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オビの薬草

「まずは 言葉が出来ぬのでは頼みは達成できぬじゃろう。ほれ!」


俺は 陶器の瓶に入った薬を受けとった。

本当に 引き受けてよかったのか?

でも 助けてもらった恩を素直に返したい気持ちもある。


瓶の蓋を開けると 瓶の中には青く光る液体が入っていた。

蛍光塗料?? 大丈夫か?

でも 俺は その液体を飲んだ。

もし俺に何かをしようと思ったのなら、とっくにやられているだろう。

飲み干すと 雨の音が耳に聞こえてきた。

下たる雨の音。。 心地いい音だった。

でも それが 徐々に言語だと言うことに気が付いた。


「はぁ!!」


俺は我に返った。


「どうやら 習得で来たようじゃな。」


微笑むオルスク。

そして 俺が調達したい薬のリストを見てなんと薬を用意してくれた。

頼みというのは この町から北に数キロ進んだところにある泉にはいている

オビの薬草を手に入れてきてほしいと言うことだった。

そんな お使いのような仕事でどうして こんなに親切にしてくれるのかと聞いてみると。

小人が街に近づいているという話をし始めた。

小人を散らしても 小人はゆっくりと街へ近づいてくるだろうっと。

それまでに オビの薬草が欲しいと言うことだった。


「どうして 俺なんですか?」


街で行き倒れ同然の俺にどうして声をかけたのか気になった。

するとあの夜。

俺とモコタンが眠っている現場を目撃した時に これほどウサギを手名付けることが出来る人物なら

きっと 魔獣使いだろう。

小人の群れを抜けて薬草を取って来てくれるのではないかと思ったのだと言うことだった。

そして 俺の顔を見て不思議な何かを感じるとも言ってきた。


「ポロン ポロン ポロン」


モコタン? モコタンが朝のイベントを開始した。

するとどうだろう。

お尻から生まれる卵の中から 何やら木の芽が出てきたぞ!

世界樹の木の苗だ。

でかした モコタン。

モコタンは顔をすりすりしてきた。


しかし 問題は 苗木が街の中にあると言うことか。

これじゃ 街に小人が出も入ってこない限り、世界樹の実が手に入らない。

俺は オルスクに事情を説明した。


「ほうほう そういうことか。これが世界樹の芽とはのう。どれ、ワシに考えがある、預けてくれ」


オルスクに 苗木を預けた。

そして 数日が経った。

ここは オルスク薬局という薬を作るお店だったと言うことがわかった。

薬の調合の仕事のお手伝いをして過ごしたけど

この世界では植物や物に不思議な力が宿っているらしく、

そういったものを集めて加工することで 薬やアイテムを作り出すことが出来るようだ。


そんなある日。

「おじいちゃん! 久しぶり!元気にしてる??」

「遊びに来てやったぜ 姉さんがうるさいからな」


二人がオルスク薬局に尋ねてきた。

魔法使いに剣士風の服装の二人だった。

「ほうほう よくきたのう~ オグマよ。紹介するぞ。わしの孫でミユーランとダストじゃ。」

「初めまして 私は温泉士のミユーラン。こっちが弟のダストよ」

「ただのダストじゃないぜ。魔法剣使いのダストだ。お前からは何かを感じる。もし戦えるなら俺と勝負しないか?」


魔法剣?腰に下げているあの剣は魔剣なのか?

村の羊飼いの人たちが装備しているブレードとは全然ちがう。

あの剣、見た目も超 カッケーよ。


あと 温泉士ってなんだ?

民族衣装にヒノキのロッドを持っているけど

温泉ユーチュバーみたいな職業だろうか?


