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妹の中二キャラが僕の青春を邪魔する  作者: アッキ@瓶の蓋。
闇の銃妖精 アリア・ネバーランドダーク

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予期せぬ事象

 夜道、僕、尾張宣長(おわりのぶなが)は『発砲魔』捜索のために龍王院竜禍(りゅうおういんりゅうか)と一緒に歩いていた。

 妹である尾張夕映(おわりゆえ)曰く、



『ヴァンド・バトル卿は普通の警察なんかには捕まらないよ? 何せヴァンド・バトル卿は異次元と繋がりし全てを持つポケットを持っていて、その中にバトル卿伝来のチャリオットである『神の馬車(チャリオットゴッドネス)』を持っている。その『神の馬車』は天も地も海も関係なく走り、車の2倍くらいの速度で走るチャリオットですよ? 警察に捕まるはずがありえない。

 けれども、ヴァンド・バトル卿は夜道で『この世界でない者』を殺すために動いているはずです。ですから、夜道を歩けば捕まえるのは容易に会う事は出来るだろう』



 そう言った時には、もう既に龍王院は外にかけて行きそうな雰囲気だった。

 「はいはい」と言いつつ、僕も着いて行こうとすると、その手を夕映が掴んで真剣な表情で見つめながら、僕の方を見つめて真剣な声で小さく呟く。



『良い、お兄ちゃん? ヴァンド・バトル卿は『この世界でない者』を殺すためにバトル卿は黒い銃、『夢殺し』を持っている。人格の宿りし銃、そしてちょっと特別な銃。

 そしてお兄ちゃん達に向かってその黒い銃で撃とうとしたら、多分リュウカちゃんはお兄ちゃんを守ろうとするかも知れないけれども、絶対に(・・・)リュウカちゃんに受けさせてはいけないからね? 分かった?』



 と念押し気味に言っていた。

 どうして夕映がそこまで念押しするのかは分からないが、絶対にそこに何かあると言う事は確かである。なにせ必要以上に念押ししていたし、執拗にそこは抑えなければならない物なのだろう。そこは理解出来た。



 と言うか、僕としても龍王院に銃弾を受けさせるのは反対である。彼女だって生物学的に言えば女性だし、男として守らなければならないと思っていたし。

 だから男として銃弾を身をていして守る、―――――――いや、銃弾を避けさせるように移動させようとは思っている。



 そう思って龍王院と共に夜道を歩く。

 不思議とお互い何も話さず、ただただ歩いているだけだった。まぁ、僕としては夜道に銃刀法違反している女性と共に歩いているのを警察に指摘されたら庇いきる事は不可能だと思ったからである。後、わざわざ『発砲魔』を刺激しなくても探していれば現れてくれるのならばわざわざ言う事も無いだろうと思っていただけである。

 しかし、龍王院も言葉を失うとは思ってなかった。こんな状況だとしてもただただ喋りかけると思っていたが、どうやら違うようである。まぁ、別に僕としてはそれでも良いと思っていたので別に気にしないが。だが、なんとなく違うなとは思うけれども。



「え、えっと……龍王院」



「……? 何でしょうか?」



「そのだな、こっちでの生活は……慣れたか?」



「えぇ、まぁ。それなりには」



 ……そうか。まぁ、慣れたのならば問題は無い。

 本来こう言った事を聞くのは、創造主である夕映の仕事だと思うが、あいにくあいつにそんな事を聞くほどの脳があるかと言われれば……。



「……! 宣長様!」



 そんな事を考えていると、龍王院は顔を真剣な表情に変えて僕の前に立つ。何事かと思って前を見ると、そこには金色の髪の高貴そうな男性が居た。



 20代後半、もしくは30代前半くらいのちょび髭を生やした男性である。

 高貴な金色の沢山のメダルのような物を付けた、貴族が着るような濃い緑色の紳士服。背中には『日本一』と書かれた旗を付けており、紳士服のポケットにはデフォルメされた虎のぬいぐるみを入れている。 背中に狸の焼き物を紐でくくって背負っていて、頭の上には木彫りのクマを載せている。



(なんか観光してやがる!)



