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昔から女の子に見られていた

最後のヤジに思わずピクリと反応してしまったが、なんとか無視することにした。

過酷な環境と厳しい修行で鍛えられた今でも、俺の見た目はどこか中性的で、女の子のように見られることが多かった。

今回が初めてでもなければ、おそらく最後でもないだろう。

カリと俺は空いているテーブルを見つけて、ようやく腰を下ろした。

すると、それまで注目していた客たちも、次第に自分たちの会話へと戻っていった。

俺はホッとため息をつく。

果てなき砂漠で二年も過ごしたせいか、こうして大勢の人々の中にいるのには、まだ慣れない。

砂漠の中にある街のいくつかは確かに活気があったが、俺たちが旅してきた時間の大半は、広大で何もない砂丘を渡っている時だった。

カリの少し落ち着かない表情からして、彼女も同じように感じているのだろう。

数分後、元気いっぱいの若いウェイトレスが俺たちのテーブルにやってきた。

「やっほー! ジェザベルっていいます! ご注文は何にしますか〜?」

「うーん、まだ分からないですね」と俺はカリと顔を見合わせながら答える。

「ここに来るのは初めてなんです。おすすめってありますか?」

「おおっ、初めてなんですね! それなら、断然『溶岩ガニのスペシャル』がおすすめですよ!」

俺はカリに視線を向けた。

彼女は少し首をかしげてから、コクンとうなずいた。

「じゃあ、それをふたつお願いします」と俺は言った。

「了解です! 溶岩ガニスペシャル2つですね! お飲み物はいかがですか?」

「お水でお願いします」とカリが優しく微笑みながら言った。

「オッケー! 少々お待ちくださいね〜! すぐにお持ちしますっ!」

スキップしながら去っていく彼女を見送った後、俺たちは改めて店内の様子に目を向けた。

カリの背後、数テーブル向こうにいた女性たちの一団が目に入った。

彼女たちは頭から足まで毛皮付きの重厚な鎧で身を包み、まるで戦士のような出で立ちだった。

この地方の穏やかな気候を考えると、暑苦しそうな格好だが、同時に威圧感も漂っていた。

皆、俺のことを見ていた。

中には舌なめずりをしている者さえいた。

俺は顔をしかめた。

「どうかしたの?」と、俺の様子に気づいたカリが尋ねる。

「いや…」俺はため息をついた。「ただ、精肉店の前に吊るされてる最高級の牛肉って、こんな気分なんだろうなって思ってさ。」

カリは小首をかしげていたが、特に突っ込んでくることはなかった。

代わりに、俺たちは店内で交わされているさまざまな会話に耳を傾け始めた。

多くはこの街で起こっている出来事に関する噂話だったが、その中には「ヴァーン」から少し離れた場所にある遺跡に関する情報も含まれていて、それがカリの興味を引いたらしく、彼女はまるでプロの盗み聞きのように身を乗り出して耳を傾けていた。

「なあ、何年か前に現れたあのカルト教団の話、知ってるか? 最近また現れたって噂だぜ」と、俺の左手側から誰かの声が聞こえた。

「おう、なんか聞いたぞ。北方平原の遺跡を漁ってる謎の連中だろ? 六大宗派の大会の後に現れたって噂の。全身を覆うようなでかいフード付きのマントを着てるんだってな。最近はエバーグリーンの森にある遺跡に居ついたって話も聞いたぜ」と別の声。

「それそれ。あと、北方平原の各地にある村や小さな町から人がさらわれてるって噂もある。さらわれた人は、その後どうなったか誰も知らないらしい。」

「人さらい、か…。何のためにそんなことしてるんだ?」

「さあな。ただ、気味が悪いのは確かだな。」

「おいおい、そんなのただの噂だろ? そういう話はいつだって出回るもんさ。そんなことが本当に起きてたら、ミッドガルドの六大宗派がとっくに止めてるさ。」

「でもなぁ…レディ・アレクシスとレイネール卿が、前に奴らと遭遇した時、重傷を負ったって噂もあるんだぜ…」最初に話し始めた声は、まだ疑っているようだった。

「ありえねえだろ。あの二人は北方平原でも最強だって言われてるんだぜ? レディ・アレクシスなんて十四歳で霊術の第三段階に達したらしいし。」

料理が運ばれてきたことで、俺たちは盗み聞きをやめて自分たちの会話に戻った。

そして食事をしながら、他愛のない話をした。

俺はさっき聞いたカルトの噂について、頭の中から追い出したつもりだった。

この時の俺には知る由もなかった。

その「カルト」と呼ばれていた集団が、実はカルトなどではなく――

数年後、俺の人生において最大級の災厄のひとつとなる存在だとは。

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