魔王が助けて何が悪い!
眼前を埋め尽くすほどに街の中を行き交う人々を見たエイネルは顔を右往左往させ、感動で両手を握り締めて思わず声を漏らす。
「凄い凄い凄い! 何これ何これ! 人間ってこんなに沢山いるものなの!?」
「首都『カルティネリア』にはコレとは比較にならないほどの人口がいる。この程度で驚いていたら、首都に着いた時にショック死するぞ」
「地理の授業で人間界の都市は大きく沢山の人間が住んでいると聞いたけど、本当だったんだな!」
「お前、地理の授業受けてたのに何故古い地図持ってた上に迷子になったんだ」
「あぁ、興味ないところは怒られないよう目開いたまま寝てたからね」
堂々と居眠り宣言をしたエイネルの眩しいほど屈託のない笑顔に対してリンカードの表情は冷めており、同時に彼女の部下やその教師に何故か同情が溢れて来た。
額を抑えたまま溜息をつくリンカードと気分るんるんで歩くエイネルは街の中央の市場に到着し、今までよりもさらに多い人間の数にもはやエイネルは驚きで開いた口が塞がらない。
巨大な広場のそこかしこに点在する店では野菜や肉のような多種多様な食べ物、さらには刀や槍などの武器から食器や壺と言った陶芸品まで売られている。
魔界にも都市はあるが基本的に集団行動を好まず自由奔放に生きている物が多いため、市場なんて殆ど存在しないし、第一に大通りすら閑散としている日々が殆ど。
それに比べてここはどうだ。まだ首都ですらないと言うのにこの人の集り様、香ばしい匂いを放つ食物、匠が魂を込めて作ったであろう輝く武具、色鮮やかな芸術品。
寿命が人間より遥かに長く上昇志向と協力意識と言うものが欠如している魔物が集う魔界ではとてもではないがこんな景色は滅多に見ることが出来ず、家出ですっぽかして来た新魔王誕生100周年のパーティーすら、100人もいるかどうかすら怪しい。
先代の魔王であろう父親が言っていた通り、人間界の景色は魔界では見ることできなものばかりだ。
「ところでリンク、この街に来た理由は何? ただ立ち寄っただけ?」
「いや、勿論意味はある。街に着いてすぐ昼飯を食っただろ」
「確か『グリーンシュタットの浜辺』って店だったかしら。美味しかったわよねーリンクがケチだから野菜しか食べられなかったけど、チーズドレッシングがサクサクのレタスと柔らかいトマトに掛かって、パプリカやブロッコリーが程良い触感を引き立ててたわ」
「ケチで悪かったな。でだ、ここグリーンシュタットはやって来る商人や地元民の比率に対して、観光客がかなり多いわけだ」
「ふむふむ。それで、お昼ご飯とどう繋がるの?」
「必然的に日雇いの仕事も多い、まあ所謂アルバイトってやつだ。そして俺たちの現在の路銀だが……」
腰に提げていた巾着を手に取ったリンカードがそれを逆さにすると、見事なまでに小さな埃のごみ以外何も落ちて来ない。
「底を突いたわけだ」
「……え?」
「つまり俺たちの今の所持品は、するつもりはないが強盗するのに使えそうな武器と、ここにあるパン一切れだ」
「ううぅ~、飲み物とバターが欲しいよ~」
「そう言いながらパン食うなよおい、しばくぞ」
最後の一切れを何気無く掠め取ったエイネルは涙を流しながらパンを頬張り、リンカードが放ったチョップが脳天にクリーンヒット。
晩飯用にストックしておいたパンすら無くなってしまったこの状況、このままでは二人はまだまだ寒さが抜け切れていない寒空の下、食べ物も寝る場所も無くひもじい思いをせざるを得ない。
「つまり、私達がバイトをするということなのか」
「そう言うことだ。それぞれ別々のバイトを探して、今日の9時ぐらいにここに集合する。問題はないだろう」
「え、で、でも私仕事なんてしたことないぞ。人間の仕事なんてそれこそ全く知らな――」
「魔王として仕事ぐらいしてただろ。それとも、魔王様が女子供にすら出来る仕事も出来ないのかぁ?」
