第二十四話~亜人族との邂逅~
見に来ていただきありがとうございます。
ようやく、二人以外の登場人物が出てきます。
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俺たちはこの世界で初めての人に遭遇したのだがここで重大な問題が発覚した。
「………!………………………?」
猫のような人がこちらに遠くから話しかけてきてくれているのだが何を言っているかがさっぱりわからないのである。
「お兄さん!どうしましょう!何言っているかさっぱりわからないんですけど!」
「俺もだ、まさか言葉が通じないなんて…」
「ど、どうしたらいいんですか!?」
「何か使えそうなスキルってあったか?」
「言語系のスキルって見た覚えないんですが…」
流石に言葉が通じないとは思っていなかった、日本から召喚された人間だっているのだしそこらへんはなんとかなっているものだとばかりと考えていた。
俺たちと話が通じていないと相手側も思ったのか猫のような人は周りの人達となにやらひそひそ話をしている。そうして話合いが終わったのだろうか、猫のような人が代表してこちらに近づいてきた。
「ちょっとどうしたらいいんでしょう!?」
「と、取り敢えず待ってもらってスキルが増えているか確認しよう!もしかしたら何かしたこの世界の言語に触れたことで新しいスキルが出ているかも!」
俺は近づいてくる猫のような人にジェスチャーで待ってくれと身振りすると女性は少しこちらを覗きながらも止まってくれた。
その間に俺たちはスキル獲得の一覧を開きこの問題を解決するためのスキルを必死になって探す。隅から隅へと探していると今までにはなかったスキルを発見した。
「灯、このスキルを獲得できるか?」
「あ、はい!早く取得しましょう!」
そうして俺たち二人は新たに増えていた【フィリア共通語】のスキルを獲得した。
「あ、あ~これで話せるようになったのか?」
「どうなんでしょう?」
「おみゃ~ら、ようやくこっちの話を聞く気になったかにゃ?」
振り返ると先ほどは聞き取れなかった女性の声をようやく聞き取れるようになった。
「おみゃいらはどうしてこんなところにいるにゃ?たった二人でこの森で生きていたのかにゃ?」
「え、え~っとですね…」
灯がどう答えようか迷っているとこの女性の仲間のような人たちがこちらに近づいてきた。
「こらミール、いきなり質問攻めにしたせいでこの子たちも困惑しているでしょう。」
そういうと灯と同じ翼の生えた女性が灯の方に近づくと抱きしめ始めた。
「こんなところで二人きりで不安だったでしょう…もう私たちが居るから心配は要らないわ」
「あ、あの!私はお兄さんが居てくれるので大丈夫です!」
「あらそうなの?でも二人きりでこの魔物だらけの森で生活するなんて大変だったでしょう?」
「ま、まあ色々と危ない目には遭いましたが…」
「でしょう?これからは私たちと一緒に居ればいいから安心してね」
「おいハル、おぬしもミールに言ったくせに一方的に話してるだけではないか、まだ互いに自己紹介すらしておらぬぞ」
ハルと呼ばれた女性に話かけたのは髭もじゃの小さなおっさんだ。この人達の中なら一番の年長者のように見える。
「ああそうだった!私はハルピア、ハルって呼んでね。メイト族の付与魔法士なのだけどあなたはどこ出身なの?」
「え、えっと私は菊野灯と言います。灯が名前で菊野が苗字です。」
「アカリっていうのね!キクノ族ってところなのね、ねえガント、聞いたことあるかしら?」
「翼人族のぬしが聞いたことがないのならわしが知っておるはずがなかろうが」
「でもガントって私よりも生きているし聞いたことぐらいありそうと思ったのだけど」
「ぬかせ、わしなどまだまだ若輩ものじゃ、ところでアカリの隣におるぬしは何というんじゃ?」
「あぁ、俺は神谷達也、あなたたちに合わせるならタツヤ・カミヤっていうのだろうか」
「カミヤ…おぬしも聞いたことのないのぉ…」
「にゃあ、こんなところでゆっくり自己紹介って訳にもいかないしもう少し安全なところに行かないかにゃ?」
「でしたら、私たちが暮らしているところに行きませんか?魔物も来ませんし食料なんかもありますし!」
「じゃあそこに案内してもらってもいい?グル、カイト、メイリア!あなたたちもそれでいいかしら?」
「あぁ」「寛げるならどこでもいいっすよ~、もう移動しっぱなしで疲れたっす」「は、はい!」
「それじゃあ早く行くのにゃ!もうみゃあもへとへとにゃ」
「まだまだおぬしらも軟弱じゃのぉ、仲間のためにわしらがここに来ていること忘れるのではないぞ」
「あたりまえにゃ~、ガントもその頑固頭を治した方がいいにゃ」
「全くおぬしは…」
「まあまあ、ミールもガントも喧嘩しないの。ごめんね、騒がしくって」
「ああ、大丈夫だ。俺たちも二人きりで寂しかったしな。付いて来てくれ」
そうして俺たちはこの世界で初めての人類と遭遇したのだった。
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