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軍艦少女は死に至る夢を見る~戦時下の大日本帝国から始まる艦船擬人化物語~  作者: Takahiro
第二十八章 海上補給線

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ソ連の奇襲

「ウリヤノフスクか。確かにそんな子もいたね」

「相手は世界最大の空母だぞ。もう少し深刻になって欲しいものだ」

「世界最大とは言っても、一隻だけなら大した脅威ではないんじゃないかな?」

「一般論としてはそうと言えるが、我々の空母の数はそもそも多くないだろう」

「ああ、確かに」


 先のアメリカ戦争で空母を大量に失ったし、ただでさえ減った空母がUSAとCAに分断されてしまっている。現状でCAにある空母は、レキシントンとサラトガとエンタープライズの他に4隻だけ。それ故に月虹の協力は欠かせないのである。


 さて、レキシントン達の仕事は、ハイチに向かうゴルシコフ艦隊に耐え難い損害を与え、ソ連海軍を撤退に追い込むことである。月虹の歴戦の空母達を抜きにした作戦であるが、今ならCA海軍だけでも何とかなる筈だ。


「ソ連艦隊、ジャマイカ近海に到達。我が方の空母艦載機、航続圏内に入りました」

「よろしい。全艦、全力を以て出撃せよ。目標はソビエツキー・ソユーズを大破させることだ。これに全力を尽くせ」


 ソ連の象徴とも言える戦艦ソビエツキー・ソユーズを失うことは、共産党が決して許さないだろう。過度に大それた名前を軍艦に与えるのはよくないとソ連海軍が学ぶ前に彼女が竣工したのは、ソ連と敵対する勢力にとっては幸運と言える。


 かくして、CA海軍の全力を投入した作戦が開始される。およそ600機の大航空艦隊が、ゴルシコフ艦隊を襲撃するのである。


 ○


 1時間ほど掛けてキューバを飛び越え、ゴルシコフ艦隊に対する攻撃が開始された。ソユーズ・ウクライナ・ベラルーシの主砲によって早々に80機ほどが落とされたが、まだまだ520機が残存している。


 シャーマン大将はレキシントンの艦橋を訪れ、レキシントンから直接戦場の様子を聞いていた。


「うーん⋯⋯なかなか近寄れないね。ソ連の意地といったところかな」


 ソ連海軍の対空砲火は激しく、輪形陣の中心にいる戦艦や空母に近寄ることはできないでいた。急降下爆撃など仕掛けようものなら、たちまち機関砲で木っ端微塵にされてしまう。


「相手はいずれも歴戦の戦艦⋯⋯。そう簡単にはいかないか」

「不愉快だけど、そうみたいだね。でも、気になることがないかい?」

「敵の艦載機が全く見えないということか?」

「ああ。普通に考えたからおかしいよね」


 ゴルシコフ艦隊には空母ノヴォロシースクとバクーがいるのだが、それらが艦載機を出した様子はない。数の上で圧倒的に劣勢とは言え、航空支援のあるとないとでは話が大幅に変わってくる。


「直掩機を出したところで最早無意味だと判断したのか⋯⋯」

「確かにほとんど意味がないとは思うけど」

「とは言え、艦載機を一機も出さずに飛行甲板を破壊されたりしたら、軍艦としては恥そのものだ。そうだろう?」

「まあ、そうだね。ただのお荷物になってしまうからね」

「不可解と言わざるを得ないな⋯⋯」


 と、その時であった。突然の報告が飛んでくる。


「た、大将閣下!! 敵です! 敵がここに向かってきています!」

「大西洋から来たか」

「バハマのドイツ軍基地が敵影を確認しました。ここから北東およそ600km地点、300機程度の大部隊です!」

「ウリヤノフスクだけではないな⋯⋯。いつの間にかUSAの空母が合流しているのか⋯⋯」

「どうするんだい?」


 レキシントンが全く危機感のない声で尋ねてくる。もちろん、答えなど決まりきっている。


「ソ連艦隊への攻撃は中止だ。全軍引き上げよ」

「全部を引き上げる必要はないんじゃないかな?」

「必要はないかもしれないが、ソ連海軍相手に今の半分の戦力では、どうにもなるまい。だったら、全軍でウリヤノフスクと当たるべきだ」


 戦力を分散させるのはよくないということである。


「でも、これで南のソ連艦隊がハイチに到着すると思うけど、いいのかい?」

「⋯⋯よくはないんだが、どうしようもない」

「月虹に防衛を頼むのは?」

「瑞鶴が大和の防衛に手を抜くことあるまい。それに、東海岸の戦いに敗北したら、どの道我々はお終いだ」


 東海岸沿いに南下してくるモンタナらの戦艦部隊、大西洋のどこかにいるウリヤノフスクらの空母機動部隊、そのどちらも確実に撃退しなければならない。CA海軍はすっかりUSA海軍の掌の上で踊らされている。


「分かった。じゃあ、カリブ海のことは放置しよう」

「ああ。こうなると、現場の部隊に任せるしかないが⋯⋯」


 航空支援を提供するのは無理そうである。カリブの鎖作戦は、現場のケネディ中将率いる艦隊に委ねるしかないのだ。しかし、中将の下にはグラーフ・ローンがいるものの、総合的な戦力は圧倒的に劣勢であり、主導権を握れるとは思えない。


 とにもかくにも、まずはウリヤノフスクの攻撃を撃退しなければならない。


「間もなく会敵するよ」

「数の上ではこちらが圧倒している。焦らずに戦おう」

「そうするよ」


 おおよそマイアミの沖合辺りで、レキシントンとウリヤノフスクの艦載機が交戦を開始した。

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