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軍艦少女は死に至る夢を見る~戦時下の大日本帝国から始まる艦船擬人化物語~  作者: Takahiro
終章 少しだけ平和になった世界

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軍備更新Ⅱ

 1972年、東條英機元首相、元帥陸軍大将が死去。87歳であった。翌1973年、ベニート・ムッソリーニ総統が死去。89歳であった。第二次世界大戦の四英傑と呼ばれた指導者達は全員この世を去った。1973年は近代から現代への重要な転換点と見なされている。


 1975年、国連海軍でも研究活動を続ける夕張から妙高に、とある報告がもたらされた。


「結果が出たんですか、夕張さん?」

「うん、そうだよ。先月の実証実験は成功に終わった。機械の面でも船魄の面でも、イージスシステムはついに完成したんだ」


 国連海軍とアメリカ海軍が共同で開発していた防空戦術情報処理システム、通称イージスシステム。夕張が開発を主導したそれは、船魄の意識を部分的に共有するというなかなか過激な機構を備えていたが、無事に実証実験を終えたのである。


「ありがとうございます、夕張さん。しかし、イージス艦の量産体制を早々に確立しなければなりません。これからも頑張りましょうね」

「もちろんだよ。これから、戦場は変わるからね」


 イージスシステムを搭載する艦艇を複数隻用意することができれば、あらゆる攻撃を迎撃する、まさに鉄壁の防壁となるだろう。名前の由来となったアイギスの盾のように。


 国連海軍は1975年のうちにアメリカ海軍にイージスシステム搭載巡洋艦を6隻発注した。妙高型の姉妹達と高雄・愛宕の為の新しい艦体である。重巡洋艦達にも新世代艦に入れ替わる時期がやって来たのである。


 しかし、ここでも例の問題が訪れた。つまり妙高と高雄のどちらを一番艦にするか、という問題である。


「いっそ、私を一番艦にするのはどうかな?」

「妙高としてはそれでもいいけど……」

「えー、那智姉さんが一番艦は何かヤだ」

「私も、足柄に賛成です」

「何で!?」


 那智が妙高型の中で一番になるのは、またしても否定された。


「一番艦はお姉ちゃんに決まってるでしょ?」

「ですが、妙高は国連海軍の最高司令官です。一番艦でいた方が印象がよいかと思いますが……」

「そういうのは考えなくていいよ、高雄」

「そうでしょうか? であれば……今のところ希望があるのは愛宕だけですが……」

「うん。妙高もそれでいいよ」


 国連海軍の新型巡洋艦は高雄型ミサイル巡洋艦と名付けられることが決定された。イージスシステムを組み込んだ世界初の軍艦となる予定である。


 ○


 一方、大日本帝国海軍とソビエト連邦海軍は全く別の方向に突き抜けた艦艇を共同開発し、1976年に建造を開始した。


 その名はソビエツキー・ソユーズ級ミサイル戦艦および武蔵型誘導弾戦艦。ミサイルを主戦力とする艦でありながら3万トンの排水量を誇る、第二次南北戦争以降では世界最大となる軍艦である。


 本艦はその排水量から想像できるように、全長250mと戦艦並みの威容を誇る艦であり、大量の対空・対艦ミサイルを搭載している。その火力はまさしく現代の戦艦であり、艦隊をまるごと守護する対空戦闘能力を誇る。


 現代の主力艦となるべくして設計されたミサイル戦艦であるが、それよりも艦名から想像できるように、戦艦の船魄達の生まれ変わる先を与えるという目的があった。旧時代の戦艦は順次、このミサイル戦艦に置き換えられていく予定である。


 これを受け、国連海軍も同等の軍艦を建造することを決定。日本・ソ連に1隻づつ発注した。日本とソ連には艤装前の艦体までを建造してもらい、アメリカでイージスシステムを搭載する。


 そのネームシップは、ずっと待機していた陸奥である。まずは陸奥・天城が陸奥型ミサイル戦艦に置き換えられることになる。


 ○


 陸奥と天城を新世代の戦艦に置き換える一方で、大和と河内はそのままである。河内については海上司令部という役割があるが、大和は本来、ミサイル戦艦に置き換えられるべきである。


 それを拒絶しているのは、やはりと言うべきか瑞鶴であった。


「瑞鶴さん……大和は、この身体を捨てても構わないのですよ……?」

「いや、でも……。まだ46cm砲は役に立つと思うし、それに……私は大和型戦艦のあなたを愛してるのよ」

「日本は武蔵を廃艦にすることを決定しました。大和は、戦艦としてはお役に立てないでしょう。瑞鶴さんは、大和を置物にしていたいんですか……?」

「な、何を言ってるの?」

「実用的ではない戦艦のままでいれば、戦場に出ることもない……。そう思っているのではありませんか?」


 瑞鶴は何も言い返せない。それはまさに、瑞鶴の心中そのものであった。瑞鶴はせっかく手に入れた大和を絶対に失いたくない。


「大和は……そんなことは望みません。戦いになるなら、皆さんと一緒に戦いたいです」

「いや、でも……」

「瑞鶴さん、大和は怒りますよ。大和は、瑞鶴さんに保護してくれと頼んだ覚えはありません」

「ご、ごめんなさい……。分かったわ。あなたの意志を尊重する」

「ありがとうございます、瑞鶴さん。もちろん、戦いなんて起こらない方がいいのですが……」

「そうね……。戦わないことが存在意義ってことになれば、いいんだけどね」


 大和もまた、新世代艦に生まれ変わることが決定された。陸奥型ミサイル戦艦三番艦ということになる。

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