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魔物との戦闘

苦手な戦闘描写なので面白くないような気がしなくも……。

早いとこたくさん更新して感想のひとつとか頂きたいなとか夢見て頑張ります、はい。



 草原を突っ切るようにして歩く。目的地は特にこれといってない。

 地図を持っていないのだからどこに何があるのかもわからないのだ、致し方ないことだろう。

 まあそれはともかく、ここの地理を知らなくとも目的はある。しかしその目的のものには未だお目にかかれていない。結構な距離を歩いたような気がするのだが、一体どこにいるというのだろう。

 ちょっと歩けば遭遇できるだろうと思っていたのに。元よりこの地域はそういったものがあまり生息していないのだろうか。

 だとすれば拍子抜けだ。そしてがっかりだ。


 腰元に差した刀を抜いて太陽に(かざ)してみる。

 鍛え上げられた見事な刀身は日の光を浴び、まるで鏡のように綺麗に光り輝いた。

 思わずほう、と感嘆の息が漏れる。そういう趣味は持ち合わせていなかったがこれほどまでに美しい刀を見ていると惚れ惚れしてずっとこのまま見つめていたいような気分になる。


 なんとなく振るってみたくなって、握りしめる手に力を込めた。

 ひゅんっと風を切る音。煌めく一筋。


 それだけで気分が高揚した。


 記憶の限り、刀なんて今まで振り回したことないはずなのだが。

 何故か私は容易くそれを扱える。

 まるで剣先が私の指先のように、刀自身が私の身体の一部かのように。


 型なんてものは知らない。

 自分が思うように構え、振るう。ただそれだけのことだ。


 まるで舞っているようだ。舞なんて習ったこともやったこともないのに。

 しかし、私が刀を振るっているイメージはそれに近い。

 傍から見るとどう映っているのか気になるが、剣舞をしているように思ってくれればいいなと思う。

 といっても、この場には本当に誰もいないのだからこんな考えに意味はないのだけれども。


 静かに、けれど頭の芯に響くような音を奏でながら鞘へ納める。


 ――ああもう、やっちゃったよ、恥ずかしいな。

 酔いしれるのは個人の自由だとしても、こんなことをしている場合じゃないだろう。

 自分の目的を思い出し、先程までの自分を恥じるように片手で頭を抱えて少し落ち込んだ。


 違うんだよ、そう。魔物を探しているんだ。そう、魔物。

 所謂モンスター。倒してもいい敵。

 こんなにあからさまにファンタジーな雰囲気を醸し出しておいて、いないということはあるまい。

 こういう世界にはそういうものが付き物だろう。でなかったら私の腰元にあるこの刀はなんだというのだ。


 しかし困ったことに歩いても歩いても魔物らしきものに出くわさない。

 この地域にいる魔物が比較的大人しいからなのか、それともただ単に発生数が少ないからなのか。

 理由なんて知る由もない。とにかく、早いところ遭遇したい。そして切り伏せたい。


 さあ襲って来い、正当防衛で斬ってやろう。


 意気揚々と歩くがその思考回路は危ういものだ。

 そんな私の野望が通じたのか偶然なのか、それは凄い勢いで飛んできた。


 顔の横を何かが掠める。頬が切れて僅かな痛みを感じた。

 にやりと口の端がつり上がる。

 それは恐怖で気が触れたというわけではなく、むしろ待ち望んでいた獲物がやっと姿を現したことに対する、喜び。


 ――待ってました! 魔物さん!


