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冷え切った私

作者: ゆず

 冷たい。

 毎朝感じるこの冷たさは一体いつまで続くのだろうか。すぐに体を起こすことは出来ないのに、毎日目覚ましより先に目が覚めてしまう。この不快なほどの寒さも「冬暁」とでもいえば聞こえが良くなるのだろうか。

 ベットから降りる時には勇気が必要だ。足の指先が床に触れると一夜で冷え切った冷たいあいつが私の体温を吸い取ろうとしてくる。

負けてたまるか。

足を地面につけ必死に窓を開ける。眩しい日差しと共に眠気をはぎ取られるようなほど冷たいあいつがそっと私の肌を通り抜ける。


 


 


 「ゆりかおはよう!」

後ろから声がした。私は振り返らずに歩き続ける。振り返ってはいけない。私は音量を上げて気づかないふりをする。

 「ゆりかってば!走ったんだから気づいてよぉー」

 「ごめんごめん おはよう」

毎朝たわいもない会話をしながら坂道を歩いて学校へ向かう。

その途中で友達、いわゆる「よっ友」という部類の人たちと笑顔を交わす。教室にはいつもと変わらないクラスメイトがいる。私が席に座ると、待ってましたとばかりに人があちらこちらから寄ってくる。

 なんでだろう。

 この感覚。

みんなに囲まれてるのに冷たい。本当の私はどこにいるのだろう。冷え切った本当の私は今日も周りの熱に触れ、私の表面をあたためる。



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