第三十二話~食堂での食事~
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料理を作り終えた俺たちは出来上がった料理を食堂に運び、中に入るとそこには数百人の亜人族達が席に座って雑談をしていたようだが、食事が食堂に運び込まれたのに気づくとどんどんと席を立ちあがり、食事を受け取るためにみな調理の方へと向かっている。
俺たちは人が減るのを待つ間、席に座って雑談をしている。
「それにしても一度にこれだけの人数が食事をするなんてすごいですね…」
「流石に全員が一度には入りきらないから、食べ終わった人は外に出て入れ替わるようになるんですけどね」
「みゃあ達も食べたら早く出ないと待ってる奴らに恨まれるにゃ」
「シイラさん達はずっと皆に食事を配っているのか?」
「そうね。どうしても食事を均等に分けることだったり人によっては食べれないものもあったりするから彼らが取り分けるのが一番ってなってしまうのよね…」
「それだと彼らの食事がかなり遅くなってしまうな」
これだけ多くの人がいるとみんなが食べ終わるのもかなり時間がかかってしまうし、残り物には具材も少なくなっていそうだな。
「まあそのあたりは色々とみんなが公平になるようになっているわね、彼らの分は別に取って置いたり美味しい部位なんかはとれる量も少ないし、彼らが自分たち用の料理に使ったりしているからね」
「だからグルとかカイトみたいな大食いの奴らは配給の手伝いをして少しでも多めの食事を摂ろうとしてるわね」
ハルが指差した方向にはメイリアの隣で一緒に食事の配給を手伝っているグルの姿があった。メイリアにちょっかいを掛けようとする男衆にグルがメイリアの後ろから睨みを利かせるとすぐにちょっかいをかけようとした男は慌てて食事を持って席に戻っていった。
「グルさんのあれは食事を多めに貰うためというよりは…」
「メイリアに近づく男を遠ざけるためみたいだな…」
「あはは…、まあカイトとかは皿洗いだったり片付けの手伝いだったり、色んな作業の手伝いをしてくれるおかげでメイリア達もそう遅くならずに食事ができるのよね」
そして、俺たちも食事を取りに行った人々の列が消えていくのを確認したのち、食事を貰いに行くことにした。
今日の献立はシチューのようなスープとパンにそして、俺たちが渡した果物をカットしたものが数個というものだった。メイリアが拠点に来てからは俺たちの食事もかなり豊かなものになったがやはりパンなんかは向こうでは作れなかったしな。
シイラさんから食事を受け取ると俺と灯は元居たテーブルへと戻ろうとするとシイラさんから話しかけられた。
「タツヤさんたちが提供してくれたお酒は夜に希望者が食堂に取りに来ることになったからタツヤさん達もよろしかったら来てくださいね」
「ああ、ありがとう。行かせてもらうことにするよ」
「アカリちゃんも話だけでもしに来てね、他の族長の人も紹介したいし」
「あ、ありがとうございます!ぜひ行かせてもらいます!」
そうして後ろに待っている人もいるということで俺たちはシイラさんに会釈をした後、足早にその場から立ち去り、テーブルの方へ戻っていった。
俺たちがテーブルに着くとそこにはすでにハル達が席に着き食事を始めていた。俺たちも席に着き、手を合わせる。
「「いただきます」」
そうして俺たちは料理を口に入れていく。スープもコクがあって美味しいし、肉や野菜がしっかりと煮込まれていて柔らかく誰でも食べやすいようになっている。
「う~ん、メイリアさんの料理もですがここの人たちの作る料理はとても美味しいですね」
「ああ、これだけ美味しいと毎日食べても飽きないな」
「メイリアの料理の師匠はシイラさんなのよ、それに一気に大量の料理を作る分スープなんかは美味しくなるのよね」
「ここの料理はうまいし、みゃあ達が料理ができなくなっても仕方がないにゃね~」
「もう、今回の遠征だってメイリアが付いて来てくれたから良かったものの、居なかったら料理は私達で作らなきゃいけないのよ」
「ハルだって碌に料理できるわけじゃにゃいんだから人の事を言う筋合いはないにゃ」
「ミールと違って私は少しくらい料理ができるの、ミールは肉を焼いても焦がしてばっかじゃない」
「みゃあはメイリアと一緒に行動するからご飯の心配は要らないにゃ」
「全くもう…、メイリアだって将来は結婚して遠征にも行けなくなるかもしれないんだからあまり甘えてはいけないのよ」
「グルが居る間はメイリアは一生独身にゃ、グルは奥手だししばらくは大丈夫にゃ」
「グルももう少し積極的になれたらいいのにね…」
俺たちは雑談をしながら食事を終え、待っている人のためにテーブルから立ち上がり、厨房で片付けの手伝いをしに行った。
そうしてしばらくの間、厨房で皿洗いを行い、皆が食事を終え片付けも粗方終わると、俺たちは一度、湖の拠点へと戻った。そして風呂を済ませ再び村へと戻り、お酒を配る予定の食堂へと戻ってきた。
そして、そこには夜も更けているというのにかなりの人数の大人達が酒を飲むために集まってきていた。
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