「カッチーン! 言ったな、言ったな、言ったわね! 見てなさいよ、リンクよりも遥かに稼いで今日の夜は私に足を向けて眠れなくさせてやる! 謝ったって遅いから」
「俺が何年自称勇者やってると思ってるんだ? いくらお前が魔王でも、バイトに関しちゃ俺に一日の長がある」
右手を握り締めて挑みかかるように見上げるとエイネルと不敵に微笑み見下ろすリンカードの視線が激突し、弾かれた様に二人は背を向けてそれぞれ別の道を進む。
立ち止まって遠ざかっていくリンカードの背中に一度振り返るが、ここでまた背中を追い掛けてはいけない。
しばらく人混みの中をぶつからないよう器用に歩き続け、しかしここでエイネルは根本的な問題に思い至り、思わず足を止めたら後ろからぶつかられてしまった。
「おい、急に立ち止まるんじゃねー!」
「む、すまない」
筋肉隆々の男が鋭い目付きで怒鳴るとエイネルは人混みの端に向かって歩き、落ちつける場所に至ってから再び先ほどの疑問を考える。
先ほどは煽られて売り言葉に買い言葉のような感じでアルバイト勝負を申し込んでしまったが、そもそもどのようにしてアルバイトを申し込めばいいのかがエイネルには分からない。
漠然とした目標は進むべき道を眩ませ惑わせる。我武者羅に突き進むだけの時間があればいいのだが、決して長くないタイムリミットが刻一刻と迫っている。
迷いながら両腕を組んで歩くエイネルは光り輝く陶芸品の皿が目に入るとその輝きに思わす足を止めてしまい、店の前に屈み込んで太陽の光に反射する物を手に取った。
「おおー、我が城にある食器に負けず劣らずの素晴らしい陶芸品だ。この銀の模様がまた何とも」
「譲ちゃん、余り触らないで欲しいのだが……」
「あ、申し訳ない」
「冷やかしなら余所でやっておくれ。今日は一つも売れて無くてね、こっちもちょっと神経張っているんだ。悪いけどね」
「そうなのか。ふむ……おっ、コレは?」
エイネルが皿を丁寧に置いて次に見たのは陶芸品ではないが、布と紐で作られている掌サイズの『守』と言う字が縫いつけられた物。
「東洋の島国『ジパング』で作られたお守りだ。金の産出で有名だが、実はこう言う芸術品も多い」
「へぇー、しっかり教えてくれるなんてお主は優しいねぇ」
「別に盗みもしてないガキ相手に怒鳴る程、こっちだって良識を捨てちゃいないよ。買ってくれりゃ、尚言うことはないんだがね」
「ズーン、実はお金がなくて……そうだ! ねえおっちゃん、バイトってどうやってやればいいの?」
「あぁ? 何だ、親が小遣いくれずに困ってるのか?」
「違うよ、旅するのに必要なの。でねでね、その路銀集めの勝負をしてるんだけど、実は私バイトとかしたことなくて……どうすればいいのか全く分からなくて」
「その若さで、女なのに旅ねぇ。まあ別に何も言うつもりはないが、そう言うことならあっちに行ってみろ」
男は広場の西側を指差したのでエイネルが立ち上がってそちらを見るが、人集りが激しいため人間以外は背の高い出店以外何も見えない。
「あっちに何かあるの?」
「掲示板だ。日雇いから正規雇用まで、色々な依頼の紙がはっつけてある。バイトなら、店を回って探すよりもそっちで見つける方が良いだろう」
「そうなんだ! あっ、もしかしてリンクは最初から私が掲示板の存在を知らないの承知で煽ったな。むう、卑怯なり」
「さぁ、もう用はないだろう。さっさと退いてくれ」
「あーごめんね。ありがとうおっちゃん、良いところあるね!」
「ふん、小娘に言葉だけもらっても嬉しく無いわい」
微塵も嬉しさなど感じていない風に吐き捨てる男だが表情は満更でもない様子で、エイネルも笑顔のまま背を向けて掲示板のある方へ向かって行く。
剣の鞘が他人に当たらないよう体の前でしっかりと握り、自慢のロングヘアーが何度か人混みに絡みそうになるも、何とかより一層人混みが激しくなっている場所へと進むことが出来た。
