次元彷徨う魂の軌跡 魔科学世界への序曲
エリーゼとクリスティアンは、怪物の試練を乗り越えた後、いよいよ儀式の舞台へと移った。広間の中心には、高さ10メートルを超える巨大な杭が立っており、その周りには複雑な装置が配置されていた。
「ここが決戦の場所ね」エリーゼがさっそく周囲を観察し始める。
「これらの装置は、魔力と科学の力を併せ持った、まさに魔科学の粋を集めた設備のようだわ」
クリスティアンも機械の構造に目を凝らしていた。
「どうやらこの杭が中心的な役割を果たすようだ。魔力を集約し、空間の歪みを生み出すのかもしれない」
エリーゼは頷いて言った。
「そうよ。前世の知識を呼び起こせば、この装置の仕組みが理解できる。私たちが目指すのは、この広間を新しい次元空間の入り口へと変容させること」
二人は装置の詳細な解析に取りかかった。エリーゼが魔力を高め、クリスティアンが科学的思考で分析を加える。互いの長所を出し合い、装置の全体像を把握していった。
しかし物事はそう簡単には運ばなかった。突如、広間の隅から不気味な気配が漂い始める。魔力の濃い漆黒のひとかけらが、次第に形を成し始めたのだ。
「クリスティアン、気をつけて!」エリーゼが叫んだ。
そこに現れたのは、高さ5メートルを超える巨大な魔物の姿だった。全身を漆黒の鱗で覆われ、無数の牙と触手を持つ姿は痛々しい。
「ここに来る者よ。お前たちに新たな世界を切り開く資格があるのか、見せてもらおう!」
魔物が唸り声で告げる。
クリスティアンが答えた。「資格など必要ない。我々には前世の知識があり、平和な世界を実現する強い意志がある!」
「ならば試させてもらうぞ!」魔物はすさまじい魔力を解き放ち、エリーゼとクリスティアンに襲いかかってきた。
二人は全力で応戦する。魔力と武力、様々な手段を使い分けながら、死闘が始まったのだった。装置の周りは次々と砕け散り、広間があらぬ方向に変容していく。
敵が強力であれば、自分たちもさらに力を高める。試練の連続に喘ぐ中でも、エリーゼとクリスティアンは前に進み続けた。遂に最後の一撃が見えてきた時――
爆風が広間に響き渡り、二人は吹き飛ばされた。しかし、エリーゼはすぐさま防御の魔力壁を展開し、被害を最小限に食い止める。
クリスティアンが起き上がり、がれきの中から這い出してくる。「エリーゼ、大丈夫か?」
エリーゼも無事だった。
「私はいい。でも、この魔物には常人の力じゃ歯が立たないみたい」
二人を取り巻くように、魔力の塊が次々と集まり始めた。やがてそれらが渦を巻いて一つに合体し、さらに巨大な魔物が誕生する。
その魔物は無数の牙を剥き出しにして、エリーゼたちを挑発した。「おのれたちの限界を見せてもらおう!」
エリーゼは前世の知識を思い出し、クリスティアンと共に今までにない強大な魔力を解き放った。全てのエネルギーを無尽に注ぎ込み、魔物と渾身の魔撃の打ち合いを始める。
光と衝撃が部屋中を覆い尽くす。エリーゼたちの魔力は次第にその力を増していき、ついには魔物の攻撃を跳ね返し始めた。
「今だ!ここまでくればできるはず!」エリーゼが叫ぶ。
二人は力を合わせ、巨大な魔法陣を展開する。そして遂に、魔物に一切の魔力を叩きつけた。
轟音が響き渡り、あまりの衝撃に二人は視界を失った。しかし、やがてその轟音は収まっていく。二人が視界を取り戻した時、そこには魔物の姿は見えなかった。
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