第一話~死んだら神様に異世界に転生させてもらった~
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初投稿故、気楽に見ていただけるとありがたいです。
8月、太陽がアスファルトの上を照り付ける日だった。
俺、神谷達也は今日も営業のためお得意先の会社へと徒歩で向かっていた。
24歳にして独身、彼女なし=年齢、学校生活すべてにおいて少数の友達こそいたが、勉学一筋だったため、女友達すらいなかった。
歩いている途中、工事現場の前で学生服を着た一人の女の子が立ち止まっているのを見かけた。
(こんなところに学校なんてあっただろうか)
「うーん、おばあちゃんの家に向かうはずが全然知らない場所に来ちゃったよ…
地図のGPSも壊れちゃってて今どこにいるのかもわかんないし…」
女の子はスマホを見ながらああでもないこうでもないとうなりながら立ち往生していた。
さすがに手助けをしてあげたほうがいいのだろうか、でも変に声をかけて悲鳴でも上げられて警察にでも通報されたら一生立ち直れない気がするしな…
女の子に声をかけようか悩んでいる時だった。
突然、持っている鞄を手から放してしまいそうになる風が吹いた。
(なんだったんだ?こんななにもない場所でいきなり風が吹くなんて…)
その時、上のほうから何かが壊れたような音がした。
「え?」
それ自分の声だったのか、それとも前にいた女の子の声だったのか。
上を見上げて見えたのは工事中のビルが球状にくり抜かれ崩落し、鉄骨や鉄パイプが今にも落下してくる状況だった。
これは何かの間違いなんじゃないかと目を疑っていても崩落している現実は変わらない。
(早く逃げないと巻き込まれる、でも俺は逃げられても前の女の子は逃げ切れるのだろうか…?)
(どうすればいい?でもあの女の子を見殺しにできるのか?)
そう思ったら体は動いていた、女の子を助けるべく女の子のほうへ駆け出した。
女の子は恐怖で立ちすくみ動けずその場でとどまっている。
「君!早く逃げなきゃ危ない!」
「え?」
俺は女の子を抱えすこしでも早く逃げるため全力疾走で駆けた。
あと少しでビルの崩落かの逃れられると思ったが、急いでいるあまりに前に落ちてきていた鉄パイプに足を取られてしまった。そして上を見ればすぐそこに鉄骨が降り注いでくる。
もうこのままじゃだめだと思い、せめて女の子だけでも生きてほしいと女の子の上に覆いかぶさり少しでも女の子が生きてくれることを祈る。
そしてそのまま俺は上から降り注ぐ鉄骨たちに押し潰され、俺の24年間の一生は終わりを迎えた。
起き上がるとそこは不思議な空間だった、周りは様々な色の光が入り混じる部屋だった。
『起き上がりましたか。』
声のほうに目をやるとそこに人が立っていた。長い髪に中性的な顔立ち、それでいて見てわかるくらいに鍛えられた体で性別の判断ができない人がいた。
「あんたは神様か何かなのか?俺は死んだのだろうがあの女の子は生きているのか?」
『あなた方生命体に言わせれば神と定義するのが適切ではあります。各世界の管理を行い、秩序を守ることを行う存在です。今回あなたを呼び出したのはあなたにしていただきたいことがあるからです。』
『残念ながらあなたが守ろうとした少女はあなたとともに鉄骨の下敷きとなり亡くなってしまいました。』
まあ、あの状況から生き残ることは奇跡でも起こらなければ不可能だろうしな…
『あなたはその少女とともに地球とは異なる世界、”フィリア”に転生してもらうことになります。』
「待ってくれよ、どうしてそんな異世界に行かなければいけないんだよ。」
『フィリアでは地球に住む人間の他に亜人と呼ばれる人々がおり、国家を築き、生活を営んでいました。しかし種族に特徴があり、その中で数に秀でた人族は能力では劣る故に国家としては劣勢になっておりました。その中で人族の王は異世界から地球の人間を召喚した。』
『地球から来た人間には特殊な能力が備わっており瞬く間に力をつけた王国は他国に侵略を開始し、多くの亜人たちがその数を減らし、王国の力が及ばぬ遠くの地へ逃亡することとなりました。』
「それなら俺はその地球人を止めればいいのか?」
『いいや、その地球人は何年も前に死亡しました。あなたにやっていただいきたいのは逃亡した亜人達を救うことです。彼らは王国から逃げるために人類未開の地、不帰の森と呼ばれる大森林、さらに中央に聳え立つアリアドネ大山脈を抜けその数を減らしながら逃亡に成功しました。』
『しかし、今だ大森林には強力な魔物と呼ばれる生物が蔓延っており、亜人達は厳しい生活を余儀なくされております。』
「だったら俺一人でもいいんじゃないのか?どうしてあの子も一緒になんだ?」
『それはあの時、私が転生させるためにあなた方を拾い上げるのが一瞬だったからです。』
『フィリアの人族は再び地球から人族を召喚しようとしており、その時起こった時空の歪の近くにいたあなたを拾い上げたのです。』
『あなた方には申し訳ないですが、このままではフィリアの秩序は乱れ、フィリアは崩壊してしまう。』
「拒否権はあるのか?」
『酷なことですが、ありません。この機会がなくなってしまえば次に転生させることができるのはいつになるかもわかりません。それに、あの時自分を顧みず少女を救おうとしたあなたなら亜人族の方々も救えると思えたのです。』
確かに、その召喚が次いつ行われるかもわかったものではないし、神さまが機会を見逃したくないのはわかるが…
「でもあの子だけは何とかならないのか?」
不幸にも事故で死んでしまったあの子にはまだまだいろいろな未来があったはずだし、右も左もわからない世界で生きていくのはあまりにも悲しすぎる。
『申し訳ないですが、彼女にはすでにフィリアへと行ってもらいました。少し錯乱していましたが時間もない故あなたへの説明に時間を多く割くために彼女には概要を話しフィリアへと旅立ってもらいました。』
おいおい、もうあの子はあっちに行ってしまっているのかよ…
『あなたへの説明のための時間ももう残りわずかになってきています。あなた方は亜人族になじめるために少し外見などが変わっています、分け与える力も少ししかありませんがなんとかしてフィリアで生き、亜人族が生き残るために協力してあげてください。』
待ってくれよ、外見が変わるってどういうことだ?異世界で生きていくのにそんな少しの力だけで大丈夫なのかよ?
『もう時間がありません、あなた方に幸運が訪れることを』
「えっちょっと」
そうして、光に包まれた俺はフィリアへと旅立つことになった。
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