大きな板に大量の紙が張り付けられているのが一部だけだが見え、身を屈めたエイネルはさらに人混みの中を進むと、少し時間は掛かったが人混みの最前線まで到着。
目が回る程に膨大な数の依頼にエイネルはどれが自分にできそうな依頼か全く分からず、周りの老若男女の群れもエイネルのように迷う人と、一目見ただけでさっさとその場を離れてしまうものもいる。
それによく考えてみれば張り紙だけ見てもその店の場所がどこにあるのかが分からない。エイネルは地図を持っておらず、元の集合場所を覚えるだけで微妙に脳味噌はパンパンだったりする。
「ああーもう、どうしよう。さすがにこの勝負は私に分が悪過ぎたのではないだろうか」
とりあえず鬱陶しい人混みから逃げるために身を屈めたエイネルは道の横に避難し、額の汗を拭ってから掌を真上に向ける。
氷を生成――する前にここは魔界ではないことを慌てて思い出し、左右を見て誰も自分に注目していないことを確認してから、しゃがみ込んでから目立たないように小さな氷を掌に生成。
人目さえ気にしなければ拳大の氷を生成して喉の渇きを潤すのだが、自らの魔力のみで魔法を発動できるのは魔族のみで、人間は不便なことにそれが出来ない。
誰かに見られる前に口の中に氷を放り込んだエイネルはその冷たさに思わず笑顔が漏れ、バリボリと氷を砕いて最後に一気に飲み込んだ。
喉が潤ったところで仕方なくその辺をとりあえず歩くことにしたエイネルは人の流れに乗り、掲示板から少し離れたところで再び人集りが視界に飛び込む。
「本当に人間は凄い密集率なんだねー、魔界は広い癖に全然集まらないのに。どれどれ、何があるのかなー」
「さーて次にお見せするのは! 高さ20メートルの高さの綱渡り! 大通り左右にある民家にも協力していただいております! やりますのは先ほどの目隠し火の輪くぐり同様、モゴラン!」
最前線に顔を出したエイネルは細身の男が大声を張り上げながら右上方に腕を向けてるのを見ると、彼の手の先に棒を持った男が建物のベランダに出ているのが見えた。
それぞれの民家のベランダに繋がれたロープの上をモゴランと呼ばれた男がゆっくりと歩き出し、先ほどまで大歓声だった大衆が一気に静まり返る。
何が面白いのかいまいちよく分からないエイネルもそれに倣ってエメラレルド色の瞳でモゴランがロープの上を渡るのを見守っており、不思議なことに落ちるのではと言うハラハラ感が止まらない。
普通の人間ならあの高さから落ちたら無傷では済まないから、この見世物はその緊張感を人に与え、最後に渡り切って感動するタイプのものなのだろう。
「むむむ、焦らされる、焦らされるぞお……ん? この音……」
すっかりアルバイト勝負のことが頭から消えて大道芸に熱狂していたエイネルだが、モゴランが向かっているロープの先から聞こえた小さな悲鳴が雑踏の中でも確かに聞こえた。
半分ほどモゴランが綱を渡り終えた辺りで到着先のベランダに黒いコートに身を包んだ男が一人現れ、彼が手に持っていたのは切れ味が鋭そうな小さいナイフ。
細身の男と見物人は全員空中を歩いているモゴランにしか視線が向いておらず、ロープの先を凝視していた彼と音を機敏に察知したエイネルだけが黒コートの存在に気づいている。
嫌な予感がしたエイネルが人混みからジャンプして空いているスペースに躍り出ると同時に、険しい表情を浮かべるモゴランの前で、黒コートの男がロープにナイフを刺して切断した。
突然切れたロープと同時にモゴランの体が宙へと投げ出され、見物人が悲鳴を上げる中でエイネルは急いでその落下地点へ向かう。
「くっそ!? ここで死ぬわけには……」
「間に合え!」
滑り込んだエイネルは上空から振って来るモゴランの巨体を両腕でしっかりとキャッチし、両足を踏ん張って股関節を痛めないよう力を適度に調節する。
