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雨の日

作者: 琥桃

またまた一発書きです。

(雨降ってんなー。あ、ジューンベリー咲いてる→こーいうの書きたい!で誕生。)

疲れた。


唐突にそう、思った。


本と目を閉じ、柱に体を預ける。


雨音が聞こえる。風の音も。


雨は好きだ。降り注ぐ音も、雰囲気も安心する。なんでかは自分でも分からない。


とりあえず雨の日はこんな荒んだ気分になる事はめったにない。


本当に今日は珍しい。なんか重症だし。




気持ち悪い。

なんかを吐きたくなる。


胸の内がモヤモヤする。


固体と気体の狭間みたいな物体と、ドロドロネバネバした重い物が胸にいっぱい詰まってるみたいな感覚に陥る。


あーホント疲れちゃった。


何もかもがめんどくさい。

息をするのが。生きること自体が。


休日にダラダラして時間を無駄にしてるうえにこんな思考をするなんて生きてる意味あるのかな。


そう考えて


これはまずいとスマホに手を伸ばす。


何かしよう。


本を読むのは集中できていいかもだけど、手元のは何回も読んだことあるし、気分じゃない。


そこで友達に連絡しようとしたが……

LINEそんな得意じゃなかったわ。この状態で人と話すとさらに疲れそうだし。やめとこう。


ならばと音楽をかけようとアプリを開く。


まず気分とマッチする曲を探すのから怠すぎて断念。


ゲーム…………loadingで心が折れる。


勉強しよう。机に向かい、参考書を開く。


2、3ページ進める。分からない問題で萎えてしまった。なぜ苦手教科をやろうと思ったんだろうか。


この間30分。


暇なのが悪いのかもしれないと思ったが、逆効果かもしれない。どんどん自分のダメ人間度が上がっている気がする。おかげさまでネガティブも酷くなっている。


ならもういっそのこと暇を満喫しよう。


そう決意して、フラフラとソファーに移動し


ぼーっと外眺めて始めた。


雨のカーテン越しに見える山。大部分は緑だが一部分だけ淡い赤が見える。ピンクってほどではない。赤だ。でもぼんやりした淡い色。赤っぽくない赤。なんの木なんだろうか。

 

周りの深碧色に不思議とよく合うその色を気付けばずっと流れていた。


窓をつたう雨粒に邪魔され、赤は遠くなったり歪んだらする。それもまた面白かった。


急に雨風が激しくなった。色は遠く、霞がかかってしまった。


なら近場で何かないかと目線を窓の下の庭へと移す。


まず入るのは山とは違う緑。若草色というのがぴったりな明るい色。今の空模様とは合わなそうな色。


でも綺麗だった。はっきりしてるが主張が強いわけではない。それでいて際立って風に揺れる葉から目が離せない。


ふと視線の先に白がよぎる。


元を辿るように、動かすと


花が咲いていた。


ジューンベリーの木だ。


晴れの時も美しく、溌溂としているが、雨だと儚い美しさがある。

風に揺れ、散った花びらも雨粒とよく合う。


薄暗いからこその白が引き立っているとも言えるのかもしれない。


この花の色はなんと表現すればいいのだろう。


卯の花色?白百合色?柔らかい白はなんといえばいいのかわからない。純白ではキツすぎる。生成色では違う。卯の花や白百合色は黄色がかっている。


もっと白く、淡い。婉然な印象を与える色。


先程までは何かを考えるだけで辛かったのに、こんなにも必死で考えている。なんで表現したいのかは分からないけど、表現できればこの印象を忘れない。そんな気がするからだと思う。


考えて、知識が足りないと調べて、見つけた。


月白色。

あぁ、これがピッタリかな。

名前もしっくりくる。



いつのまにかネガティブで荒んだ心は消え去り、穏やかな心持ちになっていた。


思わずあくびを1つ。


月白色の花をもう一度見た。


また視線をずらし、ただ流れる雨粒を見つめる。


目が覚めたら、庭に行ってみよう。雨音という音楽を聴きながら。


雨が止んだら友達と遊ぶか。勉強会でもするか。



いや、その時に考えよう。気の赴くままに。


そこまで考えて


眠りにに落ちていった。



ジューンベリー、綺麗ですよ!

実も種が多いですが、ジャムにしても普通に食べても美味しい。

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