神との対談
――――――神様とは見方によって如何様にも存在する。
日本には八百万の神々が居ると言う事があり、ギリシャやローマなどの外国にも多数の神々が存在する。1つの物が神と同一視される場合もあるし、神様はそれほど万別である。
石の1つが神と見られてる事もあるし、1つの島が神として見られる事もある。
全ての物が神となる可能性を持ち、信仰心を持てばどのような物も神となる可能性を持つ。
神様とはどのような物だろうと成れる、精神的にも存在的にも可笑しな生命体である。
そしてアリアと出会ったような白い空間にて。僕の目の前に現れたのは、そんなふざけきった存在、所謂神様だった。
「―――――――酷いな、君は。これでも我々は神様の1人なんだけれども」
目の前に居たのは、人間ではなかった。そもそも動物でもなかった。
―――――――――目の前にあったのは、板だった。
上部に『神様でーす!』とマジックペンのような字で書かれた、丈夫そうな板であった。
板と会話している異常事態、それが今の状況だった。
「彼女の妄想力は本当に尊敬に値するね。ドラゴンを出したり、発砲事件を起こす通り魔、果ては世界改変を企む使者の出現。まだ3か月足らずとは思えないくらいに充実しきり過ぎた生活を送ってるね。
しかもその人物を生み出した彼女は直接被害を受けずに、ただただ傍観しているだけだし。全く良いご身分だね」
「―――――――あなたが夕映の妄想を形にした神様ですか」
「はい。まぁ、板之上野神とか板井神とでも呼んでくれたまえ。名前なんて神である我々(わたし)に意味はないんだから。
大切なのは存在理由の神様だよ。何をし、何が出来て、何が目的の神なのか。
そもそも人型である必要性もないんだよね、厳密に言ってしまうと。異世界転生の神々が人って言うのは単にそれが一番分かりやすいだけなんだよ。
『ちょっと殺す人間間違えちゃったー、テヘペロ♪』とかを言っている間違いを犯した神々は美女とか美男とかの人間が多いけど、そんな神は下の下だよ。多分、蛙とかじゃないかな?」
……何だろう、今ほとんどの異世界転生物を書いたり読んだりしている人たちを敵に回したかのような反応は……。
「それはそうと、君のおかげで助かった。礼を言おう」
「……礼、ですか?」
「あぁ。この世で一番やっていけないのは、死者蘇生なんかよりも世界改変なんだよね。神である我々(わたし)達は基本的に正しい世界を作った。その根底条件を崩され、しかもそれが創作上の空想的な人物の仕業とかバレたら、我々(わたし)は仲間からさげすんだ目で見られる事請け合いだよ」
「はぁ……。そうなんですか」
「世界を救ったのは厳密に言えば、空想上の存在である龍王院君とアリアさんなんだけれども、その2人を共闘させたのは君自身の力だ。そこは誇って良い。
故に君には選択をあげよう」
そして板の神様は僕に選択を与えてくれた。それに僕は―――――――




