第三十五話~会議の準備~
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チュールさんに新しい服を貰った俺たちは、アルピアさんに会いに行くために会議室の中へと入っていった。中にはアルピアさんの他にシイラさんと猫人族の女性が座っていた。
「あら!二人ともおはよう、服を新調したのね、よく似合ってわ」
「おはようございます、実は相談したいことがあって来たのですがそちらの方は…」
「ああ、まだ紹介していなかったわね。彼女はキャス、猫人族の族長よ」
茶髪に猫耳を生やした彼女はアルピアさんに紹介されるとこちらに手を振りながら挨拶してきた。
「よろしくね~、そういえばお酒ってまだ出せるの?私昨日はすぐに寝ちゃって飲みに行けなかったのよね~」
「よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします、お酒とかのことになるんですが…」
そうして俺はアルピアさん達にダンジョンコアのDPの使い道についての説明をし、何を優先させた方がいいか聞いた。
「かなり色々なものを召喚できるのね…、シイラとキャスは何か欲しい物はある?」
「私はやっぱり食料とかになるかしら、どうしてもここら辺で手に入るものだけだと作れる料理も限られてくるし、栽培に時間がかかるものはあまり村では作っていないしね…」
「私は双眼鏡とかの道具かな~、村にもそういうのは貴重品で大事にしているから外に持っていけないし、数があれば外に探索に行くみんなに配って危険も減らせるし~」
「やっぱり色々と欲しいものが出てくるわよね…、鉱物なんかも余裕がある訳ではないし、武器や農耕用の道具なんかも手に入るなら欲しいわよね…」
「後は召喚以外にもダンジョンスキルというのも取得できれば村の防衛にも役立つと思うんだ。」
現状ではダンジョンスキルを取得できるのは俺と灯だけだが、今取得できるものでもかなり効果が期待できるものもあるし、1つくらいは取得しておきたい。
「これは一度、皆で話し合った方がいいわね…、犬人族と狼人族の族長以外は村の中に居るでしょうしすぐに集められるけどあの二人は今どこにいるかしらね…」
「外に出ているんですか?」
「ええ、あの二人は外で採取だったり狩猟に基本出ているのよ、いつも日が沈む前には帰ってくるのだけど今日の分のこともあるしなるべく早めに話し合いたいのよね」
「だったら私が探してくるよ~、ケレスとファルガの最近の採取場所も狩猟場所も分かっているし入れ違いにはならないと思うから~」
どうやら犬人族の族長はケレス、狼人族の族長はファルガと言う名前らしい。
「だったら俺もついていくよ近くにいれば【探知】で探し出せるから」
「わ、私も付いていきます!戻ってくるまでの時間も短縮できますし!」
「じゃあ三人にお願いしてもいいかしら?」
そうして俺たちは村を出発し、犬人族と狼人族の族長を探しに行った。村周辺には余り魔物も居らず、彼らが居ると思われる方へと向かうキャスさんの背中を追って一直線で向かって行く。
「あはははは~、二人とも私に付いてこれるなんてやるじゃ~ん!」
「でも追いつくのがやっとです…」
「灯は俺の背に掴まっていくか?【狼化】使えばキャスさんとも並んで走れると思うが…」
「い、いえ!最近はあまり動いていなかったので少しでも運動しないと…」
「それならいいがあんまり無理はしないようにな」
「は、はい!」
そうして半刻ほど駆け抜け、途中であった村の人に族長の居場所を尋ねながら進んでいると【探知】に族長と思しき、反応があった。
「キャスさん!向こうに族長かもしれない人が居ます!」
「分かったよ~」
俺たちが反応のあった人の所まで行くと犬人族の男性が居た。これまですれ違った犬人族の人よりも早くこちらの存在に気づいていたし、この人が族長のケインさんで間違いないだろう。茶色の毛並みに今も鼻を鳴らしながら植物を採取して背中の籠に入れている。
「あれ、キャスじゃん。どうしてこんなところに居んの?アルピアへの報告は済ませたん?」
「もう私が忘れるわけないでしょー。アルピアがみんなで話したいことがあるからあんたとファルガを連れ戻しに来たの。」
「そんな急ぎのことなんだ、面倒事?」
「緊急事態って訳じゃないよ~、でもケインとファルガが居ないと不公平になるから呼びに来たの」
「へ~そうなんだ、じゃあ俺は先に戻っているよ。ファルガはあっちの方に居たからキャスもファルガを見つけてさっさと戻ってきてくれよ」
そういって駆けだそうとするケインをキャスは呼び止める。
「あ~待って待って!普通に帰るよりも早く帰れる方法があるからファルガと合流してから一緒に帰ろう!」
「そんな方法があるの?あ~もしかしてキャスと一緒に居るのが噂のタツヤとアカリ?」
「ああ、よろしく頼む」「はい!よろしくお願いします!」
「そうそう!ダンジョンマスターの技で一瞬で帰れるのよ」
「じゃあさっさとファルガを捕まえて帰ろうぜ~、走って帰るのも疲れるしな。付いてこいよ、すぐにファルガのとこまで連れてってやるぜ~」
そのままケインさんは駆け出したので俺たち三人は彼を追いかけた。数分ほど走っていると村の中でも熊人族の長、ギルさんの次に強い反応があった。
その反応の方へ向かうと何人かの狼人族が巨大な鹿のような魔物と戦っていた。洗練された連携で魔物にヒットアンドアウェイで攻撃を繰り返し、族長と思われる男性が手に持った槍を鹿の体に突き刺すとそのまま槍は鹿の心臓を一突きにし、鹿はあっけなく絶命した。
「お~今日はフォレスト・ディア―を仕留めたのか~、これは晩飯も期待できそうだな」
「すごい連携ですね…」「ああ、流石は狩猟を担当しているだけある…」
「ファルガ~!アルピアが皆で話したいことがあるから戻ってきてって~!」
キャスが狼人族の族長に話かけると彼はこちらに振り返ると俺の方へと視線を向けて来た。一瞬、背筋が凍ったような感覚になったがすぐにその感覚は引いていった。
「キャスとケインか、それとその二人は誰だ?狼人族が狩りもせずに何をしている?」
「あ~違うの違うの!彼は昨日、この村に来たタツヤとアカリ、アルピアから少しは聞いているでしょう?」
「ああ、何かアルピアがそんなこと言ってた気もするな、役に立つのか?そいつらは」
「もぉ~超役に立ってるよー、アルピアが話したいのも彼らが提供してくれるものについてなんだから」
「役に立つならどんなやつでも歓迎だ、よろしくな。俺はファルガだ。」
「ああ、皆のためにできることは少しでも頑張るよ」「よろしくお願いします!」
「じゃあ私のスキルで皆さんを会議室まで運びますね」
灯が【ダンジョン輸送】のスキルでここにいるみんなを運ぼうとしたがファルガさんは灯を止めて、同行していた狼人族は転送しないように言った。
「獲物を会議室に運んで血生臭くなったらどうするんだ、お前らは自分の足で村まで戻れ」
えー、と言う声が狼人族の人たちから上がったがファルガはそれは聞かず自分たちで帰るように告げる。
「本来だったらもっと狩猟を続ける予定だったんだ、それが短くなっただけでもありがたく思え、それとも俺抜きでまだ狩りをしたいのか?」
そう言うと狼人族の人は慌てて違います!と大声で言うと倒した魔物を村へ持って帰るための作業に移った。
「あはは、それじゃあ行きましょうか」
俺たちは灯の【ダンジョン輸送】で会議室へと戻っていった。
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