イノシシと対峙する。距離は約30m。


(脳揺らせばまだ逃げられる・・・か?)


 今持っている木の棒で頭をぶん殴り、脳震盪でも起こせれば逃げる時間くらいはできるはずだ。夏貴はイノシシとの距離を一定に保ちながら隙を伺う。最初に動いたのはイノシシだった。夏貴に向かって最短距離を突っ走ってくる。巨体からは考えられないほどのスピードで、夏貴はそれをかろうじで避ける。


「まじかよ。」


 これでは隙なんてあっても攻撃に移ることができない。イノシシは既に次の攻撃へと切り替えていた。夏貴の方へと向き直り再度突進をしてくる。夏貴はそれを避けると、体の回転に合わせて木の棒で殴りつける。しかし、当たったところは横腹で効いている様子はない。


「だめか。やっぱり頭を狙わないとな。」


 しかし、動きが早すぎてとてもではないが避けながらでは頭に当てることはできない。正面から立ち向かおうものなら力負けすることは目に見えてわかっている。今はイノシシは警戒していて攻撃してこないが、いつしてきてもおかしくはない。攻撃を避けるのもいつまでできるかわからない。


(弱ったな・・・。)


 イノシシがまた突進をしてくる、夏貴はそれを転がって避ける。するとイノシシはそのまま突っ込んでいって木に頭をぶつけた。木はミシミシと音を立てて倒れる。倒れた木は葉を散りばめ、土を散らし、視界を少し悪くした。


「こりゃ当たったら死ぬな。」


 イノシシはまたも夏貴の方へと向き直り突進してくる。これを夏貴は避けなかった。いや、避ける必要はなかった。イノシシは見当違いな方向へと走っていき、木にぶつかった。


「・・・・・?」


 イノシシは頭をブルンブルンと振るって夏貴の方へと向き直ろうとするが、焦点が合っていない。どうやらさっき木を倒した時に軽い脳震盪を起こしてくれたようだ。このチャンスを逃すわけには行かない。夏貴は一気にイノシシとの距離を詰め、頭を棒で殴りつける。ところが、夏貴の攻撃は全くと言っていいほど効いていなかった。


「嘘・・・だろ?」


 意識が若干戻ってきたのか、イノシシは夏貴を見据えると、体当たりで夏貴を吹っ飛ばした。夏貴は背中を木にぶつける。


「ガハッ」


 肩や背骨を強打し、激痛が走る。意識が朦朧とし、視界に白い靄がかかっている。体の感覚も薄くなっていた。しかし、それは強打したせいではなかった。夏貴は、ネズミと対峙した、あの時と同じような、体に力がみなぎるような感覚に襲われていた。体は激痛で言う事を聞かないはずなのに、夏貴は立ち上がり、木の棒を戻し、剣を抜く。そして、一瞬でイノシシとの距離を詰めると、そのまま真っ二つに切断した。イノシシの肉体が綺麗に二つに裂け、左右に分かれる。血液が飛び散るが、夏貴は飛び退いて返り血を避ける。


「・・・・・なんだよこれ。」


 夏貴がそう言うのと同時に頭の中で無機質な機械音が響いた。


「な、なんだ!?もう、さっきからわかんないことだらけだよ!何なんだよ一体!」


 なぜ急に身体能力が上がったのだろうか。さっきの電子音はなんだったのか。現段階ではまだわかっていないことが多すぎる。やはり一度、街に行ってNPCやほかのプレイヤーの人に話を聞く必要がある。


「急いで街につかないとな。・・・・・ん?」


 みると、さっきまでイノシシの死体があったのになくなっていて、そこにはドロップ品が落ちていた。


「そうだ、広い忘れてたな。」


 落ちていたのは毛皮と四角いカードだった。毛皮を拾うと視界の端に「ウリボーの毛皮」出た。


「おい、あれでうり坊なのか。もっとでっかいの出るってことかよ・・・。このゲーム、モンスターの大きさの設定おかしいだろ・・・。」


 次に四角いカードに触れると溶けるようにして消えた。


「また、か。」


 以前スモールマウスを倒した時も同じことがあった。一体何の意味があるのだろうか。


「まあいいや。とにかく今は街へ急ごう。」


 夏貴は北を目指してさらに進んでいく。まだ日は高いが、早くしないと日が暮れてしまう。

お久しぶりです。

更新が随分と遅くなりました。

街に行けばまあいろいろとわかるのでもう少しお付き合いくださいね!

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