表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

そうだ、異世界に行こう

ファンタジー物を読んでいると滾ってきます。

そんなこんなで始まりました。気まぐれ更新です。続く気がしません。ストーリーなんてありません。

思いつくまま気のままに書いていきます。

よろしければお付き合いくださいませ。




 列を成している。

 私よりも幼い子どもや、はたまた車椅子を用意しなくて大丈夫だろうかと心配してしまう老人の方まで。

 私もまた、その列に加わっている人間の一人であった。


 ――これは夢だ。


 地に足をつけていないようなふわふわとした感覚で漠然と思った。

 何故この人たちは並ぶのか、何故私が並んでいるのか。この列の先に何があるのかすら何も分からない。けれど私はただ大人しく順番を待っていた。

 前の人が一歩進めれば、それに連なって私も一歩。それに続くように私の後ろの人たちもぞろぞろと動き出す。

 そして、私の番は訪れた。

 気の遠くなるような時間が流れたような、はたまた一瞬の出来事だったかのような。

 ともかく、私は選ばなければならなかったのだ。


 性別はどうしよう? ああ、あっちでも女として過ごしていたのだから、同じ様にした方がいいか。

 どんな容姿がいいだろう? 赤が好きだな。赤い衣装。それに映えるよう肌は白い方がいい。髪の色は、そうだ黒にしよう。瞳の色は琥珀だ。あっちのときと変わらない色だけれど何分日本人なのだから急にピンク色の髪や緑髪になった方が違和感があって気持ち悪い。普通でいいんだ普通で。顔、は……せっかく素敵な衣装なんだからそれに負けないような綺麗な顔がいいな。凛として咲く華のように、まっすぐな強さを持つ美しさ。なんて、贅沢だろうか。まあいいか。こういう空想の中でだけでも自分の理想とする容姿になったっていいよね。

 職業? ああ、戦闘スタイルみたいなものか。だったら刀でズバズバと斬っていきたいな。居合切りとか、まるで武士のようでかっこよさそうだ。ああでも、魔法が使えないのは嫌だな。いっそ両方とも使える魔法剣士、なんて。そんな都合がいいものあるんだろうかって……ああ、あるのか、なんだ。魔法が使えるなら、魔力とかいっぱいあったほうがいいよね。


 制限があったりするんだろうと思っていたのに、思いのほか自由だ。言えば何でも通る。まさにその一言に尽きた。

 どのぐらいの時間そうしていたのかわからなかったが、それでも私は最後の項目まで選び終えたらしい。

 何かに導かれるようにして私は歩く。

 その先には"私"がいた。

 私が作った器となる"私"。その姿は先ほど一生懸命項目を埋めて考えていた私のものだった。


 私は迷うことなくその器の中へ入った。

 自分が生み出した器を確かめるように何度か手を結んで開いて、くるりと一回転して、満足気に自分の姿を見下ろして。


「それじゃ、いってきます」


 にやりと笑って言ったものの、私の背後には誰もいない。

 けれどそこに誰かがいることを私は知っていたようだった。

 気を取り直し、目の前にある扉に手をかけた。ぐっと力を込めて押せばそれは真ん中に光の亀裂を入れ、やがて辺り一面に眩い光が差し込んだ。


 ――目が覚めた。


 それは唐突な目覚め。

 先ほどまで夢を見ていたと実感してからの目覚めは、本当に自分が夢を見ていたのだろうかと疑わしいぐらいのもので。

 はたと気づく。周囲の環境の変化に。辺りは一面の緑。目の前に広がる草原。上空から照らす太陽の光はとても温く心地よい。


「……え」


 私の名前は東雲秋乃(しののめ あきの)、最近誕生日を迎えて初めてお酒を飲みました。職業はしがない印刷業の事務員。といっても小さい会社なので事務処理だけでなく色んな仕事をやらされているが。会社に勤めて一年過ぎ程。趣味は漫画とかゲーム。所謂オタクというもので、腐女子、だと思う。昨夜は最近手に入れた新作の乙女ゲームで気になるキャラを攻略する為に携帯片手に携帯ゲーム機を握りしめて布団の中で寝落ちしたような記憶がある。そうだ、私は酒なんて飲んでいない。

 おかしいな、記憶喪失になった覚えもないんだが。

 ううん、と唸りながら顎に手を当てて考えてみるがさっぱりだ。


 ここは一体どこなんだ。

 何故私はこんなところで突っ立っているのだろう。

 夢なのだろうか、と一瞬考えたが、違う。これは紛れもない現実だ。


 なんとなくわかることは、これがあの夢の続きなのだということぐらい。


 ふと自分の格好を見下ろせば、なるほど、あの夢の中で見た"私"の姿をしていた。

 赤い衣装には金色の刺繍が施されており腰元には何故か手によく馴染む刀が差してある。


 しばらく悩んでみるが、悩んでいる時間こそが勿体無いような気がしてきた。


 この訳のわからない状況に悲観する自分はいない。

 それどころか早くこの世界を知りたいと胸を躍らせる自分がいる。

 待ち切れない。思わず草原の中を走り出した。


「いぃいいいいやったぁああああああ!!」


 誰も見ていないことをいいことにはしゃぎたい放題である。


 何がどうなってこうなったのかはわからない。

 もしかしたら私には何か成さねばならないことがあるのかもしれない。

 それでも説明されていないのだから何をすればいいかわからない。

 だったら好きなだけ好きなことをしてみようではないか。

 何かしなければならないのなら、それはそのときにどうするか考えるとして。


 かくして、私の第二の人生(仮)が始まったのであった。




プロローグなのか前置きなのか。

そんなことより早く異世界で主人公に好き勝手やらせてみたいです。

ドキがムネムネですね!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