余りに一瞬の出来事に何が起きたのか分からなかった見物人だが、エイネルがモゴランを助けたのだと分かった瞬間に喝采が湧いた。
「ふぅ、ギリギリセーフってやつね」
「き、君は一体……」
「モゴラン! 大丈夫か!?」
「ああ、問題なっぐ! いや、ちょっと右足を痛めちまったかもしれないな」
「良かった、お前が事故で大怪我したら俺たちは終わりだからな。お譲ちゃん、どこの誰だか知らないが助けてくれて礼を言――」
「おっちゃん達、ちょっとあの棒借りるよ」
モゴランを降ろしたエイネルはお礼の言葉を聞かずにロープが切れた方のベランダを睨み付け、黒コートの男が悪態をついて逃げて行くのが見えた。
先ほどまで綱渡りに使われていたバランス調整のための棒を手に取った瞬間走り出し、棒の先を地面に叩き付けると同時にジャンプし、弧を描くように一気に5メートルほど上昇。
棒が垂直になった辺りで先端を右足で踏みつけてさらにもう一度高くジャンプし、建物3階のベランダに到達するとさらに上の階のベランダの縁を掴んで掛け上がっていく。
あっと言う間に4階のベランダに辿りついたエイネルが正面を見ると、黒コートの男が窓からロープを垂らして逃げようとしていたところだった。
物音に気付いた男も後ろを振り返ると一人の少女がベランダに立っていたため少々虚を突かれた様に体を震わせたが、エイネルの外見をしっかり見ると逆ににんまりと笑う。
どうやってベランダに来たかは分からないが見るからに非力そうな少女、腰には素晴らしい艶をした鞘に収まっている刀、逃げる理由がどこにもない。
「何の用だお嬢さん。その刀、プレゼントにでも来てくれたのか?」
「私はまだまだ人間を知らない。だけど、お主は悪い人間だ」
「なーにを言ってるか分からないが、俺は皆のためにやったんだぜ。借金を返し終えたら、あいつら大道芸止めちまうかもしれないじゃねーか。それじゃー皆が悲しむ、だから俺は……長引かせてやろうとしただけさ!」
「皆が楽しんでいた。それなのにあんな酷い邪魔しておいて、何が皆のためだ!」
迫り来るナイフを前にエイネルは右側に半歩体の重心をずらし、男のナイフが空を斬ると同時に右手を柄に添える。
すれ違い様に鋭い抜刀を繰り出し、柄頭を相手の鳩尾目掛けて強烈に打ちつけた。
「げへぁ!?」
「だけど私は殺さない。人間界には人間界の掟があって、それに見合って裁かれるのは知ってる。だから、殺さない」
激痛に気を失って倒れた男が持っていたナイフを没収し、この家の住人であろう、床に倒れて気絶している女性をソファーに移動させる。
「魔王らしくないって言われそうだけど、魔王が人を助けて何が悪い」
リンカードとエイネルの解説コーナー
『魔界と人間界』
<<マイク:ON>>
エイネル「さてさて! 『魔王が旅して何が悪い!』を読んで下さっている方々、たまたま目を通したと言うお方もとりあえずありがとうございます! さて、今回から始まりましたこのコーナー」
リンカード「単純に解説をするコーナーなんだが、こいつはやたらテンションが高い」
エイネル「そりゃ、私達のことをもっと知ってもらえるのだから喜ばしいことよ! あっ、メタとかそういうこと言うのは禁止ね」
リンカード「……(いや、このコーナー自体がメタだろ)」
エイネル「さて、それでは今回お話しするのは『魔界と人間界』について! 概略程度だけど、知っておくとまぁ……多分役に立つよ!」
リンカード「役に立たなそうだな……」
エイネル「ちょっとマイクのスイッチオフ!」
<<マイク:OFF>>
エイネル「ねえリンク、テンション低いよ。もっと楽しんでいこうよ」
リンカード「正直面倒臭いんだが」
エイネル「泣き言は言わない! 私達の世界を私達が説明するのは、ある意味義務でしょ。リンクは納税してないの?」
