小川で身体を洗うフェイ
方向を確かめた後、俺はフェイが修行しているはずの空き地へと戻った。
だが、そこに足を踏み入れた瞬間、俺は眉をひそめた。フェイの姿が見当たらない。
あたりを見回し――そして、理由に気づいた。
フェイは池で水浴びをしていた。
その光景を目にした瞬間、俺の心も体も硬直した。
フェイは池の中で立っており、完全に裸だった。下半身は水に隠れていたが、上半身は丸見えだった。
張りのある豊かな胸――それがはっきりと目に入ってくる。
以前にも一度、フェイの裸は見たことがある。だが、あの時は霊毒に侵されていたため、黒い斑点が体中に浮かんでいた。
今は違う。
彼女の肌は一点の曇りもない純白の陶器のようだった。
フェイの胸はカリほどではないにしても、十分に立派だった。
彼女が手を胸に滑らせるたびに、柔らかそうな肉が揺れ――俺の喉が思わず乾いた。
残念ながら、この角度では彼女の内向きの乳首は見えなかった。
その瞬間、強い欲望が胸に湧き上がった。
今までカリにしか抱かなかったような衝動――それがフェイに向けられていた。
そのことが、俺をさらに罪悪感に苛ませた。
「エリック……」
俺の存在に気づいたフェイが声を上げた。
彼女の頬は真っ赤に染まっていた。
恥ずかしさが見て取れたが、それでも彼女は俺から逃げようとせず、体を隠す素振りも見せなかった。
もしかすると、あまりに驚きすぎて反応が追いついていないだけかもしれない。
俺は深く息を吸い、目を閉じて体の向きを変えた。
「すまない。水浴びしているとは思わなかった。」
「謝らなくても……いいのに」
フェイの声には明らかな恥じらいがあった。だが、その中にほんのわずか――幻でなければ、失望のような響きもあった。
「だって……前にも見られてるし。……別に、見続けても……私は気にしないから……」
その言葉に、全身が羞恥と葛藤に襲われる。
見たい――本心では、そう思っていた。だが、それは――間違っている。
俺はカリを愛している。
たとえフェイにも何らかの感情を抱いていたとしても、彼女の想いに応えられないこの状況で、裸の姿を目に焼き付けるような行為は――彼女を貶めることに他ならない。
「……いや」
俺は深くため息をついた。
「そんなことをしては……いけない。」
「……そうだね」
フェイの声はかすかで、今にも壊れてしまいそうなほど繊細だった。
その儚さが胸に痛みを残したが――俺はその痛みすら、受け流すしかなかった。俺には、どうすることもできないのだから。
彼女が水浴びをしている間、これ以上ここに居続けるわけにはいかない。
俺は意志の力で体を動かし、森の奥へと足を向けた。
その先で――
俺はズボンの中に溜まった鬱憤を、どうにかしなければならなかった。
こんなにも自分を恥ずかしく思ったことが、今までにあっただろうか。
いや、ない。