うっかりうさちゃん
うさちゃんは自分のことをねずみだと思っています。
なぜならずっと穴の中に住んでいるため、一度も自分の姿を見たことがないからです。
穴の中は安全です。食べ物は親が持ってきてくれます。
両親は耳が小さいうさぎですから、うさちゃんは両親のこともねずみだと思っています。
でも両親に「ねずみだね」と言っていないので、誤解は正されないままです。
うさちゃんは穴から出て独り暮らしすることになりました。
うさちゃんの目の前には、広い原っぱが広がっています。
思い切り走ると、池を見つけました。
そこには、うさちゃんの姿が映っています。
うさちゃんが思っていたのと、全く違う姿です。
うさちゃんはびっくりして腰を抜かしてしまいました。
今まで自分をねずみだと思っていたことが怖くなりました。
とにかく池の水を飲んで、落ち着いてみました。
「ねずみだろうと、うさぎだろうと、わたしだってことは変わらない。別にうさぎだっていい。ジャンプが上手だし、ねずみより楽しく暮らしていけるかも」
うさちゃんはうれしくて高く高くジャンプしました。