二人が買ってきたお菓子を食べながら四人で話をした。

「村が小人に襲われて助かっちゃうなんてホント?」

「その村にいつか俺を案内してくれ!きっと強いヤツがいるに違いない。ふふふ」


お菓子はカステラだった。

鶏もいるし小麦粉もあるから 地球と同じものが作れるのだろう。

ダストは 手で鷲づかみにしてペロっと食べてしまったし、ミューランは竹のスプーンで

少しずつ口に運んで食べていた。

俺はコーヒーが飲みたかった。


「ルミアはどうしている?」


ルミアは オルスクの娘らしく、この二人の母親のようだ。

二人はしょんぼりとした顔になって、オルスクは 「そうかそうか・・」とうなずいた。


「オビの薬草を必ず手に入れてやる!!俺はそのために強くなるんだ!!」


ダストは 座ったまま剣を抜いて剣を掲げた。

どうやら 母親の病気を治すためにオビの薬草が必要なようだった。

オルスクに心強い助っ人が出来たことを告げられて、改めて俺のことが紹介された。

俺は 魔獣使いと紹介されて機動力が高いから、役に立つと言われた。

二人からも歓迎された。

でも 世界樹の実については一言も話さなかった。

俺が話そうとしても止められる。なんでだろう。


あとで オルスクから言われたのだけど、

世界樹の能力は今はまだ知られてはいけない能力らしい。

個人にしか発揮しない能力なのに、そんな能力があることが世界に

広まれば、大変な事件になる。

そして できればワシに研究させてほしいと・・。

オルスクが 世界樹の実の能力について調べてくれれば、一番最初に俺のところにも

情報が入ってくるというメリットがある。

自分の孫にまで秘密にするのだから 俺も秘密にすることにした。


「ところで オグマさんのそのミサンガ。そんなピュアな事をする方がいるなんて羨ましいわ。

え?知らないで身に着けていたの?そのミサンガの編み方は・・」


ミューランは 俺のミサンガを見ると乙女の顔になった。

そして ミサンガについて熱く語り始めたのだけど簡単に言うと

セレネが編んでくれたこのミサンガの編み方は 人生で一度だけしかやってはいけない編み方らしい。

もちろん 何本編んだからと言ってどうにかなるわけではないけど、

すべての祝福を願った色で編まれているこのミサンガは

生涯にこの人と決めた人にだけ一度だけ贈ることが出来るものらしい。

編み方も難しくてそんな ピュアな事をやろうと考えるなんて「直で素敵な人なのでしょう」

と言うことだった。 


ある日

「できたぞい!!」


早朝、オルスクに起こされた。

オルスクから手渡されたものは 鉢植えに植えられた世界樹の苗木だった。


「ついに 空間に世界樹の木を固定することに成功した。世界樹の盆栽。なずけてワールドツリーじゃ!!」


水晶玉サイズのスノードームの中に世界樹の木が植えられている。

リュックにも入るサイズだった。

説明を受けると このワールドツリーはドームの中で外と同じように育つことが出来るらしい。

そして まだ 実験はしていないけど実をつけることが出来るはずだと言うことだった。

ただ 受け取ってみても分かったことだけど世界樹の木の加護の力が増えるという効果は

別空間なので受けられないと言うことだった。


「オビの薬草を取りに行くなら孫たちも同行するじゃろう。ルミアにはもう時間がないのじゃ。

頼む。オグマの能力で孫たちを守ってやってくれ。そして薬草を手に入れてきてほしい・・」


次の日

「よし! 行くぜ!!」 


ダストは剣を掲げて出発の声を発した。

俺たち三人と一匹は オビの薬草を求めて泉を目指すのだった。


街の外には早速 小人たちがいた。

「まずいわ 発見されてしまう」

「俺が ぶった切ってやろうか?」


しかし ミューランはダストを制した。

そして 杖を地面に刺すと念じ始めて呪文を唱えた。


すると 前方数百メートル先に噴水が現れて小人の動きが止まった。

「フン!さすが 姉さんだ」

「行くわよ」


数百メートル進むとそこには 小人がいたのだが小人の体から木の芽が生えて

コビトは生命を失っていた。というか木になっていた。

「温泉の水脈があれば 私が何とかするわ」


温泉の力で小人をやっつける魔法らしい。


