変化していく日常
最近、クラスが、いや学校全体がどことなく可笑しい。どこが可笑しいと言えば、雰囲気が可笑しい。
「何だか……可笑しいですね」
「そうだな」
と、僕と龍王院は言い合う。学校全体が何だか恋一色なのである。
何組の男子が何組の女子に告白したとか、下級生の女子が上級生の男子を尻に敷いているとか。まぁ、これくらいならば別に問題は無い。
けれども、
「流石に『学食の恋愛成就のための必勝メニュー』やら『告白のための殺し文句』、さらには『告白成功確率場所Best3』なんかを作られると流石に何らかの意思を感じます」
確かにそうだ。いくら高校生に青春は付き物だ、とは言うけれども流石にちょっとおかしな物を感じる。これは何らかの意思を感じる。
(それに……)
さっきからちらちらと感じる視線。視線の先を見ると、そこには僕の幼馴染の姿がある。
肩まで伸びる亜麻色の柔らかそうな先が丸まった髪。少女マンガを彷彿とさせる大きめの青い瞳は今は潤んでいていかにも少女漫画のヒロインのような瞳。少し小さめの身体ながらも、しっかりと自己主張をしている大きめの胸(ちなみにサイズは妹よりも大きいE。妹が教えてくれた、と言うか聞こえてしまった)をちら見せするように第1、第2ボタンを開けている。茶色の暖かそうなブレザーを着ており、全身から女の子らしいスイーツ的な甘いオーラがにじみ出しながらも、最近では恋する女性の雰囲気を漂わせている。
甘露だって女の子である。恋だってするし、そんな雰囲気も漂わせるだろう。しかし少なくとも前の彼女はそう言う雰囲気を出さなかった。
けど今は学校の瘴気に当てられてしまったかのように、彼女は恋する女性の雰囲気をただ寄せている。
いったい、何が起ころうとしているんだ。この学校で。
ただ確実に言える事があるとするならば、この現象に確実に関係しそうな人物が1人。
全てを知る、森羅万象を司る男性。彼の名前は邪院寺真と言う。




