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妹の中二キャラが僕の青春を邪魔する  作者: アッキ@瓶の蓋。
エピローグ

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35/35

エピローグと言う名の日常

 ―――――――――あの後の事を話そう。



 僕は学校に行くために、制服に着替える。



「くっくっく……。我は先に行かせて貰おう。ではな、兄者」



「……あっ、うん」



 妹の夕映(ゆえ)は先に制服に着替えていて、もう靴に履き替えている。手には縁中(えんちゅう)指定の鞄を持って。



「しかし、なんだか脳裏から消え去っている妙な感覚がするのだけれども。それは気にしない方が良いのだろうか?」



「なにを訳の分からんことを言っているんだ、この妹は。さっさと学校に行け」



 そう言って、僕は彼女(ゆえ)の頭を叩く。そうすると頭を抑え込む夕映。



「あぅ……。本当になんか可笑しな感じなんだけど……」



「良いからさっさと行けよ」



「はーいー」



 そう言って、何だか納得していない感じで夕映は出て行った。

 ――――――――危ない、危ない。本当だったら気付いていない方が良いのに。



 あの後、僕は板の神様にお願いして2つほどお願いした。

 1つ目は、夕映が中二病キャラを出現した事を覚えてない事。もう2度と同じような事を起こさないためにも妹は中二キャラを現実世界に出した者ではなく、ただの中二病患者として居てもらう方が良い。いや、その方が良いに決まっている。

 それはちゃんとやられているようで、多少の疑問符を浮かべながらも夕映は自身の行動になんら疑問すら感じていないみたいである。



「さて、と僕もぼちぼち学校に行くか」



 夕映が出て行ったのを見た後、僕も扉を開けて外へと出る。



「あっ! ノブ君、おっはよ!」



 と、幼馴染の江戸川甘露(えどがわかんろ)がいつものようにお出迎えして来る。



「あっ、えっと、その、……おはよう」



「……? どうかしたの、今日は変なの」



 ニコリとした笑みの中にもこちらを心配している様子が感じられる甘露。これはしょうがない。甘露は覚えていないかもしれないけど、僕は彼女に告白された事をひしひしと感じて覚えているんだから。

 なんでもない風を装って、甘露と共に学校へと向かう。



「あっ、そうだ! 友達からメールで来たんだけど、今日転校生が来るんだって! しかも3人」



 彼女の言葉に僕はピクリと反応する。どうやら板の神様は2つ目のお願いもきちんと叶えてくれたようである。2つ目のお願い、それは呼び出された3人を普通の人間としてうちの学校に転入させてくれと言う話。彼女達はただ呼び出されただけだ。

 それなのに、こちらの事情で消すのも駄目だし、かと言って中二キャラのままでは忍びない。よって普通の人間としてうちの学校に転入して貰う事をお願いしたのだ。



 そして、甘露が読み上げる名前は分かっている。

 龍王院竜禍(りゅうおういんりゅうか)、アリア・ネバーランドダーク、そして邪院寺真の3人に決まって―――――




「えっと、黒淵狭間(くろぶちはざま)君、宇宙空(うちゅうそら)さん、それから七海覇皇(ななかいはおう)さん―――――――――――――」



「って、その名前は!?」



「……? ノブ君の知り合い?」



「い、いやー。何でもないよー、アハハハハ」



 誤魔化すが、僕の頭の中はどうしようもなく戸惑っていた。

 その3人は妹、尾張夕映(おわりゆえ)の”中二キャラ3人の名前である”。



 闇より生まれし冥府の管理者、黒淵狭間。

 宇宙全ての技術を結集させた全時代的宇宙生命体対話人形(インターフェイス)、宇宙空。

 声を失う代わりに圧倒的なる武力を得て七つの海を制覇した元人魚の海賊船長、七海覇皇。



(そう言えば、別にあの板の神様はあの3人をちゃんと普通の人間にするようお願いしたけれども、全員をただの普通の人間にするようにはお願いしていなかった!)



 まさか3人だけじゃなかったなんて……。しかもこの様子だとこの3人で終わるかも怪しい。



「……? 今日は本当に変だよ、ノブ君。何か具合でも悪いの?」



「い、いや、大丈夫さ」



 きっとその3人もまた問題を作るに決まっている! あぁ、青春が! 僕の青春が!



「さぁ、ノブ君。さっさと学校に行くよ?」



 僕の青春を妹の中二キャラが邪魔する! と言うか、邪魔で仕方がない!

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