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オークションの逸品たち

カリ・アストラリアは、母と三人の父、三人の兄たちと共に観覧席に座り、まるで彫像のように微動だにせず過ごしていた。椅子の座面は柔らかく、彼女の身体を包み込むように沈み込む。上質な布地が使われており、長時間座っていても不快感はまったくなかった。それでも正直、彼女は退屈していた。

「そんなつまらなそうな顔をしないの」 母親がやや咎めるような視線を送ってくる。

「本でも読んでいた方がマシって顔だな」

そうからかったのは末弟のゲイロルフ。笑い混じりの皮肉を浮かべながら言った。

カリは無視した。最近のゲイロルフは、妙に意地悪になってきていた。服の趣味、本好きなところ、冒険に憧れる気持ち――何かにつけて侮辱してくる。彼の実力を知っているからこそ問題を起こしたくなかったが、そうでなければとっくに決闘を申し込んでいた。

「やめなさい、ゲイロルフ」

その言葉はカリではなく、実の父であるヴァレンス・アストラリアから発せられた。威圧的な存在感を放つ彼は、冷たい光を湛えた瞳で若者――彼にとっては義理の息子――を見つめた。霊術士としての鋭さを宿す視線に、十八歳の青年は思わず生唾を飲み込んだ。

「末っ子が最近、手に負えなくなってきたな」 レイナーがため息をついた。

「甘やかした結果だろう」 ダンテが苦笑混じりに言った。

「まあ、そうだな」

三人の父たちが談笑する中、ゲイロルフは小さく唸りながら背もたれに身を沈め、腕を組んでふてくされた様子を見せた。カリは視線の端で弟の様子を確認し、もう何もしてこないと判断すると、舞台へと意識を戻した。

「メインイベントの前に、長年ネヴァリアでは見られなかったいくつかの逸品をご紹介いたします」

ステリスの言葉がオークションホール全体に響き渡ると、場内がどよめきに包まれた。

だが、今のカリの視線はステリス・ヴァルスタインではなく、その娘――フェイに向けられていた。

彼女は本当に美しかった。どこから見ても隙のない優雅なドレスを身に纏い、壇上に立っていた。多少のぎこちなさは見られたが、それでも懸命に笑顔を作って観客に応えている。

自分が美しいということは、カリも理解していた。これまでに何十万という賞賛の言葉を受け取ってきたからだ。だがそれでも、彼女はフェイの方が遥かに美しいとずっと思っていた。そして今日、改めてそれを実感していた。

心が、震えた。

昔は友達だった。だが、ある事件をきっかけに二人の関係は崩れてしまった。加えて、ヴァルスタイン家は凋落し、今では貴族とは名ばかりの存在になっている。

友を失った喪失感は、カリにとって大きな痛みだった。最近になって、ルヒト家がフェイをグラント・ルヒトの第二夫人として迎えようとしていると聞いた時、正直なところ、彼女は少しだけ嬉しく思ってしまった。ルヒト家は野心的で、ヴァルスタイン家にも圧力をかけていたし、カリ自身もグラントとの婚姻話を持ちかけられていた。

共に望まぬ相手の標的となることで、また距離が縮まるかもしれない。

……そう思っていた。

だが、それはただの幻想だった。

「こちらが最初の商品です!」

ステリスがフェイに視線を送ると、彼女は壇上のテーブルの一角にかけられた布を取った。

その下にあったのは――小さなガラス瓶。中には、光を放つ粒のようなものが入っている。

「錬金薬……?」

カリが誰にも聞こえないほどの小さな声で呟いた。

「こちらの錬金薬は『優しき癒しの薬』と呼ばれております。水属性の霊術士がそばにいなくても、これを服用すれば軽傷から重傷まで癒すことが可能です。骨折や刺し傷にも効果があります」

ステリスの説明に、下の観客たちがざわめき始める。彼はにやりと笑い、「我が家で効果は実証済みです」と胸を張った。

会場がざわめく中、カリは周囲の会話など一切耳に入っていなかった。彼女の関心はただひとつ――その錬金薬が、エリックの手によって作られたものかどうか。

「優しき癒しの薬……」

「そんな薬、聞いたことないな」 ダンテが顎に手を当て、思案顔で呟く。「錬金術ってのは、化粧品とか簡単な治療薬くらいしか作れないと思ってたが」

「今はそうかもしれないけど、昔は違ったのよ」 母親が瓶を見つめながら諭すように言った。「前皇帝から聞いた話では、百年以上前には様々な効果を持つ錬金薬が存在していて、錬金術師は尊敬されていたそうよ。でも、百年前に錬金術協会で火災が起きて、優秀な錬金術師たちが亡くなり、薬の知識も失われてしまったらしいの」