リンカード「してねぇよ、自称勇者はニートと同列だ。生活保護は受けられないけどな」
エイネル「あーもう! とにかく説明するの! 良い? 分かった!? それじゃあマイクオンでお願いしまーす」
<<マイク:ON>>
リンカード「はぁ……『まお旅』の世界は魔界と人間界から成り立っている。今回はそこんとこを簡単に説明しようと思う」
エイネル「では私から説明しよう! 魔界とは三人の魔王が統治している世界で、それぞれデスゲート、ノーライト、ヘルエデンと呼ばれる者達が覇権を争っている」
リンカード「一口に魔王と言っても複数人いるわけだな。100年前まで魔王と言えばデスゲートだったが、今では全てまとめて魔王と呼ぶことが多い」
エイネル「100年前に伝説の勇者アライト・サンクティスがパパを倒して以来、人間界で猛威を振るっていたデスゲート配下の魔物は大人しくなった。それ以後、人間界で猛威を振るっているのは主にノーライトとヘルエデンの魔物よ」
リンカード「魔物被害調査の専門家の間では100年前より魔物被害が増えていると言われている。抑圧されていたノーライトとヘルエデンの魔物が同時に暴れ始めたからだろう」
エイネル「それに対抗するように人間の勇者が増えたと言う情報は魔界でも聞いたけど、その辺どうなの?」
リンカード「カルティナ王国の政策でアライトに倣って勇敢なものを増やそうと言う動きが活発になった。それで作られたのが『ヒーローズ』だが、それは今回の話題からずれるから省略する」
エイネル「魔界と人間界は基本的に敵対し、互いに傷つけ合っている。魔物が一方的に攻めている印象もあるけど、実は無害な魔物が無差別に勇者の被害に遭ったりもしてるの」
リンカード「普通は見分けつかないもんな。無害な魔物なのか、有害な魔物なのかなんて」
エイネル「私はそう言う壁を無くしたいんだけど、やっぱり無理なのかなぁ……あれ、リンクちょっとマイクオフ、スタッフさんがサイン出してる」
<<マイク:OFF>>
エイネル「どうしたんですか?……えっ? 話題が何かずれてる? もっとそれぞれの世界の特徴をピックアップしろですか」
リンカード「魔界も人間界もでかいのにどうしろってんだよ。だから面倒臭いって言ったんだ」
エイネル「とにかく魔界のことは私が、人間界のことはリンカードお願いね。マイクつけるよ」
リンカード「もう帰りたい」
<<マイク:ON>>
エイネル「コホン、では魔界について簡単に説明。魔界は結構広いですね、それぞれの領土が人間界の舞台であるカルティナ王国並みに有ります。当然魔物も沢山いますよ」
リンカード「人間界の舞台はカルティナ王国と言って、人口はおよそ1億4500万人だ。これは現在の文化水準で言うと凄まじい人数で、国土はメタになるがロシアの3倍と言うところか」
エイネル「人間界の大陸は二つ、うち一方が私達の魔界と通じていて、もう一方は未開の地と言われている。ジパングやシンがあるって聞くわね」
リンカード「一方は殆どがカルティナ王国領だ。近隣諸国はあるが、正直戦争が勃発するような状態ではない。シンやジパングとも、割とうまくやっているようだ。貿易とか」
エイネル「実はヘルエデンの大軍がかなり昔にシンやジパングに乗り込んだことがあるって、知ってる?」
リンカード「初耳だな。てことは、向こう側は今やヘルエデンの領土ってことか」
エイネル「それが向こうには『妖怪』とか『幽霊』とか不可思議な化物が居てね、勇んで行ったは良いけどボコボコにされて壊滅したらしいよ」
リンカード「それは怖いな。それなら向こうの大陸の人間達もさぞや強いことだろう。旅行に行く時は注意するとしようか」
エイネル「そうだね。いつかリンクと二人で行けるといいなぁ……あっ、そろそろ時間だ。それでは皆さん、また今度もよろしく! 魔王が解説して――」
リンカード「何が悪い」
エイネル「取るなぁ!?」