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ファインレアの推薦

「いずれにしても――」

ファインレアは言葉を続けた。

「家を買いたいなら、不動産を所有している地主を探すといいわ。おすすめは〈アイエレン家〉ね。彼らは〈三天家〉の一つよ。〈ロイヒト家〉や〈クリーガー家〉みたいに武を極めることに特化しているわけじゃなくて、不動産業で名を馳せてる一族なの。必要なら、彼らの事業所が載っている地図を渡すけど、どうする?」

「もらえると助かる。」

俺がそう答えると、ファインレアは左手側の棚へ向かった。

棚の区分けされた箱の中から一つの巻物を取り出し、戻ってくる。

彼女の机の上には今もなお錬金セットが広がっているため、巻物は端の方に置かれることになった。

広げてみると、それはネヴァリアの簡易地図だった。

街道や建物が描かれ、〈商人広場〉にあるネヴァリアの建国者の像など、いくつかの歴史的建造物も記されている。

ファインレアは再び羽ペンを手に取り、インク瓶に軽く浸した後、いくつかの建物――四角や長方形で示されている――に丸印をつけていく。

「はい、これ。」

彼女は巻物を丸めてから俺に渡した。

「ここに印をつけた場所が、アイエレン家の事業所よ。どれか一つに行って、『家を買いたい』と伝えれば、手続きを手伝ってくれるはず。」

「ありがとう。」

俺は軽く頷いた。

「本当に助かるよ。」

ファインレアがアイエレン家の事業所を把握していることに、最初は少し驚いた。

だが考えてみれば当然かもしれない。彼女の錬金術協会も、アイエレン家と何らかの取引をしているに違いない。

「気にしないで。」

ファインレアは穏やかな笑みを浮かべた。

「いつでも、困ったことがあれば頼ってきて。」

改めて礼を述べた後、俺は錬金術協会を後にした。

だが、すぐにアイエレン家の事業所へ向かうわけではなかった。

家を手に入れることは急務ではあるが、それと同じくらい大切なことが、他にもある。

フェイが、新しい修行場で俺の到着を待っているはずだ。

彼女の修行も、俺自身の鍛錬も、決して疎かにはできない。

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