「誰かがその薬を再現したということか?」 レイナーが問う。

「誰にもわからないわ。でも、もしステリスの言葉が本当なら、ネヴァリアにとって大きな力になる」

母の言葉に、三人の父たちも深くうなずく。ゲイロルフとミッケルの目には、あの薬が天からの贈り物であるかのような輝きが宿っていた。唯一、いつも無口なエアランドだけは、無表情のままだった。

「この薬は、我が家のみがその効果を理解しているため、開始価格は200ヴァリスとさせていただきます」

「開始価格としては安いな」 レイナーがぼそりと呟く。

「得体の知れない薬を高く売るわけにはいかないだろう」 ダンテが椅子に寄りかかりながら顎を撫でる。「きっと、あれは今日の目玉商品の前座だ」

「その通りかもしれないな」 レイナーも同意した。

誰もが様子を窺っていた。効果が未知の薬に高額を出すのは躊躇われる。たとえヴァルスタイン家が実験済みと主張しても、疑いを捨てきれない者は多かった。経済的に困窮しているという噂もあり、それが彼の誠実さを信じきれない要因となっていた。

「母さま」 カリが母親に向き直る。「あのお薬、競り落としてくれませんか?」

「欲しいの?」 母が驚いたように瞬きを数回する。「理由を聞いてもいいかしら?」

「えっと……最近、ブリュンヒルド先生の訓練が厳しくなってて、怪我も増えてて……。自分の光属性で回復しようとしても、まだ上手くできなくて……」

それは理にかなった説明だった。だが本当の理由は違う――彼女は、その薬がエリックによって作られたものだと信じていた。ただ、それだけの理由で欲しかった。

「わかったわ」 母は数秒間じっとカリの目を見つめた後、ため息をつきながら真鍮のメガホンを手に取り、口元に近づけて深く息を吸った。

「その薬に、300ヴァリスを入札します」

その声はオークションハウス全体に響き渡り、多くの人々が驚いて顔を上げた。カリの家族が座る観覧席を見上げる者もいたが、角度的に闇に覆われていて、誰の顔も見えなかった。

「300ヴァリスです。他に入札される方はいらっしゃいますか?」

ステリスの声が場内に響き渡った。

「その薬に、300ヴァリスを入札します」

その声はオークションハウス全体に響き渡り、多くの人々が驚いて顔を上げた。カリの家族が座る観覧席を見上げる者もいたが、角度的に闇に覆われていて、誰の顔も見えなかった。

「300ヴァリスです。他に入札される方はいらっしゃいますか?」

ステリスの声が場内に響き渡った。

数秒の沈黙の後、下の階から誰かが手を上げて350ヴァリスに値を上げた。カリはその人物に不機嫌そうな視線を送る。

彼女は母親に視線を向けた。母はその視線を感じ取り、ため息をついた。

「400ヴァリス」

だが、母がさらに値を上げたにもかかわらず、別の人物がさらに入札し、価格は400から500ヴァリスへと上がった。カリはただ座っていることしかできなかった。何度も母に視線を送ったが、母は首を横に振るだけだった。たった四錠しか入っていない、正体不明の薬にそれ以上の金を出すつもりはないのだろう。

「1,000ヴァリス!」

突然、別の観覧席から声が上がった。カリはそのバルコニーに視線を向けたが、カーテンが邪魔で何も見えなかった。

「1,000ヴァリスいただきました。他に入札される方は?」

しばらくの沈黙――そして。

「それでは、『優しき癒しの薬』四錠入り、一瓶――ルヒト家に、1,000ヴァリスで落札されました!」

ルヒト家……!?

カリは驚きに目を見開いた。観覧席を見たが、やはり誰の姿も見えない。ステリスが誰が落札したかを知ることができるのは、舞台の上にいるからで、他の者には誰がどの席にいるかを判断することはできなかった。

観覧席がプライバシーを守るために設計されているとはいえ、完全な匿名性があるわけではない。誰がどの品に入札したか、知られたところで問題はないのだ。

だが、カリは心の中で悔しさを感じていた。

悔しさと――苛立ち。

その思いが込み上げた瞬間、フェイが次の布を取り払った。

「続いてはこちら――『霊力強化薬』です。名の通り、服用すれば霊力が一時的に二倍に増加します。戦闘中に追加の力が必要なときに大変有用です」

ステリスの言葉に、会場の熱気がさらに高まった。

カリも理解できた。

霊力の多寡は、霊術士がどれだけ多く、どれだけ高位の霊術を扱えるかに直結している。大半の霊術士は、Cランク霊術を一、二回使うのがやっとで、Aランクなど夢のまた夢だった。

だがこの薬があれば、その限界を一時的に突破できる。

カリは母親に視線を送った。彼女の目が、何かを問いかけていた。

女帝は、深くため息をついた。


オークションがついに始まりました。そして次回も続きます。カリは錬金薬を手に入れることができるのでしょうか?


次回のドラゴンボールで……いや、違いましたね。また次の章でお会いしましょう。



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