第二章 終
「妙高は突如として幻覚を見、長門に撃たれ気を失ってしまう……。面白いところで話を切ってしまってごめんねだけど、一区切りごとに幕間の小話をしようと思うんだ。と言っても、今回はあまり語ることがないけどね。
一つ語るとしたら、妙高を撃った長門の副砲だね。あれは甲板の上に乗っているんじゃなくて、舷側から突き出すように出ていて、だからこそ至近距離の妙高を狙うことができたんだ。私みたいな古い設計だね。
この副砲は靖國神社の遊就館とか、陸奥記念館とかに飾ってあるから、よかったら見に行ってね。あの副砲と長門の写真を比べると、戦艦の大きさってものが実感できるんじゃないかな。残ってるのは長門の妹、陸奥のものではあるけどね。因みに陸奥の主砲も色々なところに飾ってあるから、そっちも見に行ってみるといい。横須賀とか呉とかにあるよ。
何でこんなに色々残っているかと言うと、陸奥は瀬戸内海で事故を起こして沈んだから、比較的簡単に遺品を引き揚げられたからだね。
え、私は誰なんだって? それはもう少し秘密にしておこうじゃないか。まあ、ヒントくらいならあげてもいいけどね」
少女は外套を脱ぐ。その下には狐のような耳と鷲のような翼があった。
「驚いたかな? これで私の正体が分かったら、まあ正直言ってちょっと引くね。ともかく、次の話を始めようか」




