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異世界管理者~世界の管理って神様じゃないんですが?~  作者: 虚繰忌廻
1章 神様誕生?!
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07 初依頼

「Eランクの依頼(クエスト)って実入りが悪いし種類が少ないんだな。初心者が多いからなのか?」


俺は早速ギルドに行きクエストボードの前に立っている。紙には依頼内容と報酬、そして推奨ランクが書かれている。俺のようなEランク、初心者は採集クエストや脅威度の低い簡単な魔物の討伐クエストを行う。そして徐々にクエストをこなしていくにつれて経験を積ませ、一定数のクエストをこなすとランクが上がるという仕組みだ。ランクの昇格方法は別にはあるがこれが一般的らしい。ただBランク以上に昇格する際には条件があるらしいがそれはまたの機会にしよう。


俺は採集クエストの紙を一枚取り受付へ向かう。

採集クエストを選んだ理由としては一番着実だからというのもあるが、追加報酬を得やすいというのが大きい。クエスト中に遭遇した魔物や採集対象でないものを納品するとギルドから追加報酬が貰えるため、実は一番実入りがいいのでは?と思ったのだ。

加えてランク昇格の仕組みがギルド独自のポイント制であるからだ。先程話した一定数のクエストというのは一定数のポイントを取得したことに他ならない。例えばEランクのクエストの達成1つにつき1ポイントならば、追加で倒した魔物や採集物はクエスト外のポイントであるため荒稼ぎできるというわけだ。


因みにこれは誰かに教えて貰ったわけでもないためにただの仮説だが、そう考えると昇格した冒険者のこなしたクエスト数に個人差あるのに説明が着くと思ったのだ。


「すまない、このクエストを受けたいのだが」


「『ヒール草の採集』ですね、大丈夫です。

北門から出てすぐのギアンタの森が採集場所になりますがあまり深くへ行かないようにして下さい。森の深奥に行くほど魔物が強くなるのですが、万が一ということもありますので」


「忠告感謝する」


俺は軽くお辞儀をしてギルドをあとにした。


ギアンタの森。

城砦都市ディアス=オーリア北部の山岳地帯に広がる大きな森である。森の中心、というより山に近づくにつれ強力な魔物に遭遇することが多くなる。

これは山岳地帯に竜などの非常に強力な魔物が存在しているからか、将又森自体の特殊性からかは定かではない。

魔物以外にもギアンタの森は生命溢れる場所であり、様々な動植物が生息している。


「ここがギアンタの森⋯⋯魔物が沢山いると言われているが入った感じはとても幻想的だな」


最低でも5メートルはある木々たちに囲まれているものの、木漏れ日が多いためそこそこ明るい。程よい涼しさで澄んだ空気をしていてとても気持ちがいい。


しかし森は生命を感じさせる反面、異様に静かであるのがとても気持ち悪い。風により葉が擦れる音しか聞こえない。


「緊張が緩まないという意味では有り難いな」


一呼吸置いて俺は探索を開始した。







「よし、これで全部かな」


明るい黄緑をした葉が特徴的な薬草───ヒール草を30本以上採集していた。依頼内容では10本でいいのだが、追加報酬用に多めに摘んだ。


「本当に【解明(アナライズ)】様々だな」


俺はまず【追加技能(エクストラスキル):解明】の能力の一つ、『ステータス鑑定+』を使ってヒール草を見つけ、その後ヒール草を二つ目の能力である『原理解明』を使って詳細情報を手に入れた。

するとヒール草には大気中に含まれる魔力を栄養として成長するため、光属性の魔力を帯びることが分かった。


そしてここでこの前教会大図書館で手に入れたスキルの出番だ。

【技能:魔力探知(マナ・ディテクト)】という【技能:探知(ディテクト)】の進化系スキルは、魔力を用いて一定範囲内の生命体、または魔力を帯びるものを把握することができる。

