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俺の勝利

アルベルトの青ざめた顔を見つめながら、彼が必死に自分の剣を俺の手から引き抜こうとするのを見下ろしていた。

顔も首も肩も汗でぐっしょりだ。霊感を使えば、さっきの技で彼が霊力のほとんどを使い果たしたのが手に取るように分かる。第二段階の霊術状態を示すあの赤い霊力の層も、すでに消え失せていた。

つまり、もう終わりにしていい頃合いだ。

俺は手に力を込め、そのまま剣を砕いた。

バキィン――と音を立てて剣が粉々になり、その破片が地面に散らばった。

アルベルトの顔色は、今にも倒れそうなほどさらに悪くなった。

彼の視線が剣の破片を彷徨い、柄を見つめ、それから――俺を見た。

俺は、にやりと笑ってやった。

後ずさる彼の足元はふらつき、恐怖に目を見開いたままだ。

カリから聞いた話では、この男は今までこんな屈辱的な敗北を経験したことがないのだろう。

「試合は終わりだ。降参しろ。」

冷え切った声でそう告げると、アルベルトは視線を宙に彷徨わせた。

どうするべきか、自分でも分からないといった様子だ。

ダンテの方を見た。試合開始から一度も動かなかった彼は、静かにその場に立っているだけ。

再び俺に視線を戻したとき――決断の火花がその目に宿った。

彼は奥歯を噛み締め、苦々しい表情を浮かべながら言った。

「……ま、負けを認める。」

アルベルトの声は、ほとんど囁きに近いほど小さかったのに、静まり返ったコロシアムに不自然なほど大きく響き渡った。

観客席の隅々まで、その敗北宣言は届いた。

俺は頷き、ダンテの方に視線を向ける。

普段は飄々としたあの男が、まるで剣のように鋭い目を向けてきた。だが、それもすぐに消える。

いつもの笑みを浮かべた彼は前に進み出て、片手を高く掲げた。

「諸君、名誉決闘は決着した――勝者は、エリック・ヴァイガーだ!」

その勝利宣言に拍手はなかった。

……だが、元より期待もしていなかった。


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