 そしてそんな彼は僕達を見て、「きゃははは!」と笑っていた。



「今日の標的(ターゲット)、決定―――――――! 今から抹・殺・決・定! 死ね、死ね!」



 そう言って、彼は影から(・・・)黒い銃を取り出す。



 ……あれが夕映の言っていた銃、『夢殺し』か。と言うか、『異次元と繋がりし全てを持つポケット』って影の事か。まぁ、影から物を出す人間と言うのは良くTVアニメで見るので別に可笑しいとは思わないが。けど、実際に影から物を出す姿はかなり変だけれども。



 そして彼は銃を構え、銃弾を放ち――――――――――――って、やばい! 夕映から言われてるんだ! これを龍王院から守れって!



「龍王院、危ない!」



 僕はそう言いながら彼女の前に立ち、龍王院を庇うようにして前に立つ。



「の、宣長様! 主を守るのは騎士として当然の務め、ここは私が……!」



 そして龍王院は僕の前に立ち、そして飛んで来た銃弾から僕を守るようにして龍王院は右腕を前に出す。銃弾が当たると同時に、龍王院の右腕が”弾け飛んだ”。

 銃弾が腕を通り抜けるのならば分かるが、そんな表現ではなく龍王院の右腕は木っ端微塵(みじん)に弾け飛んでいたのだった。



「ヒャハ! やっぱり居たぞ、『この世界では無い者』! まさか女騎士の姿を借りているとは思ってなかったがな!」



 その様子を見て、ヴァンド・バトル卿は物凄く嬉しそうに笑っていたのだった。



「まさか……」



 僕は夕映の言っていた意味がやっと分かった。



 ヴァンド・バトル卿は龍王院の右腕が弾け飛ぶ姿を見て、『この世界では無い者』と判断していた。つまり彼は一目見ただけでは『この世界では無い者』と見抜くような瞳を持ってはいない。では、どうやって『この世界では無い者』を判断するのか?

 ……簡単だ。あの銃だ。



 恐らくあの銃は『この世界では無い者』のみを殺す銃なのだろう。言ってみればお手軽な、『この世界では無い者』を判別して『この世界では無い者』を殺す銃。

 そしてあれが効くかどうかで『この世界では無い者』を見分けているのだろう。今までの被害者も実は避けているのではなくちゃんと銃弾を食らってはいたが、この世界の者だから銃弾は被害者の身体を傷つけずに済んだのだろう。しかし、龍王院竜禍は夕映の妄想が現実化した者。『この世界では無い者』である。

 だから、夕映は言ったのだ。『龍王院は『この世界では無い者』だから、ヴァンド・バトル卿の黒い銃から守って置いて』と。



 もっと分かりやすく言ってくれれば、僕としても分かりやすかったのだろうけれども。

 と言うか、夕映。ちゃんと話してくれればもっと分かりやすいと言うのに。



「ちっ……。ここは不利だ。一旦逃げるぞ、龍王院!」



「し、しかし……」



「良いから!」



 僕はそう言いながら夕映と共にヴァンド・バトル卿から逃げ出した。



「あっ……! こら、待て! 『この世界では無い者』!」



 そう言って、ヴァンド・バトル卿は僕達に追いつこうと、黒い銃を持って追いかけて来た。














 逃げ切れるかどうか心配だったが、ヴァンド・バトル卿は凄く運動音痴らしく、100mくらい走ったくらいで息を切らしながら倒れていた。と言うか、『神の馬車』を使えば追いつけたんじゃないか?

 いや、追いつかれても困るが。



 とりあえず僕としては、ヴァンド・バトル卿とはそう言う事が判別できない馬鹿と言う事が分かったのだった。

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