しかしこのスキルは有無だけ把握できるため、ヒール草かどうかを判別できない。


そこで【追加技能:解明】を合わせることで、光属性の魔力反応からヒール草の魔力反応を特定することができるようになる。


本当にこのスキルぶっ壊れてるよな。可能性がまだまだありそうなあたり、これの異常性が引き立っているよ。


「一応これで依頼自体は達成だが、折角の採集依頼だ。少し探索してみよう」


俺はヒール草をしまうと更に奥深くへと進んだ。




奥へと進むにつれて段々と暗くなっていく。

木々の生い茂り方が浅い場所と比べて別物であり、あちらこちらに木の根が散見できる。また、さっきまでは涼しいという印象であったが、ここは"寒い"という方が正しい。

明らかに危険度が増しているようだ。


そんな思案を巡らせていると木々が擦れる音と同時に何かが飛び出してきた。


「ウサギ⋯⋯なのか?」


長い耳に前進を覆う体毛、小さく丸い尻尾───俺の知っている兎の姿そのものなのだが⋯⋯。


「体毛が白いんだよなぁ」


兎の中には白いものもいるが、雪原などで擬態するためなどの理由がある。しかし、今の気候は春くらいの温暖な気候であり、更に言えば森の中で白は目立ちすぎるのだ。


まぁ、そういうことだろうなぁ。

俺はこれは()()()であると断じて戦闘に思考を移す、その時であった。


「キイィィィイ!」


一体どこに隠していたのか。

額から一本の発光した角が生え、俺の胸目がけて突っ込んできた。


「危ねっ!」


袖が破れたものの避けることができた。

体長1メートルほどの小さな身体からは考えられない速さを出す仮称───角ウサギは20メートルほど離れた場所に着地し、再びこちらに向かって跳躍、突進してくる。攻撃手段がないことにはないが、突進中は勿論のこと、着地ですら隙がない。


逃げようにも速すぎて逃げられない⋯⋯かと言って攻撃も当てる隙がない。どうにかしないとやられるのは俺の方だな。


考え事をしていたからか。集中力が散漫していたところに角ウサギの攻撃が右足に掠った───その瞬間、全身に電流が走る。


「〜〜〜〜〜〜ってぇ!」


感電⋯⋯とまではいかないにしろ、非常に強い静電気が走ったようだった。しかも痺れが残って動き辛い。


「"麻痺"⋯⋯かな。状態異常(デバフ)ってこんなにウザいんだな」


余裕が次第となくなるにつれて焦燥感が増す。そして攻撃に当たる回数も増えていくから麻痺が切れない。ゲームでいうハメ技状態である。


クソっ⋯⋯マジで死んじまうぞこれ。早いとこ弱点見つけないと─────?


「あ⋯⋯あ〜なるほどね」


分かったぞ⋯⋯コイツの弱点。何でこんなことに気づかなかったんだろう、自分で思っている以上に切羽詰まってたんだな。


攻撃を避けつつ木の前に立つ。そして“最初と変わらない突進”をしてくる角ウサギ。


「これで形勢逆転だ────っ!」


さて、鋭いモノを一直線に勢い良く木に放り投げるとどうなるでしょうか──────()()()()()、よね。


俺の思った通り、角ウサギは角が木に刺さって身動きが取れなくなっている。


「これで攻撃が当たるな、【ファイア】!」


眼の前に魔法陣が浮き上がると火の玉が生まれ、角ウサギに着弾する。しばらく声を上げながら暴れると動かなくなった。一応【解明】を使ってHPを調べるとしっかり0になっていた。


「おっ、倒したからか角ウサギの情報が出るようになったみたいだな」


▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽


名前:

種族:ホーンラビット(亜種)

Lv:3

HP:0/120

MP:27/150

STR:30

STK:30

VIT:10

DEF:1

INT:60

RES:5

DEX:3

AGI:180

LUC:3


《技能》

脚力強化,俊敏化


《備考》

ウサギ型の魔物。

素早い動きで相手を惑わせ、額に伸びる角で攻撃する。突進攻撃のみしかできず、跳躍後は踏み止まれない。

また、亜種は額に角は生えていない。魔力による形作られた角で攻撃する。角には常時【技能:電撃付与(サンダーエンチャント)】をかけており、「状態異常:麻痺」を攻撃命中時に確率で付与する。


△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△


普通に強いじゃん⋯⋯。しかも亜種。

普通に低レベル帯で魔法を使う魔物にして強化スキルも使うとは、チート級のHPで助かった。でもこれで"使えるスキルが増える"な。


【解明】の能力により角ウサギ改めホーンラビット亜種のスキルを入手できた。勿論【電撃付与】も。


「流石に帰るか⋯⋯」


もう日が傾いて薄暗くなり始めていた。俺はホーンラビットの死体をしまうとディアス=オーリアへとその足を向けた。

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