カリ
カリは、自分がどれくらいの距離を、どれくらいの時間走ったのか分からなかった。
気がつけば、図書館からはるか遠くまで来ていて、もう建物さえ見えなかった。
胸に手を当てると、肋骨を突き破ろうとするかのように心臓が激しく脈打っているのを感じた。
こんな風に感じたのは、初めてだった。
エリックの、あのほんの少しの言葉だけで、どうしてこんなにも恥ずかしくなるの?
それに…どうして彼にそう思わされることが、嫌じゃなかったの…?
それどころか、その言葉が嬉しかった。
冗談だったかもしれないけど、「君が頼んでくれたら、魔獣山脈にだって行くよ」なんて言われたら、
本当に一緒に行ってみたくなった――
…けれど、そう思った瞬間、さらに顔が熱くなってしまって、もうどうしようもなかった。
まるで終わらない感情のループみたい。
わたし…どうしちゃったの?
心の奥でそっと問いかけながら、カリは家路についた。
歩いているうちに、少しずつ心は落ち着いてきた。
でも、その代わりに、逃げ出してしまったことへの罪悪感が胸に残った。
あんな風に走ってしまったのは良くなかったって分かっているけど、
今の状態でエリックと向き合うなんて…無理。
次に会った時には、ちゃんと謝ろう。
だけど――彼の目を見て話せるようになるまで、どれくらいかかるのかな…。
えっと……今回はすっごく短い章になっちゃいましたね。
正直、前の章と合わせて投稿すればよかったかなって思ってます。
でも、このままじゃ物足りない気がするので、もう一章すぐに投稿します!
それでも、今回のカリ視点のエピソードを楽しんでいただけたら嬉しいです♡