 刀を引き抜いて構える。

 鳥のような姿をしたそれは私のいた世界では見たことのない生き物。

 目付きは悪く、鉤爪は鋭い。嘴《くちばし》も鉤爪のように鋭く、光沢のあるそれはまるで金属でできているかのようで、とても害がないとは言えそうにない鳥だ。

 その鳥を見据えると、【アキュートイーグル】という名前なのだとわかった。


「あー、よかった。初めての魔物がかっこよくて」


 切れた頬に滲む血を拭い、笑みを深める。

 もし初めて斬る魔物が可愛らしかったりすれば、格好がつかないと個人的に思った。

 見た感じそこそこ強そうだ。初めての相手にとって不足はなしといったところだろうか。


「さて、やるとしますか」


 地面を蹴って跳び上がる。高さは十分。

 攻撃範囲内にいる敵を捕捉し、一閃。――どさり、と私よりも一回り大きい図体が地に伏せる。

 アキュートイーグルの片翼を切り落とした。


 あと二体。


 意識を集中させ、イメージする。

 かの魔物の頭上から落とされる鋭い光を。


「――ライトニング」


 足元に紫色に光り輝く魔方陣のようなものが広がり、空中に紫がかった白い球体が現れた。

 その球体は眩い光を、空気を裂くような鋭く細い雷を落とした。

 撃ち落とす。まさに読んで字のごとく。落雷を受けた魔物が黒焦げになって墜落した。


 とっさに身を翻し、残っているやつの攻撃を避ける。


 魔法を使った隙を狙ったらしい。なるほど、考えたな。

 まあ例え隙を狙われたとしても素直に攻撃を受けるつもりは毛頭にないが。


 ――いやだって、あんな鋭いのでやられたら肉が抉れるだろうし。


 その大きな翼をもって羽ばたいた。

 その場から一転二転三転と飛び退けば、あの鳥のものであろう羽根がまるで刃物のように突き刺さっている。

 ダイビングするだけでなく飛び道具も使うとは期待以上だ。


 それから何度か飛び退いては羽根が刺さるということを繰り返した。

 正直なところ、少し遊んでいる。


 こんな素早い攻撃を身軽に避けれる自分が何だか面白かったのだ。


 まあいつまでも遊んでいるわけにはいかないのだが。

 思い切って駆け出した。

 容赦なく飛んでくる羽根を避けながらまっすぐに向かう。

 再び高く跳び上がったところで、魔物は羽ばたいて距離を取ろうとする。


「あっ、この、逃げるなっ!」


 つい自分の方へとダイビングしてくるだろうと思っていたばかりに、その行動は予想外だった。

 飛び去ろうとする魔物に慌てて手で拳銃を作るようにして指先で狙いを定める。


 イメージは火――炎の矢。


「ファイヤーアロー!!」


 足元に広がる赤い魔方陣、全身を覆う浮遊感。

 指先から放たれた炎は矢のような形のまま魔物を背中から貫く。瞬間、その体は真っ赤な炎に包まれ燃え上がった。


 軽やかな音で着地をすれば、それとは対照的に重い音とともに落下したそれ。


 魔物の死体はそのまま塵のように消えた。

 代わりに何やらあの魔物のものだと思わしき羽根が落ちている。

 拾ってみると、【鋭い羽根】というドロップアイテムだとわかった。別段、高価なものではないだろう。

 辺りを見渡せばあの魔物の死体があった場所に同じような羽根が落ちていた。


 せっかくのドロップアイテムだし拾い集めてみたはいいものの、さて、どこに収納すればいいのやら。


 先ほどから親切に魔物の名称やアイテムの名称を教えてくれるみたいだし、異世界は異世界でもまるでゲームの世界のようだ。オンラインゲームは何度かプレイしたことがあるが、こういう場合拾えば自動的にアイテムインベントリとかに入ってくれたりするものなんだが。

 ぼんやりと考えていると手の中にあった羽根が消えた。

 あれ、と不思議に思い辺りを見回すが落としたわけではないらしい。


「まさか本当にアイテムインベントリがあったりして」


 そのまさかだった。

 目の前にぱっと現れた薄く光る半透明のボード。

 マス目のように区切られたそこの一番上の左端のマスに羽根のアイコンが表示されている。

 指先をそれに向ければ【鋭い羽根】と表示され、どの魔物から取れるのかどういうものなのかなど、軽い説明が載っていた。


 【鋭い羽根】

 アキュートイーグルの羽根。インクと合成することにより羽ペンを作ることができる。


 なんだ、ただのゲームかこの世界。

 いやでも、まあ、こういう機能があってもいいか。便利だし。あって困るどころか、むしろ嬉しい機能だ。


 よく見ればそのアイコンの右下には数字が3と表示されている。おそらくこのアイテムの個数だろう。

 そのアイコンに指先で軽く触れれば、いくつ取り出すか問われ、その隣に表示されるテンキーで3と入力すると【鋭い羽根】が三枚、自分の手に握られていた。

 再び収納しようと思ったら手の中から羽根が消え、アイテムインベントリを開いて確認すればきちんと羽根はそこにあった。

 ――なるほど、便利だ。


 案外ゲームな世界というのも悪くはないのかもしれない。


 何はともあれ最初の目的は達成されたのだ。

 魔物と遭遇、そして戦闘。

 先程の臨場感を思い出し感情が浮足立つ。

 だが今はそんなことをしている場合ではないと思い出し、真上に昇った太陽をちらりと見た。


 できれば日が暮れる前に、次の目的を果たしたいものだ。




魔法の描写? 戦闘描写?

それらふたつともスタッフが美味しく頂きました。

主人公がキャラクターに出会うのはいつになることやら……。

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