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エリックとの関係をからかわれて

母と一緒に観覧席に座っていた私は、三人の兄たち、そして母の二人の夫――レイナーと、実の父であるヴァレンスと共にいた。

父たちは私と母のすぐ後ろの列に、兄たちはさらにその後ろ、一番上の列に並んで座っている。

それぞれの列は一段ずつ高くなっているので、前の人に視界を遮られることはなかった。

「おいおい、信じられないぜ」

グライロルフがにやにやしながら言った。

「まさか平民が貴族に名誉の決闘を挑むなんてな。そんなの、ルール的にありなのか?」

「規則には反していない」

エアランドが静かに言い返す。その表情は、いつものように無表情で冷静だった。

「これまで誰もやらなかったのは、単に恐れていたからだ。たとえ個人として強くても、貴族の家に目をつけられたら、どうにもならないからな」

「なるほどなー」

グライロルフは椅子にもたれながら、相変わらず笑みを浮かべていた。

「でもさ、俺が一番驚いたのは、その平民がカリを知ってるってことだよ」

ミッケルは顎に手を当てて考え込むように言った。最近、口元にうっすらと無精ひげが見えていて、そろそろ剃った方がいいと思う。

「ふむ、その若者に興味が湧いてきたな」

ヴァレンス父がミッケルの言葉を受けて、じっと私を見つめる。

その眉間にしわが寄った厳しい表情は、昔から変わらない。

「噂によれば、お前とその若者はネヴァリアで一緒に行動していたそうじゃないか。

中には、“手を繋いで歩いていた”なんて話も聞いたぞ。本当に、そこまで親しいのか?」

「っ……お、お父様っ!!」

顔が一気に熱くなり、私は思わず悲鳴を上げた。

もう、恥ずかしくて顔を服の中に隠してしまいたい――!

「今ので答えが出たようなものだな」

もう一人の父、レイナーが優しく微笑みながら言った。

「ふんっ……!」

ヴァレンス父が小さく鼻を鳴らすようにそっぽを向く。

私は何とかこのやり取りを忘れようと、必死で視線をアリーナの中央へ向けた。

そこには、すでに三人の人物が立っていた。

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