第七話~【狼化】スキルの使い方~
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俺の体が熱くなると少しずつ体が変化し始め、落ち着きて来た。
「わぁ~、本当に狼みたいになっちゃいましたね~。」
歯はさらに伸び、全身の毛はさらに毛深く、爪も伸びた。
骨格も変わり二足歩行よりは四足歩行のほうが動きやすくなっている。
「あ、あー声も少し出しづらいな。」
「かわいいですね~、小さいころ家に居たわんちゃんを思い出します!」
彼女は手をわさわさしだして何か言いだしそうであった。
「ね、ねえ、少しだけでもいいので触ってみてもいいですか!?」
なんか出会ってから一番テンションが高くないだろうか…?
「あ、あぁだがその前に少しだけこの姿でどのくらい動けるかだけ確かめてもいいか?」
「そ、そうですよね!ちょっと我を忘れていました…」
俺は辺りを走ったり軽く腕を振るったりしながら検証した結果、かなりの能力の向上が見られた。
ステータスも確認したところSTR、DEXに30の補正がかかっていた。
「そろそろ触ってみてもいいですかね?ね?」
「大丈夫だが、あんまり乱暴に触らないでくれよ…?」
なんとなくだが今の灯には言い知れぬオーラが見える気がする。
「そ、それじゃあ触りますね…」
灯は近づいてくると俺の背中をさすり始めた。
「うぅやっぱりふかふかでいいですねぇ~~。他のところも触ってみてもいいですか?」
「あぁ、このくらいなら大丈夫だぞ。」
「それでは遠慮なく!」
そういうと、背中から頭の方へと手が伸びていき顔回りや耳などを舐めまわすように触り始めた。
「ほぉ~ら、いいこですね~。」
完全に犬みたいな扱いになっているな…まあ心地いいし大丈夫ではあるのだが…
「この白い毛並みもきれいでいいですね~。」
灯は最後に尻尾に触れてきた。
「おぉ~、やっぱ狼なだけあって尻尾も大きくしなやかでかっこいいですね~。」
流石に尻尾を撫でまわされるのはむずむずする感じがするな…
「なぁ、そろそろいいだろうか…?」
「もう少し触っていたいですがまた今度にします。今日の疲れが吹き飛ぶようでした!」
「それならよかった。戻るときも意識すればいけるのかな…」
俺は狼化を解くために意識を集中するとまた体が熱くなり始めて、体が人の状態に戻った。
「【狼化】を使うと少し気怠さがでてくるな…MPも減っているしあまり多用はできないみたいだな。服も前のボタンが弾けしまっているし、服のほうはなんとかしないと人前で全裸にでもなったら大変なことになるな…」
「あはは、服を脱いでからやった方がよかったですね…」
「まあやってしまったことは仕方ないし、今後考えればいいさ。
今日はスキルの確認もできたしそろそろ寝ようとしようか。」
日も落ち切って光源も焚火ぐらいになってきたし、今日は一日でいろいろありすぎた、思っている以上に二人ともつかれているだろう。
「そうですね、お風呂にも入りたいですけど今から準備は大変でしょうし今日は我慢ですかね…」
日本で暮らしている身としては毎日体は洗いたいがこの状況で贅沢も言えないからな…
灯も風呂に入りたいようだし明日の探索で材料を集められたら簡易的な風呂も作りたいな…
「ああ申し訳ないが今日のところは寝て体力の回復を優先しよう。」
俺たちは焚火の火を消しテントの中に入った。
「灯は寝付けられそうか?」
「えぇ枕も毛布もないので少し寝づらいですが問題なさそうです。」
テントを設置したとこはなるべく尖った石などがない場所を選んだがやはり枕がないとなると少し寝づらいのも当然だな…
もう少しDPに余裕が出てくれば寝具なども召喚できるんだが…
今の段階だと一日2Pしか増加しないし、DPを確保するためにはこの世界のどこかに住んでいる亜人族の人々をここに住んでもらうしかないだろうな。
そのためにはこの地で住むための住居の整備などを進めていく必要がでてくるな…
「今は寝づらいかもしれないがこれからここでの生活を快適にするために頑張っていこう。」
「えぇ、お兄さんが守ってくれるから私も頑張って行けそうです…」
そういうと灯はうとうとし始めてすぐに眠ってしまった。
やはり15歳の女の子がいきなり右も左もわからない世界でサバイバルなんて負担が大きすぎたんだろう。
この子が少しでもこの世界で楽しく生き抜けるためにこの子を守ってあげなければな…
一度は守り切れなかったが今度こそこの手で守ってみせる…
「お母さん、お父さん、ともちゃん…」
眠っている灯が寝言をつぶやいていた。
やはり両親と離れ離れになってしまったことが心残りなんだろう、最後の子はきょうだいかなにかだろうか…?
そんなことを考えているうちに俺も睡魔が襲ってきた、やはり俺もこの異世界転生に疲れていたのだろう。瞼がだんだんと重くなり、俺もすぐに眠りについた。
途中体に何かがのしかかる感じがしたが深い眠りについていたため特に気にすることはなかった。
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