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軍艦少女は死に至る夢を見る~戦時下の大日本帝国から始まる艦船擬人化物語~  作者: Takahiro
第六章 アメリカ核攻撃

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アメリカ第2艦隊

「ツェッペリン、行くわよ」

『無論だ。アメリカ海軍などソ連海軍と比べれば雑魚も同然。蹴散らしてくれる』

「へー、ソ連海軍のことは評価してるんだ」

『んなっ、ど、どちらも雑魚だ。雑魚の中では割とソ連海軍は強いというだけだ!』

「あっそう。まあ私も同感なんだけどね」


 瑞鶴とツェッペリンは艦載機を全て出撃させる。だがその時、瑞鶴に通信の呼びかけがあった。まあどうせ降伏しろとかそういう話だろうと思いつつ、瑞鶴は通信を受けた。


「こちら瑞鶴だけど、あんたは?」

『私はレイモンド・スプルーアンス元帥。アメリカ合衆国海軍第2艦隊司令長官だ』

「スプルーアンス? 前にどっかで殺さなかったっけ?」

『私の旗艦インディアナポリスは君に沈められたが、私は何とか生き延びたんだ』


 大東亜戦争においてアメリカの機動部隊主力を率い、フィリピン沖海戦まで帝国海軍を追い詰めた男。あのニミッツ提督に将軍の中の将軍と言われ、アメリカ海軍で一番頭のいい奴とも噂される男である。


 本来なら大東亜戦争終結と同時に軍を退官するつもりだったのだが、優秀な将軍をほとんど失った海軍にはまだ彼が必要であり、マッカーサー臨時大統領に引き留められて、今でもこうして海軍の重鎮として働いているのである。


「で、何の用?」

『君達には即刻、我が国への攻撃を中止してもらいたい。我々の要求はそれだけだ』

「それだけ? 降伏しろとかいつもの言葉はないの?」

『その必要はない。ただ攻撃を中断して我が国の領海から去ってくれれば、追いかけるつもりもない』

「なるほど。アメリカも随分と切羽詰まっているみたいね」

『それは認めよう。我々は余裕がない。少なくとも君達に対して割ける余裕はな。これは悪くない取引の筈だ。ただ何もしないでここを去るだけで、君達は我々第2艦隊と戦わずに済むんだぞ?』

「馬鹿なことを言わないでくれる? もちろん断るわ」


 瑞鶴は喧嘩腰に言った。元はお前達が原因だろうがと、アメリカに対する怒りが燃え上がったのである。


『君の仲間と話し合わなくていいのか?』

「話し合って結論が変わる筈がないもの。もちろん、あなた達が今すぐ侵略戦争を止めてキューバに賠償するなら、今すぐに作戦は中止するけど?」

『それはできない。……これで交渉は終わりだ。戦場で雌雄を決しよう』

「楽しみにしてるわ」


 作戦には何の影響もなし。瑞鶴はツェッペリンと共に第2艦隊への攻撃を開始する。第2艦隊は軽く月虹の3倍程度の艦載機を出して来たが、原初の船魄達は臆しもしない。


 空中戦が開始される。戦闘はほとんど一方的なものだった。瑞鶴とツェッペリンの圧倒的な能力の前に、米軍の戦闘機は月虹の攻撃機や爆撃機にすら歯が立たなかった。本来は自衛用程度の攻撃機の武装で、瑞鶴は逆に戦闘機を狩っているのだ。


「確かにあなたの言う通りね、ツェッペリン。こいつら雑魚よ」

『ふん、とうに知れたことだ』


 瑞鶴とツェッペリンは第2艦隊の艦載機群を文字通り蹂躙した。20分ほどの戦闘で米側は100機を落とされた一方、瑞鶴の損失は4機、ツェッペリンの損失は6機に過ぎなかった。まあ決して無視できる損害ではないのだが。


『瑞鶴、また出て来たぞ』

「そうでしょうね。超大型空母4隻もあれば、600機は動かせる筈だから」


 一気に出して来なかったのは船魄の制御能力の問題だろう。瑞鶴とて一気に100を超える機体を動かすと効率が低下してしまう。


『今のをもう一度か。少し厳しいのではないか?』

「あら、あんたが弱気なの?」

『わ、我を舐めるな! 何度でも叩き潰してくれる!』

「その意気よ。けど、どうやらあいつら、引き籠る方を選んだみたいね」

『何だと?』


 アメリカ軍は仕掛けて来なかった。発艦させた艦載機を自艦隊の上空でグルグル旋回させている。


『奴ら、何がしたいのだ?』

「あいつらの目的は私達を排除すること。だったら、戦艦で仕掛けて来るんじゃない? ほら」


 どうやら先のソ連艦隊と同じことを考えているようだ。全ての戦力を防空に振り分けながら前進して、月虹を戦艦の射程に収めるつもりである。砲弾を迎撃することは不可能だ。


『ず、瑞鶴さん、どうするんですか……?』


 妙高が不安げに聞いてくる。ソ連艦隊とやりあった時と比べ、今回月虹はここから動く訳にはいかない。こちらから攻撃して敵を撃滅しなければならないのだ。


「そうねえ。こういう時はあなた達に働いてもらおうかしら」

『ふえぇ……』

「向こうが撃ち合いしおうって言うなら、こっちも受けて立つまでよ」

『瑞鶴さんは参加しないじゃないですかあ』

「大丈夫よ。ちゃんと空から援護してあげるから」

『それで、わたくし達は何をすればよいのですか?』

「敵の空母の無力化よ。艦載機がなければどうってことないわ」

『無力化、ですか。それはその……』


 自分より敵の心配をする妙高。


「別に殺せって訳じゃないわ。適当に気絶するくらいに撃てばいいでしょ?」

『そ、それはそうですが……』

『妙高、敵に情けをかけるのは良いことですが、その為に自らの身を危険に晒すのは愚かな行為です』

『……そうだね。妙高、出撃します!』


 妙高と高雄はアメリカ艦隊に対し突撃を開始した。


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