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おばさんの必殺技

「そのウサギ 俺にくれませんか?」


俺は 物資の調達レシピを手にもって俺が街に行くので代わりにそのウサギが欲しいと

ジェスチャーしてみた。

すると 俺につられて一緒に移動したいと手を上げる人もいたけどほかに人達に説明されて

手を下げた。

それから地面に 再び地図が描かれて街への侵入ルートの説明をされた。

ぐるりとほぼ一周するように遠回りをして遠くにある村を二つほど立ち寄って

街に到着するというルートだった。

「危険だが 今の状況ではこれが最善のルートだ」と言っているのだろう。

自信たっぷりの説明にみんなも うなずいていて異議なしって感じだった。

ウサギを手に入れたことによって ルートが増えたのだ。


「行ってくるね!!」


俺はウサギにまたがると 手綱を引いて出発した。

ウサギの乗り心地は 羽毛布団に座っているような乗り心地だった。


みんなが見えなくなるまでしばらく進むと

進む方向を変えて、まっすぐに街を目指した。

街を目指すと 4匹の小人のグループと出くわしたけど認識されない。

その後も何組かの小人に出くわしたけど 大丈夫そうだ。

小人は フラフラと酔っ払いのように右往左往ている。 

なんとなく ゆっくりと街の方向へ流れているようだった。


「抜けた!」

日も傾いたころに小人がパタリといなくなった。

そして 街が見えてきた。

「あれが エリスタの街か」


この街の壁は 雑にだが切り出された石が積まれていて

村の物よりも高い壁だった。

日も傾いてきたし 宿も探さなきゃいけないし、早く街に入らないとな。

しかし 日も沈んだこともあり門は閉まっている。

門の前に立っていると 小さな扉が開いて門番が出てきたので

事情の書かれた手紙を渡した。

すると 門番は中に入るなら銀貨がほしいと言ってきた。

どうやら俺が物資の調達に来たのでお金を持っていると思ったのだろう。

ワイロを要求された。

ワイロの金額は俺の手持ちのお金とほぼ同額だったので渡すわけには行かない。

リュック一つ分の物資も見せながら交渉したら物資と数枚の銀貨で何とか中に入れてもらうことが出来た。


その後は宿屋を探した。

宿屋はそれっぽい看板が出ているので宿事態はすぐにわかるのだけど、

でも 高い宿屋に泊まるわけにはいかないので安そうなボロイ宿屋を探した。

ボロそうな宿に中に入ると 太ったおばさんがカウンターで酒を飲みながら、

脂っこい鶏肉を食べて、店番をしていた。

店も汚れていていかにも安そうな宿だ。


カウンターに置かれている料金表を指さして 安い部屋に一泊泊まりたいと言うと、

おばさんは 大きな目をぎょろりとさせて上目づかいに俺の顔を見た。

まあ 美男美女の異世界では地球人は珍しいのだろう。

それから 立ち上がって俺の体をグルリと一周すると、「はーはーはぁ」と笑い声をあげて

俺に「こっちにこい」と指で合図してきた。

話が通じたようだ。でも 料金は後清算なのだろうか?


おばさんはご機嫌なようで鼻歌を歌いながら俺を部屋に案内してくれた。

そしてベッドと小さなテーブルが一つあるだけの部屋だ。

まあ 安いならどこでもいいさ。

それにしてもこの部屋の布団は 使用済みというか、、

さっきまで誰かが使っていたような布団で

臭いもするし、酒とお香のような臭いがする布団だった。

これって 部屋じゃないのか?


すると おばさんが勝手に入ってきた。

「お店を閉めてきた」なのか?「今日の仕事も大変だったわ」なのかそんなことを言っているのはわかる。

そして「あなたはラッキーよ はーはーはぁ!」と言ってきた。

おばさんから フェロモンの匂いがする。

ああ これは泊まる宿を間違えた。

俺は立ち上がって 部屋を出ようとしたらおばさんが俺の手をつかんだ。

そして「ふっふん↑↑」と興奮して鼻から声を出すと 俺の手に何かを握らせてきた。

なんだ?

銀貨が3枚だ。俺を銀貨3枚で買おうとしている。

一泊分の料金を逆に俺に払うというのか?どうする??

銀貨3枚なら30分くらい目をつぶっちゃうか??

だって 今から 宿を探すなんて大変だよ。開いているのかもわからない。

おばさんの顔を見ると 唇が鶏肉の油でグロスのように光って妖艶な輝きを放っている。

俺・・俺に・・やれるのか。。


「おーおぉ・・」


しょうがないわねぇ~って顔をしたおばさんは、

ベッドの下に手を入れると怪しいお香を取り出した。

そして 今から焚かれるお香にの質の素晴らしさについて語り始めた。

強い口調で端的な説明だったけど お香の力が凄いことは伝わる。

一度体験したらおばさんの仲間になってしまいそうだ。

「美女」と「お金」と「お香」とこれがおばさんの必殺技だった。



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