表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/17

第2話   私じゃない私の裏切りの唇


      ・

      ・

      ・


     !!!

「クハーーーーーーーーッ!!」

掛けられていた布を跳ね除け、私は肺が破れそうな勢いで息を吸い込み、飛び起きた。


高いところから落ちる夢を見た時、体が「ビクッ」となるアレの、十倍は跳ねた自信がある。

「……何? 何だったの、今の……っ」


泥のように重い頭を抱え、必死に周囲を見渡す。そこにあったのは、見覚えのない景色だった。

「えっ、ってか、……ここどこ?」


知らないベッド、知らない家具、知らない部屋。

「私、まだ酔ってるの?夢?……じゃないわね!?」


値踏(ねぶ)みの知識はないけれど、どれもが超がつく高級アンティーク的な物が置かれていることは何となくわかった。


今、私が眠っていたこのベッドだって……。


「いったい、何人一緒に寝れるのよコレ?!」

って、いうかチープな物がなにひとつ無い!


物珍しさから辺りを見渡していると、不意に手前のドアから控えめなノック音が3回した。


びっくりした私は思わず、「ハイッ!!」と、背筋を伸ばして反射的に返事をしてしまった。


もし、幼稚園の先生がいたら、良く出来ましたと褒めてもらえ、頭を撫でられる程の歯切れのよい、見事な返事だ。


身についた習慣とは、―――恐ろしい。


「失礼いたします」

ドア向こうから、元気そうな女の子の声がした。


扉が重々しく開き、メイド姿の少女が入ってきた。


「おはようございます。シャロン様。朝食の準備が整いました」

そう言って少し頭を下げてから、こちらへと向かってくる。


「お食事はどうなさいますか?いつものようにお部屋で取られますか?」

どう見ても私に話しかけてる。


「……シャロン様?」


明らかに私に話しかけている。けれど、私の思考は別の場所へ飛んでいた。

「『ワ~ォ!コスプレ少女。初めて見た!』」

「は、はい??」


質問と違う答えに、少女は困惑に眉を寄せ、こちらを見ている。


「えっ?あっ!違うの!!『うわ~何言ってんの?この人!って、目をしてる!完全に初対面の人にかける言葉じゃなかったーーーーっ』ごめんなさい!!」

(ん?あれ?今の……、何だろう?この違和感!)


「あれ?!今、私、……」

慌てて手を口に押し当てる。


何かがおかしい。さっきから思ったことが、そのまま口から滑り落ちている気がする。


メイド少女は、少し心配した様子で私に近づいて来る。

「大丈夫でしょうか?」


「えっ?あぁ~、うん。大丈夫!平気、平気」

『何が』大丈夫で、『どう』平気なのか自分でも分かっていないが……。


「えぇーと、私こそ、ごめんなさい。知らない間に、ここで眠っていたみた・い・・で?……」

そう言いかけた私は、まるで壊れかけのロボットみたいにゆっくりと固まってしまった。


「はっ!?」私は完全に凍りついた。


ベット脇のドレッサーの鏡に映る少女。


二十代半ばだった私より、少し幼いだろうか。十代後半――、少女と呼ぶのが相応(ふさわ)しい危うい美しさだ。


美人だが、まだ幼さの残る少女が鏡の向こうで目を丸くしている。


「あ、あれ~~っ??????」


透き通るほどの白い肌に、光沢のある亜麻(あま)色の髪の少女。


今も、その吸い込まれそうなほどの深みのある瑠璃(るり)色をした瞳の美少女と鏡越しに目が合っている。


「!!こ、これは、……」


震える手で自分の頬を触れば、鏡の中の少女も同じ場所をなぞった。


「えっ?!どういう事?!一体、何が起きてるの????」

「……様!……ロンさ……」

メイド少女の声が遠く聞こえる。


状況は把握した。でも、理解が追いつかない。


混乱のあまり絶叫が喉までせり上がってきた。


「なんで私、別人になってるのぉぉぉぉぉぉぉぉ〜っ!?」


私は、腕を伸ばし、手の平と甲を交互に見てみる。細く綺麗な手だ。


でも、それは―――、


私の手じゃない!


「シャロン様!!!」

チョット泣きそうな顔で覗き込むメイド少女のその声で、ようやく我に返った。


「シャロン様!大丈夫ですか?」

「あ、あぁ~、大丈夫……。じゃないけど大丈夫」

と、また支離滅裂(しりめつれつ)な返事をしてしまったが、メイド少女の声に反応したことで、彼女はようやく安堵(あんど)の色を浮かべた。


「本当だった。奥様の(おっしゃ)った通りになってる。あたし、ナタリーさんを呼んでくるのでちょっと待ってて下さいね」

そう言残すと、メイド少女は弾かれたように、一目散に部屋を出ていった。


静まり返った豪華な寝室。


私はひとり、自分の手を握ったり開いたりしながらじっくり見た。いつもと変わらないくらい、しっくりくるけど、……この体は私じゃない!


「……一体、何が起きているのよ」

一人になったことで熱を帯びていた思考が、ようやく(なぎ)に向かう。


「え~っと、私、何してたんだっけ?」

頭はスッキリしているのに、なかなか思いだせないでいた。


「そう、お風呂!お風呂上がりにアイスを食べて、スマホで……そうだ、WEB小説を読もうとしたんだ。そしたら、いきなり画面が光って……光って……って、ダメだ!!全然、思い出せない!」

そこから先の記憶がない!


まるでハサミで切り取られたように存在しない。気がついた時には、もうベッドにいて、


―――この美少女『シャロン』として目覚めた。


「ちょっと待って!これって、もしかして、WEB小説でよくある()()なわけ? 私―――、転生しちゃったの?それともこの子に憑依したってこと?ううん、そもそも、今のこの記憶が前世の記憶だったりする??」

ダメだ!色んな事が頭の中でグルグル回ってる!!


「んーーーっ!全然分かんないっ!!」


だけど、ひとつだけ確信を持つことができた。

鏡に映る美少女。これは間違いなく。


―――私『樹里』じゃない私『シャロン』だっ!!


   最後までお読みいただき、ありがとうございます!


シャロンの『ダダ漏れ本音』にクスッとしたり、ノエルの『溶けていく心』にキュンとした方は、ぜひ下の【☆☆☆☆☆】から★で、この作品を応援してもらえると嬉しいです!


「面白い!」という方は★5つ、「期待外れ」という方は★1つ、もちろん正直に、感じた気持ちで構いません。


あわせて【ブックマーク】で、二人の行く末を最後まで見守っていただけると、なお嬉しく思います!!


皆様のリアルな反応が、シャロンたちの物語を空高く押し上げてくれる【翼の羽】となります。


※【予告:40話付近のサプライズ】

実は、第40話を超えたあたりで『大きな仕掛け』を用意しています。

この世界がより深く、切なく繋がる「特別な体験」をお届けできるはずです!


毎日【21:20】に1話ずつ、完結の100話まで一気に走り抜けます。


明日のシャロンも、漏れているのかな?(笑)。


次回更新もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