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軍艦少女は死に至る夢を見る~戦時下の大日本帝国から始まる艦船擬人化物語~  作者: Takahiro
終章 少しだけ平和になった世界

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ソ連アフガン侵攻と新世代主力艦

 1979年、国連海軍が艦艇の全体的な更新を目前にしている頃、事件は起こった。アフガニスタン民主共和国でムジャーヒディーン(イスラム武装勢力)による大規模な蜂起が発生。常設国連軍の創設以降では最大の流血が発生した。


 アフガニスタン政府を支援するソビエト連邦は直ちに軍事介入を開始。アフガニスタンは内戦状態に陥る。以前よりムジャーヒディーンを支援していたドイツとアメリカの関与が疑われたが、両国は否定した。


 これに対し、大日本帝国が臨時国連総会の開催を要請。即時停戦を目的とした常設国連軍の派遣が発議された。しかし、これに反対したのはソ連であった。


「停戦は政権にとって不利です。停戦している間にドイツやアメリカが反乱軍に兵器を提供し、戦力を整えることは疑いようがありません。よって、連邦は常設国連軍の派遣に反対します」

「我が国もアメリカも、兵器の提供などしていません」

「ではどうして、ただの反乱軍風情が最新の銃器を保有していると?」

「不本意ではありますが、我が国の生産した兵器が何らかのルートで渡ってしまってのかもしれません」

「ふざけないでいただきたい。闇市であんな量の兵器が買える筈がない!」

「そのような懸念があるのであれば、停戦の間はアフガニスタン国内へのあらゆる兵器の搬送を禁止し、常設国連軍の任務としてその監視を行います」


 妙高はソ連に不満が残らない案を提案する。独米は建前上、これに反対することができない。


「もちろん、ソ連からアフガニスタン政府への武器の輸送も禁止するのですよね?」

「もちろんです。私達の任務はあらゆる戦争を絶滅させることなのですから。そしてその後は、国連軍の監視の下、アフガニスタン全国民で次の政権を決める選挙を行います」

「そんなことで正統な政権を簒奪できると?」

「国民の過半数から拒絶された政権は、存続するべきではありません。社会主義政権が歓迎されているのなら、問題はない筈です」

「拒否権が使えたら、行使しているものを……」


 ソ連は非常に嫌がっていたが、どうしようもない。常設国連軍の派遣が決定された。史上初の出動命令である。


 インド共和国の協力を得て、翌月には国連海軍の援護の下、20万の国連陸軍がアフガニスタンに入った。国連軍の圧倒的な戦力にムジャーヒディーンは停戦を受け入れ、一先ず流血は止まった。


 翌年には公正な選挙が行われ、意外にも現政権側が勝利した。ムジャーヒディーンは単なる反乱軍と扱われたが、国連軍の仲介による特別措置として、指導部の国外への亡命が認められた。これ以上の流血はどんな形であっても認めないという妙高の強い意志が働いた形となる。


 かくしてアフガニスタン紛争は終息した。


 ○


 1980年、高雄型ミサイル巡洋艦一番艦高雄が竣工。高雄の元の艦体はまたしてもハワイで記念艦として保存されることになった。


 また同年、日本の武蔵型誘導弾戦艦と国連海軍の陸奥型ミサイル戦艦がそれぞれ一隻ずつ就役した。


 ミサイル戦艦の陸奥は長門型戦艦の陸奥と比べれば大幅に大型化し(装甲は薄いので排水量は軽くなっているが)、最新鋭の武装とイージスシステムを備え、武蔵と並んで世界最強の軍艦の地位を手に入れたのである。


 そんな陸奥はプエルト・リモン鎮守府を訪れていた。国連海軍と大日本帝国海軍の親善という名目である。


「どう、私の新しい身体? 随分大きくなったでしょう?」

「主砲の一門すらない艦になって、随分とみすぼらしくなったものだな」


 長門は陸奥に冷たく当たる。長門はまだ長門型戦艦の長門のままである。


「あらあら。でも、私の方が圧倒的に強いわよ。だって500km先からあなたを一方的に粉々にできるし」

「技術に頼っていては、いずれ身を滅ぼすぞ」

「あら、アドバイスかしら? 優しいのね」

「貴様などに優しく接する訳がなかろう」

「つれないわねぇ。ところで、峯風ちゃんと涼月ちゃんは元気かしら?」

「ああ、元気だ。会っていくか?」

「許可してくれるなら」


 第五艦隊は基本的に、国連海軍に対する監査役ということになっている。戦闘能力は必要なく、カリブ海に慣れていればよいということで、峯風と涼月は相変わらずここに所属していた。


「陸奥か。随分大きくなったな」

「ええ。成り行きだけど、新時代の主力艦の一番艦を飾らせてもらったわ。峯風ちゃんは変わらないのね」

「島風型の設計は優秀だからな。まだ暫くは使えるさ」

「そんなこと言ったら、涼月ちゃんが可哀想じゃない」


 島風型はまだ近代化改装で間に合っているが、秋月型は全面的に新型艦に置き換えられている。高角砲は今や役に立たないのだ。


「あ、す、すまない、涼月……」

「ううん、大丈夫、峯風。身体を変えたお陰で、峯風より強くなれたから」

「あ、ああ、うん。よかった……」


 旧秋月型駆逐艦は、新世代艦に置き換えるにあたり日本版のイージスシステムたる『雷切』を装備し、非常に有力な防空艦となっている。ついでに対艦ミサイルも搭載しているので、普通に峯風より強い。


「仲良さそうでよかったわ。じゃあ、またね」

「裏切り者のクセに、偉そうに」

「お、お元気で、陸奥さん……」


 峯風には強気になりつつ、涼月はすっと峯風の後ろに隠れ、別れの挨拶を交わした。

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