第三十三話~夜の食堂と族長の紹介~
見に来ていただきありがとうございます。
いいね、ブクマ登録ありがとうございます!
食堂には100人を超える人数が酒を飲むために食堂へと集まっていた。
「かなりの人数が集まりましたね…」
「流石に俺たちの渡した酒だと皆に行き届くか怪しいだろうし、今あるDP分もお酒を召喚するか」
ハルたちが俺たちの拠点にやって来てからDPを使うこともなく、現在ではあと少しで100に到達する程度には溜まっていた。
「そうですね、明日になればDPも全回復しますもんね」
この村の人口は余裕で今のDPの上限を超えているし今全て使い切ってもお釣りが来るからな。俺たちはお酒を配るためにコップなどを用意しているシイラさん達も元に向かった。
「こんばんは」「こんばんは、シイラさん。遊びに来ちゃいました!」
「あら、二人とも来てくれたのね。でもごめんなさいね、思ったよりも人が来ちゃって配れるお酒もそんなにないかもしれないの」
「ああ、実はそのことで来たんです」
そうして俺たちはDP召喚で地球の酒を何種類かDPの許す限り召喚する。量が多い物を選んだ分、味はそれほどではないだろうがここにいる人が満足できる程度には召喚できた。
「私達が渡した分だけじゃ足りないと思ったのでお裾分けです!」
「わぁ~!こんなに沢山貰っちゃってもいいの!?」
「ええ、流石に俺たちのせいでみんなが楽しめ切れないってのもあれなんで」
「二人ともありがとうね~!みんな~!お酒の追加頂いたから明日に影響でない程度には飲んでいいわよ~!」
シイラさんが食堂の皆に声を掛けると、歓声を上げ、酒を貰いにこちらへとやってきた。やってくるドワーフの中の一人にアルピアさんと話している人が居た。他のドワーフの方よりも少し年季を感じさせる顔つきだが、体は現役と言っても遜色ないほどに鍛え上げられており、歳による衰えを感じさせない。
アルピアさんは俺たちに気が付くと、ドワーフの老人にこちらを示し話し始めた。
「ほら、ダンズ、彼らが今日のお酒を提供してくれた、タツヤ君とアカリちゃんよ」
「おぉ!お前らが今日の酒を分けてくれたのか、わし等ドワーフは酒には目がなくてのぉ、村でも作ってはいるのだが村のみんなに行き渡らせるほどの量もできないしのぉ…」
「お酒は色々と用途が多いから基本は保存して、大事に取っているからあまり日頃から飲むことはできないのよね」
「お前らがくれた酒のおかげで今日は楽しめそうだわい!」
「あまり羽目を外さないでくださいよ、明日もやるべきことは沢山あるんですから」
「わかっとるわい、それにこの程度で酔ったらドワーフの名折れよ、お前らも武器や道具で困ったらわしらの所に来るといいわ!」
「あ、ありがとうございます!」
「ああ、武器の手入れを怠ると命に関わるから遠慮なく来るんだぞ!」
そう言ってダンズさんは手を振りながらドワーフ達が酒を飲んで騒いでいる方へと戻っていった。
「彼がドワーフ族長のダンズね、武器の手入れだったり、村の設備の建設だったりはドワーフ族の方が中心となって行ってくれるから何かあったら彼らにお願いしてね」
「わかりました!」
そうしてアルピアさんはここに来ている族長について軽く説明してくれた。
「ここに来てるのはさっき会ったドワーフ族と熊人族と牛人族の族長ね、犬人族、猫人族は朝早くから外に出なければいけないからここにはいないわね、明日以降狩りに参加することになれば会えると思うわ」
後は、俺と同じ狼人族と鼠人族の族長か…
「鼠人族の族長は夜遅くまで起きていられないからこの時間はもう寝ているわね、タツヤ君達も服とかその服でずっといるのは大変でしょう?変わった服だけどさっきのお酒みたいに自分たちで召喚したの?」
アルピアさんには俺たちが日本から来たことはまだ伝えてないからダンジョンコアがあるから誤魔化せているがいつまでも隠したままではいられないからな…
