第九話~森林探索と初戦闘~
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準備を終えた俺たちは、森の中へ進出し始めた。
「どこもかしこも木ばっかで道に迷うか心配になりますね…」
「あぁ、なるべく木に傷を付けながら進んで道しるべを残しながら進もう、日の沈む前には戻る必要があるし1日ではあまり長距離を進むことはできないな…」
「野営などができるようになればいいのですが…」
周辺を探索するためにはこの森の脅威を余裕で切り抜けるだけの力が必要になるだろうしな寝静まったところを襲われる可能性も高いし、二人で野営をするとなるとそうとうの準備が必要になりそうだ。
「野営するにも夜の襲撃なんかに対応できるスキルを手に入れないとな。」
「う~ん、敵の襲撃なんかを事前に察知することだったり、突然の襲撃に対応できるようにバリアなんてのも張れたりできれば安心なんですけどね…」
まだそういったスキルは取得できないだろうからな…ダンジョン関係のスキルみたいに新たに取得できるようになれればいいのだが。
「まあしばらくは日帰り探索になるだろうし遠征のことはまた今度考えよう。」
「先のことより今は食料探しを優先しないとですね!あっほらほら!いろんな見たことない植物がいっぱい生えてますよ!」
灯はそういうと地面に生えていつ植物をいくつか摘まみ始めた。
「おっおい!もしかしたら触れたら危ない奴もあるかもだし気を付けないと!」
「大丈夫ですよ~、ちゃんと【鑑定】してから触ってますから~。
それに見てくださいよ、ヒール草や解毒草、麻痺草なんてのもありまよ!」
「すりつぶしたり他の草と調合したりすれば効能を高めることだってできるみたいですよ。」
さすが異世界、地球には存在しないものだってたくさんあるな。
「おっこっちには木の実なんかもたくさんありますよ!」
灯が指さした方向にはベリー系の果物が多く生えていた。
拠点としている湖からそれほど距離も離れていないしこれだけの量があれば二人分の食料問題も解決しそうだな。
「食べれるものだけ調べて拠点に送っておこう。」
「えぇ~その赤いのとリュカの実で黒いのがクロムの実っていうので食べられますね。あっ!そこの紫色のはポイズの実っていうので毒薬の材料になる毒物なので注意してください!」
やっぱり【鑑定】のスキルで食べられるかどうかわかるのはありがたいな、このサバイバル生活、【解毒魔法】があるとはいえ、まだSPを消費してもlv.2までしか解毒できないしそれよりレベルの高い毒を食らったら一瞬で一網打尽になるだろうからな…
そうして俺たちは今日の食料をひとまず拠点に送ったのだった。
「【ダンジョン輸送】のスキルもMPを消費しますし、ある程度はまとめて送りたいですね。」
「灯の魔法はかなり便利なのも多いしMP管理はしっかりしないとな…
時間がたてばある程度は回復するとは言え戦闘になった場合を考えるとせめて【初級火魔法】を複数 回使える程度には残した方がいいだろう。」
「まあまだ魔力には余裕がありますし成長すればもっと魔法も連発できるようになりますよ!」
灯の魔法方面のステータスが伸びるのに期待だな。
「よし、じゃあ探索を続けようか。」
「えぇ、今日行ける分はどんどん行きましょう!」
俺たちが前に進んでいると俺の【探知】スキルに何か生物の気配が引っ掛かった。
「灯、止まってくれこの先に何かいる。見てくるから少しここで待っててくれ。」
灯が頷いたのを確認すると俺は【隠密】スキルをしようして【探知】に引っ掛かった反応へと向かった。
そこには二足歩行で歩く犬のようだろうか、凶暴な顔面をしている。
あれが亜人族なのか…?
俺は一旦、灯の【鑑定】スキルで見てもらうために気づかれないように灯のもとへ戻っていった。
「大丈夫でしたか?」
「あぁ気づかれてはないと思うが亜人族かもしれないし、灯の【鑑定】で見てもらいたいんだ。」
「もし斬りかかって亜人族の方だったときなら大変ですからね。」
俺たちは再び先ほど見た犬のような生物に近づいた。
「あれはコボルトという魔物みたいですね、レベルも2で高くないですし戦ってみますか?」
一応自分たちよりレベルが高いがレベル1の敵が簡単に見つかる可能性のほうが少ないだろうしな。
だが、しっかりと作戦を立ててやらないと死ぬ危険が隣り合わせになる世界だからな。
「まずは灯の魔法で先制攻撃を仕掛けてから、俺が注意を引き付けて灯は魔法で援護する形にしよう。」
俺と灯はコボルトに気づかれないように戦闘準備を始めた。
「それじゃあ行きます!」
灯が魔法を唱えると火の玉がコボルトめがけて勢いよく向かっていった。
コボルトは当たる直前に気づいて振り返ってきたが、避けきれずに火の玉とぶつかった。
コボルトは大きくよろめき、体勢を崩しているうちに一気に距離を詰め、よろけているうちに斬りかかった。コボルトは避けきれず剣の攻撃をもろに食らう。
「灯!」「はいっ!」
そして灯が次の魔法を放つとコボルトは完全に倒れきった。
「倒したんですかね…?」
「あぁ、そうみたいだが一応とどめを刺しておこう。」
俺は手に持っている剣でコボルトの心臓部を貫いた。
「ふぅ、これで流石に動くことはないだろう。」
「初戦闘がうまくいってよかったですね…」
「あぁ、だが今回は不意を付けたからうまくいったがこうもキレイに戦闘できるかわからないからな。」
「あっステータスを見てください!レベルが上がっていますよ!」
本当だ、レベルが1から2へと上昇している。最初は簡単にレベルアップができるということなのだろうか。
「ステータスを確認する前にコボルトの血抜きをしてから場所を変えよう血の匂いにつられて魔物がやってくるかもしれない。」
「そ、そうですね…でもお兄さんって血抜きできるんですか?」
やったことがないから上手にはできないだろうな…吊るすための縄なんてのもないし。
「頭と足を落とせば多少の血抜きはできるじゃないだろうか…
少しグロテスクな見た目になるだろうから灯はきつそうなら見ない方がいいぞ。」
「い、いえ!これからはこういう機会も多いでしょうし見させてください!」
一応灯を心配しつつ魔物が寄るかもしてないしできる限り素早く血抜きを行った。
「よし、あとはこいつをダンジョンコアに運べる程度に小さくして転送しよう。」
「わかりました!早く移動してステータスも確認したいですしね。」
俺たちはコボルトの死体をダンジョンコアへ輸送し【探知】に魔物がかからない場所へと避難した。
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