さらに進むと 砂漠になって進めなくなってきた。

しばらく 砂嵐を避けて岩の洞窟に姿を隠していると

砂嵐が 大きな人型に見えた。


「あれは ゴーレムじゃないか?姉さん何とかできないか?」


ミューランは 再び杖を突き立てると呪文を唱えた。

すると 砂漠の砂が固まってゴーレムの姿を現した。


ゴクゴクゴク

「火炎ポーション!!」


ダストは ポーションを飲むと体から熱を発してそれを剣に集めると

ゴーレムに切りかかった。

斬り捨てられたゴーレムの体は溶けてしまった。

しかし ゴーレムはあたりの砂を集めて再生してしまう。


ゴクゴクゴク

「土のポーション!!」


斬り捨てられたゴーレムの斬られた部分はコンクリートのように固まった。

しかし ゴーレムは自分の体を自分で攻撃して粉々になり再び再生した。


「どうなってるんだ!」


どうやら ゴーレムにはコアがあると言うことを知らないらしいな。

「コアだ! ゴーレムにはコアになる部分がある!」


オグマの声にミューランは 温泉を噴出させてゴーレムを洗い流し

コアが出てきたところを ダストが斬り捨てた。


ゴーレムを倒した。


そして 俺たちはミラルグの泉にたどり着いた。

泉を取り囲むように咲いている花。

これが オビの薬草なのか。

俺は 薬草を積んでモコタンのカバンに入れた。

「さて 帰ろう」


しかし 街へ帰ろうとすると 小人たちがうじゃうじゃいて 街を取り囲んでいた。

「この数じゃ しばらくは無理ね」

「クソ! 母さんが・・急がなきゃいけないのに」


二人は落胆した様子だった。

「俺が行く」

俺が行くというと二人は 止めてきたが俺にはモコタンがいると説明すると

行くことを許してくれた。

そして俺は 二人が視界から消えるところまで移動してから世界樹の実を食べて街に入った。

モコタンのジャンプなら一飛びで中に入れた。

しかし 中に入ると小人がうじゃうじゃしていた。

コビトよりも一回り小さい小人だ。

どうやって入ってきたんだ??

すると 壁の向こうから野球のバッティングのような音がする。

「カキン!!」

そして 小人が壁を越えて中に入って来ていた。


小人が小さな小人を こん棒で打って街の中に入れているんだ。

でも 今はオルスクのところへ行くのが先だな。

オルクスの家に到着した。


「待っておったぞ 薬草は手に入ったのか?」

俺は薬草を手渡した。

これで ルミアは助かると大喜びしていた。

そして事情を話すと わかったといい。

俺にアイテムをたくしてくれた。


「これは 炎のポーション。飲んだものを火属性にするポーションじゃ。メラメラストーンから採取できるのじゃ」


「ありがとう」


俺は 再びモコタンに乗って外に出るとモコタンにポーションを飲ませた。

「モコタンアターック!!」

小人たちに突進して 片っ端から小人に火をつけていった。

すると 小人は燃え上がり燃えた小人は隣の小人を燃やし 街の周りは火の海になった。




「オグマよ お主には街の勲章を授ける」


俺は 街の町長から勲章を授与された。

小人に突進する 勇敢な魔獣使いとして。

それは 魔獣使いであっても誰にもまねのできないものだった。

そして 魔獣使いという従者が資格のために取るようなジョブの価値が

上がったのだった。


俺は オルクスを連れて街へ帰った。


「これは 全員 小人病じゃ」


小人に襲われたことがあるものは 小人病にかかる。

発熱したのちに 木になってしまうという難病だった。

この村の病気は 解熱剤でも痛み止めでも治らない。神に祈っても治らない。

オビの薬草でなければい治せない病だった。


村の人たちは全員助かった。


半年たって。


「富めるときも貧しきときも・・・・誓うか?」

「セレネ!」

「オグマ!!」


俺たちは 結婚した。

俺が セレネと初めて出会ってあんなことになってセレネはホントは悲しかったらしい。

だけど 「私を好きになってくれてありがとう」と言っていた。

きっと 不安だったのだろう。でも 終わり良ければ総て良しってね

俺たちは 幸せに暮らしました。

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