「ええ、まあそんなところです。服も今のところこれだけしかないですし結構ボロボロになってきているのでそろそろ新調したいなとは思っていたんですよね。」
「だったら明日の朝にでも鼠人族のところに行ってみてはどうかしら?種族に合わせた服も置いてあるだろうし何着か貰ってきてもいいと思うわよ」
「ありがとうございます、明日の朝行ってみます」
「この服も翼のことを考慮していないから着るのも誰かに手伝ってもらわないと一苦労なんですよね…」
「だったら翼人族のための服もあるしアカリちゃんにピッタリなのもきっとあるはずよ」
今の灯の服は中学の制服に背中に翼を通すようの穴が開いただけの質素なものになっており、着替えるのも大変だったのでこれで俺たちの服が手に入るのはありがたい、俺も【狼化】の時にボタンなんかが弾け飛んだし、ゴブリン・キングとの戦闘で大きく破れてしまっているので新しい服が欲しかったところだしな。
「狼人族の族長はどうして来ないんですか?」
そう灯が尋ねるとアルピアさんは少し困った風にして答え始めた。
「ああ…彼はお酒が苦手だからこういう時はあんまり来ないのよね」
「話にだけでも来ないんですか?灯も今日はお酒を飲む予定はないですけどこうして来ていますし」
「私も飲んでみたいんですけどね~、一回飲んだんですけどそのときの記憶がないんですよね~」
灯にはまだお酒は早いだろうし、まだ飲ませる訳にはいかないからな…
「彼、お酒が苦手なの隠してるのよ、こういう場に来たら族長って立場もあるし嫌でも飲まざるを得ないから来たがらないのよね。」
お酒苦手なこと私が言ったこと言わないでねと口止めしてアルピアさんはここに来ている他の族長について教えてくれた。
「あそこにいる熊人族で一番大きな人が族長のギルね、村の衛兵隊の隊長で大体、柵の周りを巡回して魔物が中に入ってこないように警戒していたり、近くに出現したダンジョンの攻略なんかをしていたりしているわね」
ただでさえ体の大きな熊人族の中でもさらに頭一つ分抜けて大きな体格をしており、一目見ただけでその強靭な肉体に気圧されそうだ。
「村を捨てて逃げなければならないときは彼が殿になってくれるおかげでいつも私達は助かってるのよ」
彼の体には服に隠れていないところだけでも多くの傷跡があり今までの戦闘が思い浮かぶような生々しさがある。
「彼はどんな時でも明るくみんなを鼓舞してくれるから助かってる場面も多いわ」
今も彼は仲間の熊人族と一緒に酒を飲みながら楽しそうに会話を続けている。
「それであそこのテーブルで寝ているのが牛人族の族長のダイチね」
アルピアさんが指差した方向へ顔を向けるとそこにはすでに机に突っ伏していびきを立てながらすやすや寝ている牛人族の男性の姿があった。
「まだそんなに飲んでいないはずですよね…?」
「あ~、彼はいつも朝早くからそとに資源の収集を集めに行ってるからもう寝ている時間なのよ。でもお酒も好きだから飲みに来たんだけどやっぱり眠っちゃったわね」
「あのままにしてもいいのか?」
「ああ、それは大丈夫よ。こういうときはいつも…ほら、もう来たわ」
アルピアさんがそういうとダイチさんの近くへと牛人族の女性が近づくとテーブルで寝ているダイチさんを担ぎ上げて食堂から出て行った。
「彼女は奥さんのメイさんね、ダイチが寝るといつもああやって布団まで担いでいくのよ」
「なんか尻に敷かれている感じですね…」
「まあそうね、それじゃあひとまずはここにいる族長の紹介も終わったことだしタツヤ君もアカリちゃんもくつろいでいって頂戴、眠たくなったら好きな時に出て行ってもらっていいから」
「「ありがとうございます」」
そうして俺たちはこの村で生活する人達との会話をしながら、明日からの個々の生活のために一度拠点に戻り、眠ることにした。
読んでいただきありがとうございました。
誤字・脱字指摘していただけるとありがたいです。
いいね、ブクマ登録お願いします!




