VR空間
短くてすいません。うまいこと行かなかったのでこのくらいで投稿させてください・・・。
「ただいま~。」
夏貴は鍵を開け、家の中に入った。
「母さんはやっぱまだ帰ってないか。」
夏貴の父親は去年事故で死んだため、母親が朝早くから夜遅くまで働き、養っている。夏貴も朝にアルバイトをして家計を少しでも楽させようとしている。
夏貴は昨日の夕飯のあまりを冷蔵庫から出し、適当に夕飯を食べ、片付けを済まし自分の部屋へと上がっていった。
「さて、これがVRヘッドギアっすか。」
三原という警察官からもらった箱を眺める。
「とりあえず開けてみるか。」
中にはしっかりと「VRヘッドギア」と書かれた機械が入っていた。箱を開けたらドカンとか、そういう類のものではなかったので安心した。
開けて説明書を読みながらセットをする。
「そういえば、明日からサービス開始なんだっけ?」
PCを立ち上げ、カニカラTOY公式ホームページを覗く。
「あー0時にサービス開始か。ってことはあと3時間もあるじゃん!先風呂でも入ってくるかー。」
―――――
「・・・・よし、じゃあそろそろはじめるか。」
時刻は4月23日、午後11時58分。ヘッドギアを装着し、説明書通りにVR空間へ移動する。
「なになに?装着し、横になりログインと念じるとログイン画面が現れますとな?随分と簡単だな。よし・・・・・ログ」
その瞬間夏貴は意識はなくなった。
起きると、周りには青、緑、黒、紫などの色が渦巻いているような空間に自分の体があった。
「・・・・ここは?」
すると、目の前にIDとパスワードを打つ画面が出てきた。
「あー、これがログイン画面ってことか。えっと、IDは1956で、パスワードは、なんだったっけ?あ、そうそうinkk01だったよな。よし、打ち込むか・・・ってあれ?もう入力してある。」
気づくと画面には既にIDとパスワードが入力されていた。
「あーもしかして念じるって頭で考えるってことか?」
そうとわかれば話は早い。ログインと念じる。
「あれ?ログインできないぞ?」
不思議に思ってログイン画面を触ってみる。ログインと書いてあるところに触れた瞬間夏貴はまた意識が遠くなった。
「ぬあ!?」
次はすぐに意識が戻った。
「なるほどな。念じないといけないのと触らないといけないのがあるのか。これはいろいろ試してみる必要があるな。さて、とりあえず今はそれよりも『WWW』とやらをしてみるか。」
風呂に入っていた間にデータはインストール済みだ。軽く説明も読んでおいた。結構楽しそうで早くやりたいとか思っている。
「時間は・・・・ってもう8分も過ぎてんじゃん!くっそー。まあいいや。ってかどうやったら起動すんだろ?念じるのかな?よし。」
心の中で「World Wide War」と念じる。すると目の前にそう書かれた画面が出てきた。 それをタッチする。その瞬間意識をまた失った。
「三回目かよ!」
―――――
―VRシステムと身体データ、及び感覚データを同期中です・・・。
「・・・ん。お、どうやら入れたみたいだな。」
周りは真っ白で何も見えないその代わり目の前に画面が広がっている。
―同期を完了しました。これよりオープニング、及びチュートリアルを開始します。
その瞬間目に直接画像が送り込まれる。すごく変な感じだ。見えていないのに見えている。そんな夏貴の考えを遮るように映像が進む。封印されていた魔王が復活したためそれを倒せとかいうベタな展開。しかし、王道な分、人を魅了させることのできるムービーだった。ムービーが終わると夏貴の周りは明るくなった。そこには草原が広がっていた。
「あれ?確か最初は村の一村人なんじゃなかったっけ?まあいいや、それより今は大事なことがある。」
夏貴はこのVR空間に来てからずっと気になっていたことがあった。それは、自分の体に対する変化だった。
「確か、VRヘッドギアの設定した時に俺の身体データちゃんととったよな?」
このVRシステムは体への負担を減らすため、また、下手なことができないように現実の体がそのまま使用される形となっている。しかし、今の夏貴は違った。どう違うかというと、あるべきものがなく、ないはずのものがあった。
「なんで・・・・?」
今、夏貴の体を描写するのであれば、黒い長髪、小さな頭に細長い手足、顔は大きな眼と黒い瞳。整って少し高めの鼻と薄く、ピンク色の唇。そして、胸には男についているわけがないものがついていた。
「女なんだよおおおおおおお!」
夏貴の体は女のアバターとなっていた。
時間があるときに書いてしまおう大作戦発動中です。