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過去にエリカから俺と妻が受けた助言

「そういうことなら、《探検者ギルド》に加入するのがおすすめよ」

そう言って、エリカは俺たちに提案してくれた。

「彼らは遺跡や歴史的に価値のある場所の調査、発掘を専門としているわ。まだ誰にも調べられていない遺跡の探索は危険が伴うけど、だからこそ、頭の切れる強い人材が常に求められているの。あなたなら、きっと活躍できると思うわ」

カリに向けられたその笑みは――今ではすっかり“エリカの代名詞”とも言える笑みだった。

「必ず調べてみます!」

カリは心からの笑顔でそう答えた。

「ありがとうございます!」

しかし――

あの奇妙な表情が、再びエリカの瞳に浮かんだ。

ミッドガルド霊騎士団の女騎士を見たときにも、彼女は同じ目をしていた。

なぜかその視線がカリに注がれた瞬間、俺は背筋に悪寒を覚えた。

まるで“カリを喰らおうとしている”ような、そんな錯覚に陥る――もちろん比喩的な意味でだが。

やがて俺たちは、とある建物の前で馬車を降りた。

その建物は五階建てほどの高さで、正面には大きな柱が等間隔に並び、入口の近くには神秘的な獣たちの像が並んでいた。

ドラゴン、グリフィン、そして見慣れない――キメラに似ているが、微妙に異なる生物。

亜種だろうか?

外観は古代の建築様式を残しつつも、内部は改装されていて、堂々たる佇まいだった。

中に足を踏み入れた瞬間、俺たちはその広さに圧倒された。

広々としたロビーには、巨大な柱が天井のリブ構造を支えている。

俺が三人がかりで腕を広げても、やっと一つを囲めるほどの太さだ。

そして今になって、ようやく気がついた。

この都市、ミッドガルドには――人間だけじゃない。

左側にはラミア族の一団。

ありがたいことに、彼女たちはちゃんと服を着ていた。

右側には、猫のような姿をした獣人たち。

毛に覆われた体、尻尾、そして頭の上にはピンと立った耳。

おそらく“パンセリアン”という獣人種族の一種だろう。

北方平原に入ってから、こうした種族と出会う機会はあったが……

これほど多くの種族が一堂に会している光景は、やはり衝撃的だった。

「部屋を取りましょう」

種族の多様性に戸惑う俺とは対照的に、カリはすっかり馴染んでいたようで、そう言って俺の手を引いた。

ロビーの奥には受付カウンターがあり、そこには仕立ての良いスーツに身を包んだ若い女性が、手を前で組みながら立っていた。

その服の鋭いラインは彼女に洗練された印象を与え、柔らかい笑顔は宿泊客の不安を和らげるためのものだとすぐにわかる。

「ようこそ、《アンティクイティ・イン》へ」

彼女は優雅に挨拶した。

「お部屋をご利用されますか?」

「はい」

カリが即答する。

「ご宿泊の期間は何日間でしょうか?」

その質問で、カリの動きが一瞬止まる。

……どうやら、何日泊まるかまでは考えていなかったようだ。

「一泊、一部屋でベッドが一つの部屋はいくらですか?」

俺が一歩前に出て交渉を代わった。

「一泊は百五十バリスでございます」

即答だった。

「二泊目以降は、一泊につき追加で七十バリスとなります」

頷きながら、俺はすぐに頭の中で計算を始めた。

現在、俺たちの所持金は一万四千六百バリス。

道中の雑用仕事で稼いだ金額だ。

ミッドガルドでの食費は不明だが、これまでの都市での物価を参考にするなら、ひと月でだいたい四千七百~六千バリス。

念のため、高い方を基準にして計算する。

――つまり、宿泊費として使えるのは約八千バリス程度。

「十五泊でお願いします」

俺が言うより早く、カリが決断した。

「かしこまりました」

女性はカウンターに羽ペン、インク瓶、羊皮紙を並べる。

「それでは、こちらにお二人のお名前をご記入くださいませ」

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