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夜に響く不気味な笑い声

「ふむ……」

クロークに身を包んだ男は、エリック・ヴァイガーの住む家から数メートル離れた屋根の上に佇んでいた。まったく動かないその姿は、風ひとつ吹かぬ静寂の夜において、まるで影そのもののようだった。

「我が精鋭シャドウパペット三体を壊滅させるとはな……」

彼は低く呟いた。

「ただ倒しただけでなく、あれほどまでに容易くやってのけるとは……。あの子供、確かに強い。これでこそ、なぜハーゲンが奴を始末しろと命じたかが理解できる。だが……この子供を殺すのは、容易ではないな。もっと多くの人形を用意せねばなるまいが……ふむ、それはそれで面倒だ。作るのにも骨が折れるのだよ、まったく」

彼は顔を上げ、空に浮かぶ双子の月を見上げた。星々とともに夜空をほのかに照らすその光が、クロークの陰影をより一層濃くする。

「どうやら明日になる前に奴を殺すのは不可能のようだな。ハーゲンにはそう伝えるとしよう。……まあ、失敗したところで、あの男に私を罰する力などないのだからな。ククク……」

再びエリックが入った家へと視線を向けると、男の口元にうっすらと笑みが浮かぶ。

「フフ……あの子供が、明日の試合でどこまでやれるのか、見せてもらおう。私を退屈させるなよ?」

自分に言い聞かせるようにうなずいたその男は、闇に溶けるように屋根の影へと沈んでいった。

その場には、空気を歪めるような乾いた笑い声だけが、夜の帳にしばし響いていた――。


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