悪魔との決戦
「今度こそはやっつけてみせます、ヴァンド・バトル卿!」
『ケケケ! この悪魔め、竜騎士!』
ヴァンド・バトル卿と竜騎士、龍王院竜禍がぶつかり合い、大きな衝撃が生まれる。生まれると共に風が辺りへと放たれて、僕は後ろへ退く。
今、目の前では剣を振るう美少女騎士、龍王院竜禍と全身黒ずくめの男性、ヴァンド・バトル卿がお互いの得物をぶつけている。そんな感じにしか見えない。どちらが悪魔だと言われればやはり黒い男性の方だけれども、ヴァンド・バトル卿からしたら竜禍の方が悪魔に見えているのだろうな。うん。
僕は2人の戦いを黙って見ているしか出来ない。何せ、あいつらは尾張夕映が作った無駄にステータスの高い、戦闘キャラクター。一般人にしか過ぎない僕が出来る事なんてありはしない。
けれどもこんな僕でも出来る事があるとしたら……
『ハハハ! 死に晒せ!』
ヴァンド・バトル卿はそう言って、『夢殺し』から銃弾を放つ。
「今だ!」
僕は急いで走って、その銃弾を防ぐように龍王院の前に立つ。銃弾は無残にも僕の身体へと抉るようにしてめり込んで行く。
「ぐっ……!」
ヴァンド・バトル卿の銃、『夢殺し』。
その銃弾はこの世の物で無い者を殺す銃弾。ならば、この世の物である僕ならばその能力は効かない。夕映からその話を聞いたとはいえ、まさか銃弾をその身で受ける時が来ようとはな……。
『なんと! まさか銃弾をその身で防ぐなんて! こいつ、正気か!?』
「……正気だよ」
正気だからこそ、竜禍を殺されたくはないからこそこうやって防いだのだ。
まぁ、死なない事が分かっていたし、甘露からどうにかしてくれと言われていたし、これはこれで……。
「の、宣長様! 聞いていたとはいえ、やはり! 私は許せません!」
龍王院はそう言って、世龍剣エクスカリバー・ドラグナイトを構える龍王院。
「ダブルスラッシュ!」
龍王院は世龍剣を振るう。ヴァンド・バトル卿の身体は世龍剣によって斬られる。
『がはっ……! そんな馬鹿な!』
ヴァンド・バトル卿はそう言って倒れるのであった。
「やったのか……? うっ……!」
やっぱり消滅させられないとはいえ、銃弾を身体で受けるのには少し止めといた方が良いな……。銃弾の衝撃が身体に響く。
「宣長様! 大丈夫ですか!?」
と龍王院が僕を支えるように肩を貸す。まぁ、ありがたいから良いんだけれども。
「やったようですね、尾張宣長さん」
突如、後ろから聞いた事がある声がする。
後ろを振り向くとそこには、真っ黒な身体のエルフ、アリア・ネバーランドダークの姿がそこにはあったのであった。




